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Part of me  作者: 遠藤 敦子
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 知哉は指定校推薦で校内選考を突破して、11月中旬に福岡市内の私立大学の面接を控えている。毎日知哉は面接練習で忙しくしており、私たちは息抜きとして学校終わりにマクドナルドやカフェに行ったり、ゲームセンターでプリクラを撮ったりして過ごしていた。入試を控えた知哉に頑張ってもらおうと、内緒でお守りを手作りする。裁縫はあまり得意ではないしプロ並みとは言えないものの、なんとか完成させることができた。

 知哉の入試前の金曜日、私はファミリーレストランで知哉と合流する。軽くご飯を食べて話をし、そろそろ解散しようかというタイミングで例のお守りを取り出した。

「これ、お守りあげる。私あんまり裁縫得意じゃないんだけど、頑張って作ったの。日曜日の面接頑張ってね」

そう言ってお守りを渡すと、知哉は

「いいの? ありがとう! 俺、優奈のお守り見たら面接頑張れるわ」

と目を輝かせる。面接当日も私のお守りを持参してくれるとのことで、お守りが知哉にとって心強いものになってくれたらと思う。



 知哉の入試が終わり、放課後にスターバックスコーヒーでお疲れ様会をした。指定校推薦なので余程のことがない限り落ちることはないけれど、それでも知哉は合否発表の日まで緊張している様子だ。ひとまず入試を乗り切ったということで、私も知哉も新作のフラペチーノを飲む。次は私が期末テストを控えているので、勉強も知哉に教えてもらった。知哉本人は学校の先生になる気は一切ないらしいけれど(知哉が受けた大学の学科も経済学部なので)、学校の先生のようにわかりやすい教え方をする。これで苦手な数学のテストも頑張れそうだ。



 11月下旬になり、私は期末テストを終えた。知哉も入試の結果がわかって、合格していたそう。これで晴れて俺も大学生になれると、知哉は喜んでいた。私は知哉の合格祝いとして、ささやかながらお高めなノートをプレゼントする。ノートの表紙が革製なので高級感があり、知哉も嬉しそうだ。知哉の喜ぶ顔を見ることができて私も嬉しい。クリスマスに何をするか、プレゼントは何が良いかという話もした。

 この関係がずっと続けば良いのにと思っていたけれど、私と知哉が付き合っているという噂が2年生の先輩方の耳に入ってしまったようだ。

「あんたが佐野優奈?」

ある日私が下校しようとしていた際、女子3人組が声をかけてくる。

「そうですけど……」

私が言うと、彼女たちは

「増田先輩と付き合ってるって本当?」

と訊いてきた。彼女たちが知哉のファンクラブのメンバーだとすぐに認識する。

「付き合ってますけど、それがどうかしたんですか?」

私の返しに、彼女たちは

「ふーん。どんな手を使ったの? だいたい佐野のくせに生意気なんだよ」

と捨て台詞を吐いて立ち去った。

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