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③破壊と創造

 急いでギルサンダーのもとへ向かうと、その後ろをついてくるように学校の人間が流れるように向かってきた。


「ここから先は絶対に行ってはいけない決まりだよ」


「みんな行ってるから、関係ないよ! 行こうぜ!! 」


「待ってよ」


 子供たちもみんな野次馬のように地下へ向かった。大勢が向かいすぎて長蛇の列になっていた。これでももはや収拾がつかない。


「ギルサンダー、これは」


「チヒロの言っていた通りのようだ。噂を確かめようと思ってな、来てみたらこれだ。それに、この国もこの鬼畜な商売絡んでいることも分かった」


「チヒロ、、、これって」


ギルサンダーと、バモスはすでに消耗戦の戦闘をしていた。チヒロは、少し手助けをするだけで勝てる状況と判断した。


「あの時の小僧か! お前何しに来た!」


「お前はもう一度、ぶん殴ってもわからなそうだな」


「そ、そうか。そんなにその女が大事か! 20歳そこそこで死ぬってのに!」


 俺はその時初めて、ナナの秘密を知ってしまった。そういえば記憶の片隅にある胸の紋章。その紋章が、魔王からの呪いだということ。ナナは、両親の仇討もあるが生きるために魔王を倒したいと思っていたこと。


『その紋章きれいだね』


『チヒロがそういってくれるならうれしい! だけど、これは一緒に消したいなぁ』


『わかった! 消せるように魔法頑張るね!』


 その時は、単純に傷を修復すれば消えると思っていて、一緒にお風呂に入る機会もなくなり、ナナに言われたら消そうと思っていたくらいだった。


「だと、それは魔王を倒さないと消せない……のか」


「馬鹿が! いまさらそんなことを」


奴隷商人は、一人で逃げ出そうとしていた。そして、それをチヒロが魔法で拘束すると何やら怪しい召喚魔法を唱え始めた。魔族の召喚だった。


「なぜ、魔族を」


 魔族は、暴れだした。チヒロと、ギルサンダーは子供たちが逃げられるように道を作った。


「全力で逃げろ!!」


ギルサンダーが掛け声を上げると、みな逃げ出した。そこに集まった先生たちは、自分が戦いの邪魔になると悟り、子供逃がすことに全力を注いだ。半面、この奴隷にかかわっているとみられる大人たちは自分のためだけに逃げ出していた。


「チヒロ、あいつを倒せるか、あれは魔族だ」


「やるしかない」


 バモスは逃げだしていた。そして、バヤシと奴隷商人にはこの一件の説明をしてもらわないといけないため、遠くに飛ばし拘束魔法で留めた。チヒロは同時に魔族に俊足で接近し、中枢に雷魔法の『イカヅチ』を叩き込んだ。ひるんだ様子の魔族に、隙を与えることなく『イカヅチ』を二度、三度絶命するまで叩き込んだ。そして魔族は死に絶えた。


「チヒロ、君はいくつの魔法を」


魔族の適性を判断し、雷魔法を使ったチヒロにあっけにとられた。


『っふ、才能の塊か』


 表向きには、ギルサンダーがこの問題を解決したことになった。奴隷商人、バヤシ会長は囚われの身になり、つながっていたロドリゴデトリアーノ国王もすぐに捕まった。この国【ルアンド】の国政も馬鹿ではなかった。ロドリゴデトリアーノ国王派が牛耳っていたが内部では反発する動きもあったのだ。隣国である【ギランド国王】の力添えもあり、この闇に包まれた悪事も表沙汰になった。


「どうして俺が国王に……」


 ことの成り行きから次の国王にと、ギルサンダーが選ばれた。血筋も由緒ある存在で、【バモス】をとらえた実力が大いに国民に評価された。そして右腕としてソビエントが選ばれた。ソビエントは、集合場所として宿屋にいただけかと思いきや、ギルサンダーとの弟子共振により現地音声を聞いていた。そしてギランド国に情報連絡し、この事態を収めた立役者だったのだ。ブルトンと、ブルズは解散となり子供たち、先生がたは実力に合わせて、学校に編入した。もちろん加担していたものは投獄された。奴隷として死亡扱いされたものは、何名かは救出できたものの、奴隷商人の販路は複雑でとても追いきれなかった。バヤシとつながっていた奴隷商人もどうやら上層部とはつながっておらず、捜査は打ち止めになった。バヤシと奴隷商人、校長のシュンザは処刑となった。


「ナナ、俺強くなるよ」


「いや、その、えーと。 私も強くなる!」


「そのためにも早く師匠には、帰ってきてほしいんだけどな」


「何かあったっけ?」


 チヒロは、ナナになぜ2年前から急に弱くなってしまったのか理由を話した。チヒロはあまりに膨大な魔力を抑えるのに幼少期から苦労していた。師匠に制御魔法をかけてもらいながらなんとか強くなるために力をつけていた。そんな時、魔力を譲渡し「魔力投資」をすることを決めた。自身の才を、師匠にある程度譲渡し、その時になったら返してもらうという試みだ。そうでもしない限りこれ以上成長しないレベルまでチヒロは、齢10歳の時になっていた。


『って、信じてたけど、今の自分の力的にもあの時と変わらないか、それより強くなっているし、もしかしたら師匠に騙されたのかもしれないって思ってきたんだよなぁ』


「ねぇ、チヒロ! 私の話聞いてる?」


「おおっ、来ているよ! なんだっけ? 」


「もう、、、これからどうするのっていう話よ!」


「そうだな……」


 そう話しているとギルサンダー国王がやってきた。




















 



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