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憑き物

作者: 雉白書屋

 おお、おお、よう来たよう来た。さささ、じいじの隣にお座り。膝でもいいぞ? ははは、そうかそこでいいか。

 さて、ん? うーん、遊び場かぁ。近くに川はあるがまあ、そう、確かに田舎だからなぁ……。

 お、そうだ、怖い話なんかどうだい? 夏だしな、それもじいじが実際に体験した話だ。ん? 聞くか? よしよし。


 あれはまだ、わしが若い頃の話だ。夜。肝試しにと、わしは友人と四人で自転車を飛ばし、隣町の山の中に入ったんだ。

 まあ、恐れ知らずの年頃でな。霊よりもむしろ虫の方が嫌なくらいで、ぐんぐん進んで行き、そして、お地蔵さんを見つけたんだ。

 でな、恐れ知らずと言っただろう? まあ、度胸があるのを見せつけたかったのもあるが、まあ馬鹿でなぁ。お地蔵さんを叩いて見せたりして、終いには蹴り倒してしまったんだ。

 それからまた山道を歩いていたんだが突然、メンバーの一人がブツブツ、わけの分からないことを呟き始めたんだ。

 何をふざけているのかと笑っておったんだが、そいつは叫び出したかと思ったら一気に山を下りて行ったんだ。

 これには驚いた。あっちゅうまに見えなくなったんだが、そいつは斜面、それに茂みの中もお構いなしに突っ切って行ったんだ。派手に転んだような音もしたな。で、あれ本当に演技か? などと思ったのも束の間、また別の奴が狂ったように頭を掻きむしり、叫び始めたのだ。で、同じ有様。

 恐ろしくなったわしと残った友人は走り、走り、山道を下り始めた。

 でも遅かった。またも友人の一人が狂い、わしは一人残されてしもうた。

 わしはナンマイダブナンマイダブと手を合わせ唱えながら走った。転びもしたが、休むことなく走り続け、そして山を下りたのだ。

 ああ、恐ろしかった……。祟りだ祟り。取り憑かれたのだ。

 友人たちはその後見つかったが、やっぱりどこかおかしくなってしもうた。入院した奴もおる。無論、頭の病院にな。


 どうだ? 怖かっただろう。

 ……だがなぁ、じいじは思うんだ。あれは本当に幽霊とか、お稲荷さんとかそういった類のものだったのかと。

 最近じゃ見なくなったが昔はなあ、テレビ番組で心霊特集とかよう流行ったものだ。今じゃ、画像加工だなんだで心霊写真を簡単に作れるからと廃れたのかも知らんが、もう一つ、心霊特集と交互に流行ったものがあった。何だと思う?

 宇宙人だ。宇宙人特集。

 わしはアレを見てて思った。わしらが蹴倒したのはお地蔵さんの類のものじゃなく宇宙人の、その基地やUFOを隠すための仕掛けというかあるいはアンテナか何かでとにかく、それで宇宙人が怒って、わしらに電波攻撃を仕掛けたのではないかと、じいじはそう思うのだ。どっちだろうなぁ……なあ、どっちだと思う?

 

 ん? おーい……なに、うるさい? 何をそんなに夢中に、それはゲーム機、いやスマートフォンというやつか。

 いやぁ、取り憑かれとるなぁ。

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