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Part of me  作者: 遠藤 敦子
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 中学3年生の夏休み、日山学園高校のオープンキャンパスに参加する。その時にもらったパンフレットにあのバンドのボーカルの人の写真が載っていた。彼は増田知哉(ますだともや)という名前で、普通科に所属している。増田さんの写真とともにコメントも載っていたけれど、そこには

【普通科では大学進学から就職まで幅広く先生方にサポートしていただけます。また多くの生徒が部活と勉強を両立させているので、まさに文武両道な環境だと言えます! 皆さんも日山学園で楽しい高校生活を送りませんか?】

と書かれていた。増田さんがいるのはもちろんだけれど、オープンキャンパスに行ってみて雰囲気が私に合っているのもあり、ますます日山学園高校に行きたいという強い気持ちを抱くようになる。



 面接練習と受験勉強の甲斐もあって、私は日山学園高校の普通科に合格した。公立高校は受けていなく、私立高校のみ受験したので、周りの友達より進路が決まるのが早かったかと思う。心結は公立高校に合格したので進路はバラバラになるけれど、高校生になっても遊んだりLINEしたりしようと話した。

 入学式にてクラスに金山中学校の同級生はいなく、周りは他校出身者しかいないことが判明する。それでも出席番号が前後の女の子たちと仲良くなり、そこからたくさんの良い友達に恵まれた。部活は茶道部を選び、茶道部でも他クラスの友達や先輩方と仲良くなる。最初は周りに知り合いがいなくて不安だったけれど、良い仲間に恵まれて楽しい高校生活を送れていたと思う。


 体育祭の応援の練習をしていた際、増田さんが応援団の1人として活躍していた。増田さんは3年生になり大人びた顔つきではあったものの、応援団員をしている様子もかっこよく見える。私は増田さんと目が合うたびときめいていた。応援の練習が始まって以来、掃除時間や下校時に増田さんとすれ違う機会が増えていく。意気地なしなので挨拶できずにいたけれど、増田さんを見かけるたび今日も良い1日になりそうだと考えていた。頭が増田さんのことでいっぱいになり、手の力が抜けてカバンを落としたこともあるほどだ。しかし誰かに知られて噂になるのも増田さん本人の耳に入るのも嫌だったので、どんなに仲良しの友達であっても増田さんのことは言わないでいた。


 そんなある日、学校から帰ろうと下駄箱を開けた際に私は「佐野さんへ」と書かれた手紙を発見する。後ろを見ると「3年1組 増田知哉より」と書かれていたので、差出人が増田さんであることは明らかだ。何が書かれているのか気になったけれど、帰宅してから内容を確認しようと増田さんからの手紙をカバンにしまう。

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