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②再会

 結局、宝物では、こちらから思いのままにナナの記憶を消すといことはできないことが分かった。逆にそれで良かったと安堵していた。俺たちは、バヤシが作った特待生用の学校ブルズに向かった。途中で日が暮れてきたので、ギルサンダーの驕りで一食一夜を過ごし、眠る前に少し話した。


「なにか作戦はあるのか」


「ある。と言っても……」


「それは作戦とは言わないのではないか」


 ギルサンダーとソビエントは苦笑いをした。次の日、ブルズに着いた。門は厳重だったが、気配を消すインピデントで侵入した。


「チヒロ、俺も中に一緒に入ってもよいか」


「かまわないけど、何か?」


「この目で確かめたいことがあってな」


「わかった、俺のインピデントで気配を消すから、後ほど集合しよう」


「ありがとう」


チヒロは、ギルサンダーに魔法を付与した。


「ソビエント、お前は外で待っていてくれ」


「はい、私が行っても足手まといになるかと」


「集合場所は、宿で待っております」


「そうしよう」


 三人は、それぞれ行動に移った。チヒロは、まずはナナに会うべく気配を探した。チヒロの探知魔法をもってすれば居場所は明確にとらえられた。会って何から話そうか、昨夜考えていたが結局考えがまとまらないだけだった。ナナの居場所に近づいて来たが足取りは少しだけ重かった。


「ここにナナがいるのか」


入ってみると、そこは間違いなく大浴場だった。チヒロが入るタイミングで、女湯、男湯の看板が取り外されていた。チヒロは、急いでそこを出ようとしたが、カゴに目をやるとそこにはナナのものと思われる下着が少し見えた。生唾を飲み込みチヒロは近づいてしまった。その瞬間ナナが出てきた。チヒロはナナの裸体に動揺し、インピデントが切れてしまった。


「ぎゃ―!!!!」


「ご、ごめん!!」


「チ、チヒロ??」


 ナナの叫び声で、人が集まってきてしまった。チヒロは、すぐに魔法をかけなおし隠れた。ナナはすぐにバスタオルで身を隠した。


「チヒロ、出ていきなさい!!」


「すみません!虫が出たんです! それだけです! お騒がせしてすみません! 皆さんも出てってください!」


 チヒロは、外でナナが着替えて出てくるのを待った。 


「そこにいるの? 部屋に戻るからついてきて」


 チヒロは、ナナについていった。部屋に入るとすぐにナナから話し始めた。


「チヒロ、ごめんなさい。 あんなに叫んでしまって」


 チヒロは今浴槽で叫んだことと勘違いをした。バヤシに攻撃をしたあの日のことだった。


「でも、なんでいきなりあんなことを。確かにバヤシ会長が気持ち悪いときはあるけど、しっかり強くなれている自覚があるし、学ぶにはもってこいの場所で、チヒロもここに来れたらって思ってたのに」


 チヒロは、前世の記憶からバヤシを、変態鬼畜な人物と決めつけていたし、確かにそうだという勘はいまでも持っている。チヒロは事実その場面を見たわけでもなかったため、言葉を殺した。


「そうだね……」


「今からでも遅くないわ、謝ってどうにかならないかしら。チヒロが本気出したらどれだけなのかは私がよく知っているから!! 」


「僕がここで学ぶことは多分ないんだ」


「え? チヒロは強いのは知っているけど……言いずらいけど2年くらい前からとても弱くなってしまったわよね、だから強くなるにはもっと」


「そのことなんだけど」


一方で、ギルサンダーはバヤシ会長をみつけ、後をつけた。すると、厳重な扉をあけながら地下に向かっていたのでついていった。ブルトン、ブルズでは実践訓練で命を落としたとの報告を受けることが多かった。実践で起きることは仕方がないが、戦死したはずの子が貴族のところにいたなんという話がうわさで上がってたのだ。


「まさかな」


そこにいたのは、奴隷商人だった。どうやら商談を行おうとしている様子だ。その奥には牢獄に入った子供たち。ここで働いているであろう教師も何人かもそこに加わっている様子だった。


「バヤシ会長、今回は何人出していただけるのでしょうか」


「お前の交渉次第だな、ガハハ」


あまりにも気持ちが悪い笑い声だった。


「あのな、魔王の呪いを受けている子は高く売れるか?」


「な、、、なんと! 魔王の呪いですか」


「そうだ。 20歳で死んでしまうがその分、その子供はとんでもない才を持った子が生まれるという逸話があるでな」


「それは、それはマニアにとても高く売れる逸材と思われます、その子はどこに」


「最近見つけたナナという子でな、孤児院からここにはいってきたのだ、ちと身体検査をした際にな、偶然見つけてな、最初は何だかわからなかったが詳しく調べたら魔王のお墨付きとわな。 強くなろうと今も励んどるわい。魔王なぞ倒せるわけもなしに! わしが先に味見したいくらいだ」


「味見はどうかおやめください、処女であればなお高く」


「知っとるわい ただ、あの顔、体、たまらんのよな」


『ナナといったか? たしかチヒロ君が話していた』


 その瞬間、チヒロの魔法が瞬間的に切れてしまい、ギルサンダーの姿が現れてしまった。


「お前が誰だ!!! 侵入者だ!」


 すぐさま、護衛が駆け付けギルサンダーに飛び掛かった。それを軽くいなすと、チヒロの魔法が戻りギルサンダーは姿を隠せた。しかし、騒ぎは止まらなかった。


『クリエント』


 そこに現れたのは、王国一の魔法使いと名高い、【バモス】だった。


「お前、ここの調査で何ともなかったと言っていたような」


「見ればわかるだろ」


「買収されたか」


「お前がここにいるなんてな。追放されたと聞いていたがあまりにもみじめだな」


「ここで俺が暴れてもいいのか? 」


「バモス! ここで暴れるな、ここがどこかわかっておるな」


「ギルサンダー、お前を逃がしてやる。 だからここをおとなしく出ていけ」


「もう、俺もいろいろ許せなくてな。 お前たち全員終わりにしてやるよ」


 地下からものすごい音がした。チヒロは、何か起きたことを察知し、向かおうとした。


「私も行く!」


「ナナはここにいてくれ!」


「いやよ、いくわ」


 チヒロとナナは、地下に向かった。頑丈な扉をこじ開けることに躊躇したが、すべてぶち壊し、何もかも壊すくらいの勢いでそこに向かった。なぜならそこにギルサンダーがいるのと、バヤシ会長、そして強者の魔力を感じたからだ。到着し、俺たちは言葉を失った。















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