8百屋感覚
更新遅れました。活動報告でも謝罪したけれど、本当にすみません.....、、
何度も何度も絵本を読んでもらっては憧れ続けた、大陸の英雄。
その英雄の血を直接継ぐ者が、目の前にいるのだ。なんとも不思議で、複雑な感覚。
その001番の少...いや、青年は向かいの特等席で寛いでいる。
ホールの反対側のここからでもわかる、漏れ出る俺様オーラ。
やはり偉大すぎる親を持つと、子供は高圧的になってしまうのだろうか...?
「続きましては、熱砂の都の名職人が作った、太陽の壺!赤に散りばめられた瑠璃色の宝石が美しく輝き―――」
どうやら2品目が始まったらしい。
熱砂の都は、それほど大きくはないものの、商業が最も盛んで伝統と工芸を重んじる幻想的な都だ。
特に毎週行われる夜の宴は別世界だ、と本に記されていた。
熱砂の都の工芸品はどれも独特で、美麗なのだがあまり世には出回っていない。
理由は、熱砂の都が南の砂漠の中心に位置するからだ。
しかも、南の砂漠は大陸で最も広い。大陸の南は砂漠化がかなり進んでおり、いまや一部神秘の森と接しているほど。
森が精霊の住処なお陰でまだ侵食は始まっていないが、それも時間の問題だろうと言われている。
砂漠が広大な上に、突然変異した魔物が多く生息しているので熱砂の都に辿り着く前に天に辿り着く方が早いのだ。
僕も熱砂の都はいってみたいけどね。突然変異種が怖い。
「そういえば、アラスさんはミヤル様のことミヤっちって呼んでたけど、まさかお知り合いですか?」
「知り合い?ふふ、フハハハハ!!そんな生っちょろいものではないわ!アラスとミヤルはかつt―――ムグっ!?」
「なぁにもないよー。大丈夫気にしないでー?」
精霊大王がなにか言おうとしていたが、アラスさんが目にも留まらぬ速さでその口を手で塞いだ。
おぉ、かつて強盗を壁にめり込ませた時に見せた神速...
って、アラスさんが笑いながら不穏なオーラを醸し出しているので急いで話題を変えないと。
「あ、えっと、アラスさんって熱砂の都って行ったことありますか?」
「ないよ。行ってみたいなとは前々から思っているんだけどね。来週くらいに行こっかなっていうのを繰り返してたら20年経っちゃった」
どうしよう、どこから突っ込めばよいのやら...
「ムグムグぅっっ!!ぷはぁっ!我は行ったことあるぞ!」
「え、まさかの?」
精霊大王って神秘の森に引きこもっているイメージがあったから意外だ。
暑くて乾燥している所とか苦手そうだし。
「我がちょうど反抗期で暴れまわっていた頃だったかな。南の砂漠に引きこもっておった突然変異種の青炎の精霊王を配下に加えようとちょっと出向いて、その帰りに熱砂の都に寄ったのだ。」
「その精霊王が最後の奴だったからそれで我は全ての精霊を支配するようになったのだよ!」と、誇らしげに語ってくれた。
精霊に反抗期ってあるんだな。引き篭もりは大王も負けていない気がするけれど。
精霊大王ってそう物騒な感じで誕生したんだな...知らなかった。
もっと、生まれたときより選ばれし者!的な感じかと。
精霊界って意外と実力主義なんだな。
でも、そうすると、精霊大王が熱砂の都に行ったのは何千年も昔だろうから、今の熱砂の都に行ったことのある人はこの中にはいないということか。
いつか3人で行ってみたいな。って、完全に友達感覚になってるな。相手は謎の凄い人物と精霊大王なのに。
でも、アラスさんも面倒くさがりではあるけど暇そうだし、精霊大王は暇じゃない日の方が少ないだろうから、案外誘ったら明日にでも出発しそうだな。
色々と雑談していると、ついに最後の品になった。アラスさん、何も買ってないけどもしかしてただ見に来ただけ...?いや、でもわざわざ生きていたのをバラしてまで見に来る必要はないだろう。
でも、出品されるものはオークションが始まるまでは秘匿されてるから事前には分からないはず――いや、なんか昨日、人の話を盗み聞きできる的なこと言っていた気が......
