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東門の眼  作者: 恵梨奈孝彦
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後朝

ずいぶん前に書いた小説で、データも残っておらず、手で打ち直しているので、ずいぶんゆっくりした投稿になると思いますが、できればお付き合いください。

 男は寝台から降りると、下帯もつけずに床に立った。

 少年は寝台から、衣の中にうずくまったまま男の体を見た。

 男が机の上から粗末な陶器の水差しを取り、茶碗に水を注いだ。こちらを向いて立ったまま、のどを鳴らして水を飲んでいるのが見える。

 窓からさしこんだ月明かりに、細身の二等辺三角形をした男の体が照らされている。褐色のひきしまった三角形の端に股の付け根の線がくっきりと浮き出し、三角形の頂点には大人の性器が見える。

 男は茶碗から口を離すと、大きく息をついて裸のまま椅子に腰を下ろした。

 少年は横になっていた体を仰向けにもどした。

 背筋をうんと伸ばした。体にここちよい疲れが残っている。

 目をつぶって衣を肩の上までひきよせた。ふたり分の体温によって、衣は暖かく湿っている。

 けだるい中でとろとろとまどろもうとした時、突然男の声が耳に飛びこんできた。

「勝よ、おまえは楚王に父を殺され、はずかしめを受けたのを忘れたのか?」

 突然、少年の胸にどす黒い思いが沸き上がってきた。少年はまぶたを開けて体を起こすと、男に向かって叫んだ。

「忘れません。楚王がわが父を殺し、わたしをはずかしめたことを忘れません」

 男は少年の目を見て言った。

「それならばよい。おれとおまえは、同志だ」

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