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転生したひねくれ者は二度目の人生をどう送る?  作者: すり寄る玉の輿
幼児期
5/30

打取る▲▽不安

どうもこんにちは!今回初めて前書きと言うのに手を出してみました!少しずつほんとに少しずつですけどこのサイトにも慣れてきました!半分趣味みたいなところもありますけどこの作品が誰かの冒険心的(中二的な)なのを擽れたら嬉しいなとか思ってます!まあ閲覧者の確認法方がわからないんで多分誰も見てないと思いますけど笑笑

「本気かよ……」


 ロッドは己が仕掛けた、簡易的ではあるが駄作ではない罠を意図も容易く突破するプレデターを前に驚嘆の声をこぼしていた。


 それもそのはず、プレデターは仕掛けられたかすみ網に掛かる前に咆哮を上げ、背中の鉱石から高熱のビームを乱雑に放つと、目の前の成木を焼却しかすみ網もろとも焼き消えたのだから。

 あまりにも乱暴な力での解決法にロッドは空いた口が塞がらない。


「……っぶねー」


 ロッドは放たれたビームの流れ弾が自分の真横をすり抜け肝を冷すとそう呟いた。

 高熱のビームはかすみ網を焼き付くすだけでなく、プレデターとロッドが相対していた周囲の木々を焼き付くし、禿げた地面が熱々そうにむき出て焦土と化していた。

 プレデターの放つ光線が無作為に周囲を焼き付くしたことで少し広めの広場が出来上がった。ビームの余波熱で燃えた茂みからロッドとプレデックが不意に姿を現す。プレデターとロッドが距離の空けて相対する。目前にいる怪物は最初の三匹の左にいた奴だと、肩口に突き刺さった矢を見たプレデックはそう確信した。


「グルルアァァ!!」


 プレデターはプレデック達の場所を殺気混じりの眼光で確認すると、威嚇を交えた雄叫びを上げて背中に生えた鉱石を薄いピンクから橙色に変色させた。変色を終えたプレデターの動きが以前よりも一層速くなった。

 だが、ロッドは突撃してくるプレデターとの相対する形を崩さないまま、元々構えていた姿勢で弓への詠唱を素早く済ませると、迫ってくる化け物の顔面目掛けて強い風を纏う矢を力いっぱいに一本解き放った。

 プレデターの正面、自身の顔面を狙い、向かってくる矢を、間一髪で避けた。その際、やはり矢が速すぎるために完全に見切ることができなかったのか、プレデターの顔面右頬に浅い切り傷が入った。


「っふ……甘いぜプレデター、二段構えだぜ!」


 ロッドが仕留め損ねた巨躯の獲物に向かって口ずさんだ。直後、プレデターは一本、高速で向かってくる矢を急ピンチで避けたために勢いを殺さずに真っ直ぐロッドに襲いかかろうとしていた。

 だが、異変に気づいたプレデターは咄嗟にその場で体を宙へと跳ね上げた。


 勢い収まらず、プレデターは受け身をとれないままロッドの正面へと転がり込んでしまった。


「簡易的とはいえ結構魔力が漏れ出すのを抑えて仕掛けたつもりだったんだけどな。やっぱりかすみ網に掛からなかったのがデカかったか……」


 倒れた込むプレデターの側から東に回り込み距離を取るロッドがそう言った。

 そう、ロッドが仕掛けた落とし穴にプレデターは気づき、咄嗟にその場から回避するために空へと飛び跳ねたのだ。その結果、プレデターは受け身をとれず勢い余って盛大に転げてしまった。


 まだ、ロッドの知恵勝負はまだ終わりではない。すぐさま体勢を整え戦闘体勢へと戻したプレデターの背中を一本、強い風を纏った矢が衝突した。

 獲物はどこから来たかわからない矢を受け苦鳴を上げた。


「グギャァァンッ?!」


「言っただろ? 二段構えだって。まあ言ったところで言葉は通じないだろうがな」


 ロッドは口の端を吊り上げにやつくと、プレデターの反応を確認し堪能した後、再度弓を引いた。


「魔力コントロールはどうも苦手みたいでな、矢を動かしながら弓を引くのは今はもう上手くできないんだ」


 ロッドは自分の短所を口にし、顔をしかめ苦笑した。ロッドはプレデターが矢を避けた後、目の前の罠に掛かって隙を作るか、若しくは今みたいに転げて何かしら隙ができることを想定していた。その隙をロッドは、矢に纏う風の力をコントロールしてプレデターの背中に命中させたのだ。


(だいぶリスキーなことをする野郎だ)


 もしこれでプレデターが体勢を崩さないまま突っ込んできていたら確実にプレデックは死んでいた。


 だが、ロッドは確実な勝算あってのあの判断だったのだろう。いくらリスクがあるからといい勝算無しに大博を打った訳ではない。高い確率と今まで培ってきた経験の元、ロッドは勝負に出たわけだ。勝算無しにFXに大金を溶かしたプレデックと比べたらロッドは随分と大肝の据わった奴だ。