「本日の最後の品は―――こちら!!かの伝説の英雄方がその旅よりお持ち帰りになられた、魔族の城の宝庫に眠っていた、『アラヴァザの石』!!漆黒の表面に光る無数の金の粒はまるで星空のよう!お値段は、1億ラートから!!」
『1億!?』
会場が1億という値段に騒然とする。
『アラヴァザの石』。確かに綺麗ではあるけれど、なにがそれほどの値段にさせているのだろう。
父の書斎で見つけた古い文献に『アラヴァザの石』の名前があったのは覚えているが、特に特別なことは書かれていなかったはずだ。
いや、もしかしたら覚えていないだけで重要なことが書いてあったのかも知れない。
ともかく、このアラヴァザの石は海底神殿で見つかった魔導書よりも特別な何かを持っているのだろう。
普通は、司会がその商品について説明をしてくれるのだが、アータイルオークションは特殊で全てを説明しないことがある。できるだけその価値が分かる人に売る、という事を稀にするのだ。
その事に不満を抱く者もいるが、本当に価値の分かる人に売る事で、その商品も有効に活用される。そういうことからも、賛成派の方が多いし、僕もそのやり方は良いと思っている。
そう、色々と考えていると、アラスさんがお茶のカップの横に置かれていた番号札を手に取った。023番。
それを、優雅にも見える滑らかさでスッと挙げた。
「1兆ラート。」
そう、非現実的な額が隣に座っている人の口からゆっくり、静かに出された。
その落ち着いた声にはどこか重みが感じられた。
一般的な平民の年収が30万ラート。100億ラートで立派な城が建つ。
国の依頼で竜討伐をした場合の報酬でも最高500億ラートだ。
いくら国家絡みで開かれているこのアータイルオークションでも1000億ラートは超えたことがない。
現実的に、それほどの額を稼ぐことができないのと、仮に稼げていたとしても、そのお金をオークションに使おうと思わないのだ。というか、使ったら破産するというのが現実だ。
1兆ラートなんて、国の財産レベル。
あまりの膨大な額に場が静まり返った。みんなの視線が集まっているのを感じる。
いくら掴みどころのないアラスさんでも、そんな大金を持っているとは信じ難い...
少し不安でアラスさんの顔を覗いてみると、普段のどこか適当で、どこか抜けた雰囲気はどこにもなかった。
そこには、星空を閉じ込めたような瞳を持った男性が足を組み、椅子に背をもたれていた。
その横顔は凛としており、どこかの王族と言われても納得してしまうような佇まいだった。
「い、1兆ラート!!023番様、落札。落札です!」
司会の人もその額に一瞬呆然としていたけれど、ハッとしたように落札宣言をだした。
一発落札だ。まぁ、当たり前だろうけれど...
流石に1兆ラートを超える金額を出せる人はいないだろうし、仮に出されたとしてもアラスさんなら2倍、3倍の額を出すことくらい容易いだろう。しらんけど
『アラヴァザの石』落札後は、閉会の挨拶があるらしいが、アラスさんは興味なさげにすぐ会計にいってしまった。
僕もそれについていったから挨拶は聞けていない。まぁ、聞いた所で退屈なだけかも知れないけれど...せっかく人が挨拶してくれているのだから、聞かないのは失礼だろう。
でも、きっとアラスさんのことだから「ぐれちゃんだから別にいいや」とか思っていそうだ。
会計の際、隣で見させてもらったのだが、積み上げられた金貨のはいった大きな箱を受け取ったスタッフさんは青い顔をして直立不動になっていた。
うん、気持ちはよくわかる。いきなり目の前に国家財産レベルの大金置かれたらそれはビビるよね。
スタッフの人が恐る恐る金貨を数える用に作り出された謎の便利魔法で金額を確認。
生まれたての子鹿並に震えながら『アラヴァザの石』の入った黒い箱を跪いてアラスさんに献上していた。
アラスさんがどこかの国の国王に見える―――のだが、バックに暇そうに揺れている精霊王がいるのでかなりシュールだ。
アラスさんはその箱を受け取ると、じゃあ帰ろっか!と、笑いかけてきた。
あら、先程までの凛とした美しさはどこへ...
またいつものやる気のなさそうな顔に...
でもこれもこれで良い...()
「この後は解散ですか?」
「んー、俺はこれからちょっと遺跡を開放しようと思っててね。カイ坊も来たかったら歓迎するよ?ラウフはどうせ来るだろうから」
「え、ちょ、え、遺跡??開放??なう?とぅでい??」
「とぅでいぃ」
「おーまいがー」
遺跡ってちょっとそこの八百屋へ〜感覚で開放できるものなの...?しらんけど
「あ、ちなみに樹系古代遺跡ね」
「......おーまいまいがー」
言い訳させてください。いや、あのね?
今日実力テストだったのよ。国語と英語。
「この二科目だけだから大丈夫ノー勉で挑んだろ。これがほんまの実力じゃ!」とか言うとったら明日数学、理科、社会の実テっての思い出してん。
ほんなら焦るやん。焦って勉強するやん、気がついたら0時まわっとって「早よ寝ろ」言われるからさっさと寝るやん。ほんで朝5時半に起きて勉強しとってん。まぁ何も頭に入ってへんけど。
腐卵臭...フランって名前ええなぁ、シュウって名前の友達おったなぁ
的なことしか考えてへんかって、とりまそういう理由で昨日は更新できませんでした。
ごめんなさい、、
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