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未来世界の小説シリーズ

監視カメラがお守りします

作者: リィズ・ブランディシュカ



 一昔前と比べると、ずいぶん多くなったのだろう。


 その時代には、まだ私は生まれてなかったから、具体的な数字は分からないけれど。


 この町には、あちこちに監視カメラが設置されている。


 それは、


 安全のために、よりよい暮らしのためにと、設置されたものだ。


 この監視カメラを通じて、監視員が私達の行動を24時間監視している。


 監視、なんて言葉を使うとなんだか嫌な感じに聞こえるけど。


 私達は、その存在を受け入れていた。


 監視カメラはいたるところに、設置されているから、ささいな行動一つを、詳細に記録されているけど。


 それをおかしいと思った事はない。


 生まれた時からそういう環境だったから。


 こんな時代になった事に、長生きのおばあちゃんおじいちゃんは文句を言っているけれど、私達は首をかしげるばかりだ。


 デモとか行う姿をみて、眉を顰める事もある。


 どうしてそんな事するのだろう。


 監視カメラがないから、犯罪が起きても証拠が残らない。


 それに、困っている人がいても、気が付けない。


 大変な世の中になってしまう。


 昔の人はそんな日常の中で、ストレスたまらなかったのだろうか。


 何か起きても、誰にも気が付いてもらえない。


 誰にも助けてもらえないかもしれない環境なんて、私達だったらきっと発狂してしまう。




 そんな事を考えていたら、目的地についてしまったようだ。


 私は、その仕事場の扉をあけた。


「おはようございます! 今日も一日よろしくお願いします」

「おう、おはようさん。さっそくだけどこっちのカメラ見てくれんか? 住民の姿がうつらなくて他の場所も確かめたいんだけど、カメラの切り替えがうまくいかなくてな」

「分かりました」


 そして、私はさっそく仕事へとりかかる。


 技術の進歩によって監視カメラの機能はぐんぐん向上しているから。画面に変化がないと知らせてくれたり、動かない人間がいたら教えてくれたりするようになった。もっとすごいものだと、体温をはかるセンサーがついていたり、呼吸の数をはかる機能まで搭載されている。


 公共の施設などにはすでにそんなカメラが数多く設置されているけれど、個人の家にはまだまだだ。


 今回は、画面に人が映らなくなったから、こちらの監視施設に知らせてくれたのだろう。

 こういう時は予備のカメラに切り替えなければ。


 カメラを切り替えて、他の場所をうつしていく。


 そしたら。


 一人暮らしの老人が、お風呂場で続く道を倒れていた。


「あっ、大変! 早く救急車を呼ばなきゃ」


 私はあわてて、電話をとる。


 監視カメラのおかげだ。


 早く気が付けてよかった。


 これで、監視社会に反対するお年寄りたちの声も少しは少なくなるだろう。



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