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虐げられた伯爵令嬢は獅子公爵様に愛される  作者: あさひ


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「ユーニス」


「レイフ様!」


私が視察から帰ってきてしばらく経った頃、ついにリリム王国のクーデターが発生。統治していた王家が倒され、新たな王が生まれた。王として選ばれたのは、レジスタンスを率いた人物だったようで、貴族ではない者とのこと。


今後は、クーデターに参加した貴族たちの後ろ盾と支援を得ながら、国を統治していくのだそう。新しい国になったことで、イアン兄さまと共にレイフ様が招待を受けて国を訪問することになった。


国のトップが交代した理由なんて、余りにも酷いものだ。ただ諸外国に対して、自分たちの国はすでに持ち直している、とアピールする事も重要。混乱に乗じて戦争を仕掛けようとする国も、全く無いわけではない。


それに、アルムテア帝国は隣国の中でも、一応は友好関係が長らく続いている。表立って対立している国ではない、というのも大事な要素。今後も変わらぬ友好国である、そう他の国々へ周知するのも狙われないための策といえよう。


「どう、でしたか……?」


「大丈夫だ、ほとんど被害がなかった」


「よかった……」


「ほぼ無血開城に近かったようだな、旧王族もすぐに捕縛されたらしい。その後は同じように圧政を敷いた貴族も」


口ぶりから、私の生まれ育ったエインズワース辺境伯領もそうだったのだろう。レイフ様とイアン兄さまに出会ったあの頃、すでに領地は荒廃した場所もあったくらいだ。


旧王族に繋がるような経営をしていた貴族は、爵位に限らず全てが捕縛対象。まあ、当然と言えば当然か。そういった連中は元々、旧王族とも懇意にしており、以前から生活に苦労はしていない。それに加えて、税の取り立ても厳しいと来れば、領民が怒るのも当たり前だ。


「ユーニス……」


「新しい体制となって、今後みんなが安心して暮らせるのが一番です。私には、できることがありませんでしたから……」


「ユーニス。君は頑張っていたよ、この遠く離れた地から。後で聞いた話だったが、かの国のクーデターが最小限で済んだのは、不思議なことがあったかららしい」


幸せに暮らせるように、そう願うしかできない私に、レイフ様は不思議な事とやらを話してくれた。抵抗した貴族がいた地域では、さすがに戦闘が避けられなかったみたいだが、戦闘があったはずなのに、被害は軽傷者のみ。


それも戦闘に至る前に、突然敵方が魔物の襲撃による壊滅でなくなってしまったり、と明らかな自軍への被害軽微。エインズワース辺境伯領では、もっと顕著な現象が出たらしい。その現象が、レイフ様とイアン兄さまと出会った森の中で一番感じた、と報告も上がり。


余りにも私に関係しそう、と兄さまが誰にも言わずに、レイフ様とだけ共有。私にだけ、話をしてくれているのだ。簡単に誰それと言えるわけがないので、話せる相手を限っているのは理解ができる。下手に話が広がって、厄介なことになってもよくないから。


「森の中なら、私が結界を張るために要となる魔法石を……埋めました。一応、壊されてありませんが、建物自体も、結界を担う一部では……」


石に付与して魔法をいくつか使えるようにはしていたけれど、結界に関してはその中でもいくつかに分けて中心地を作っていた。小屋もその中心地の一つだから、森の中に埋めた魔法石が万が一機能しなくても、守備を賄える計算だった。一か所で管理すれば、壊れたりした時に全てが崩れて意味がなくなってしまう。


「俺たちを助けてくれた時も、結界を張っていただろう? あれは小屋を中心点にした結界、ってことか?」


「はい。でも、魔法石を使った結界も同時に展開できるようにしていたので、厳密に言うと一つではないと言うか」


「かなり高度な技術だが、それはイーデン殿下はご存じなのか?」


「言った……と思い、ます」


「陛下には当然だが、イーデン殿下とシリル殿下にも必ず伝えておくようにしないとな」


「あ、はは……」


どうやら、私のやったことは人に大きな声で言えないことだったらしい。高い技術だとレイフ様は言ってくれたけど、おそらくこの言い方から普通ではできないことなのだろう。私には簡単なことでも、できないものなら狙われる原因になりかねない。



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