 プレデターはどこから来た攻撃か確認するために周囲を見渡し確認を取った。

 だが、そんな隙をロッドが逃すはずもなく、その隙に魔力を弓に収束させていった。プレデターも力の収束に気づきロッドに警戒を向け直した。

 そして、ロッドに収束されていく力の大きさに気づいたプレデターは、雄叫びを上げ背中の鉱石の色を橙色から紺青色へと変色させようとした。


「その変色はもう見飽きたぜ」


 言いながら、ロッドは変色中のプレデターに向かって今まで以上に荒れ狂う風を身につけた矢を獲物に弾き飛ばした。


 今までと同じ単調な攻撃、プレデターは何度もその攻撃を見て来ている。速さこそ増したが今度も致命傷をを回避するのでは?。という考えがプレデックの脳裏を過るが何事なのか、プレデターは全く身を動かさなかった。矢はそのままプレデターを貫き横腹から背中に駆けて大きな風穴を空けた。

 獲物を討ち貫いた矢は勢い収まり知らず、余波でプレデターの背後三〇メートル程まで邁進すると木々をなぎ倒し軽く地面を抉った。魔力を失い矢が地面に突き刺さり一旦区切りがついたことを知らせる。


  そしてロッドの第二の獲物は胴体を二つに分け絶命した。



 ▲▽▲▽▲▽▲▽



 プレデターが絶命したのを確認してから五分。

 ロッドは落とし穴に再び詠唱をし魔法を施すと完成度の高い落とし穴を作り出した。見た目は完全にただの地面だ。プレデックはそのクオリティの高さに感心しつつプレデターの性質を考察していた。


(あの熊は鉱石の色を変える際には身動きが取れないとかか、だから雄叫びをあげることで、威嚇と受け取った獲物が怯える、若しくは警戒をさせることでその隙を誤魔化していたんだろうな)


 遅かれ早かれ時間を掛ければ分かる性質だ。ロッドはそれに気づき先手を打ち、強力な矢を放ったのだ。内心、ロッドは十分に圧迫感を感じていたはず。だが、踏んできた場数の多さからくる絶大な信頼を糧にそんな不安混じりの焦りをだましていたのだろう。つくづくリスキーな男だ。


「んー」


 プレデックがそんなことを考えているとロッドが心許なげな声を上げた。


「二体目のプレデターと遭遇したときには既にもう一体の分体が消失してたんだが最後のプレデターが全くやって来ない……」


 ロッドは一人呟いた。二体目のプレデターを仕留めてからおよそ五分。遭遇してから最後の分体が消えたとなるとそろそろ足音が轟音を響かせて近くに来ていてもおかしくないはずだ。


「嫌な予感がするな…………」


 呟くロッドに、プレデックもそれに賛同していた。プレデックはいつ来るかわからない恐怖が嫌いだ。前世でもよくそればかりに遭遇してたので、その度にポジティブに行こうとしても更に追い討ちを受けてしまう。実は今回も少し楽観的に考えていた、(ビビって逃げたんじゃね?)っとか一瞬思ったりもしていたが、


(悪いことにはならない……はず…………)


 思いを巡らせているとロッドがふらついた。


「はぁ……。魔力を使いすぎたな……残り一体のプレデターを相手にするのは大分骨が折れそうだ。早くアルメロおじちゃんが戻って来てくれたらありがたいんだけどなぁ……」


 ロッドは落とし穴の修復以外、他に罠を仕掛けるでもなくそのふらつく身体を木に寄り掛け腰を落とすと一休みし始めた。


(おいおいまじかよ。今までぽんぽん凄い威力の矢を打ってるから平気なのかなとは思ってたけど……実は限界向かえてたってのかよ……笑えねぇ)


「大丈夫だよプレデック。おじさん強いからあんなプレデターさんなんかには負けないぞ! べろべろばー!」


 プレデックの思考を知ってか知らずか、プレデターと対峙してるときの真剣な表情は何処へ、自分の不安を隠すように、プレデックの不安を打ち消すように、ロッドはアホ面を無理に作ってプレデックに向けてきた。


 ドスン ドスン ドスン ドスン。

 ドスン ドスン ドスン ドスン。


 だが、そんなプレデックとロッドの不安に答えるように、森の中から複数。聞き覚えのある轟音が響くと、プレデック達の耳に入り込んできた。


 これから起こる事象は幸運ではない。

 じわりじわりと求めてもいない悪意のある恐怖がニタニタと嗤っているようで、一休憩いをしている二人にまるで狂喜の笑みを浮かべ、なまやさしく襲い掛かろうとしている。


 ──じわりじわり…じわりじわりと──


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