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Part of me  作者: 遠藤 敦子
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 私は友人の川本心結(かわもとみゆ)から高校の文化祭に行かないかと誘いを受けた。

「ねー優奈(ゆうな)、一緒に日山学園(ひのやまがくえん)の文化祭行かない?」

日山学園は市内の私立高校だ。特進科と普通科と保育科に分かれており、いろいろな生徒がいるらしい。

 別に文化祭に興味があるわけではないけれど、暇なので行ってみるかと軽い気持ちで心結の誘いに乗る。ついでに日山学園にどんなひとがいるか見てみたかったからだ。



 いよいよ日山学園の文化祭当日となった。暇だし行くかという軽い気持ちだったのに、私はなんだかんだで文化祭を満喫している。心結に連れられ、体育館でパフォーマンス鑑賞をした。流行りのK-POPの歌に合わせて踊る2年生のお姉さんたちを見て魅了されてしまう。お姉さんたちの次は、1年生男子によるバンドパフォーマンスが行われた。彼らはMrs. GREEN APPLEや[ALEXANDROS]の歌を披露していたが、私はボーカルの人に一目惚れする。日山学園の1年生であること以外、彼女がいるかどうかはおろか名前フルネームすら知らないにも関わらず。彼からすれば私が金山(かなやま)中学校の2年生の佐野優奈(さのゆうな)であることすら知られていないにも関わらず、だ。

 文化祭が終わり心結と別れた後も、ボーカルの男の人の顔が頭から離れずにいた。フルネームすら知らないひとにこんなに一目惚れするなんてどうかしてるよなと思いながらも、彼のことばかり考える日々が続く。高校なんて自分の成績で行ける学校ならどこでも良いと投げやりな気持ちだったのに、彼と同じ日山学園高校に入りたいという気持ちがどんどん強くなっていた。美容師かヘアメイクアップアーティストになりたいと思っているので、普通科にしようと思う。両親は好きにしたら良いという感じで特に何も言ってこなかったけれど、担任の長谷(はせ)先生(担当教科は数学で、陸上部顧問。37〜38歳くらいの男性)には普通科なんてもったいないと言われるだろうか。

 冬休み前の進路面談にて、私は初めて長谷先生に日山学園高校の普通科に行きたいと打ち明けた。

「佐野の成績なら特進もいけそうだけどなー。なんで普通科?」

長谷先生は私が普通科に行きたいと言ったことに驚いている。

「美容師かヘアメイクアップアーティストになりたいので、大学進学までは考えてなくて」

と特進科ではなく普通科に行きたい理由を説明すると、長谷先生は

「そうか。佐野の成績だったら普通科は余裕だと思うし、この調子で頑張れよ」

と応援してくれた。

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