屈辱
伍員が宮殿に入ると、兵士たちがよってたかって彼の衣服をはぎとった。無論必死に抵抗したが、多勢に無勢てどある。伍員はたちまち赤裸にむかれてしまった。
必死に前を隠す伍員を見て、兵士たちはげらげら笑った。
「えらそうな顔をして入ってきたが、そこはまだ子供だな」
「これから王が、おまえを可愛がってくれるそうだ」
兵士たちはひやかしの言葉をあびせながら、伍員の両手足を縛った。
そのまま宮殿の大広間に連れていかれ、石畳の上に転がされた。
広間のいちばん奥の中央に、平王の玉座が見えた。そこには背の高い、いやに唇の赤い男が座っていた。広間の両端には、伍員を取り囲むように若い女達が並んでいる。
「おまえが伍奢の息子の、員か」
平王がにやにやしながら言った。
「殺せ!」
憤怒と屈辱のあまり叫んだが、感情のたかぶりのあまり涙声になっていた。
女たちがどっと笑った。
「笑うな!」
伍員が再び叫ぶと、女たちはますます笑った。
「言われなくても殺してやる。しかしただ殺すのではもったいない。おまえの父親はわしのことを、『王太子を殺すようならば、国を亡ぼす愚王だ』とまで言った。そんな奴の子供を楽に死なせるものか。楽しんでから殺す。見ればなかなかの美童ではないか。ひとつ可愛がってやるぞ」
そう言いながら平王はゆっくりと玉座から下りてきた。なんとか逃げようとしたが、芋虫のように這うことしかできない。女たちがますます笑った。
兵士たちがやってきて伍員の両足の縄を解き、左右の脚をそれぞれ三人がかりでつかむとむりやり開かせて、その姿勢のまま足を棒に縛りつけてしまった。
女たちのはしゃいだ声が聞こえた。
「いやだわ、みっともない」
「この格好、まるで女みたい」
「これから女にされるんだから、いいんでしょ」
くやし涙がにじんできた。男に生まれて、こんな目に遭わされようとは……。
平王のなまあたたかい手が、伍員の腰をがっちりとつかんだ。
「やめろ! やめろ……。やめ…て下さ…い……」
次の瞬間、肛門に激痛が走った。