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光が収まり、目に写ったのは肩より右がなくなっている兄フの姿だった。
兄フは左腕をダラリと力なくおろしている。よく見ればそちらも傷だらけだ。
回復魔法で出血は止まっているが、辺りに飛び散った血液は残ったままだ。
俺の放った魔法が兄フの攻撃に成功したと見える。
幸い、兄フの展開していた結界はラウフの使うものとよく似ていたのでなんとか貫通できた。
「あぁ〜あ、人間だからって油断しちゃってたかなぁ。確かに全力は出していないけど...素晴らしいね、君。流石、弟と対等な関係なだけあるよ」
見ると、その明らかに致命傷だった兄フの傷は癒えていた。
古代魔法の回復魔法だろうか、凄まじい回復速度だ。
「これで俺の勝ちかな」
「そうだね。うん、ここを通ることを許そう。ただし...くれぐれも、何も壊さないでくれたまえ。これ以上はもう、ね...」
そう言って切なげにアレフの兄は笑った。
彼がその再生した右腕を大きく降ると、石造りの天井がゆっくりと開き、暖かな光が俺らを包み込む。
「では、いこうか。案内するよ」
「それは頼もしい。色々見せてくれよ」
「はは、勿論さ!」
そう言って俺らは兄フの展開した巨大魔法陣にて地上(?)に上がった。
短いけどしょうがないんだよね、次すぐ投稿します