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生きてます、、、
「だから!無詠唱・無勧告はキツイっての!!!!」
そう叫びながら全力でその魔法への対応を考える。
無詠唱では何の魔法かわからないし、魔法陣を見ても正直どのような魔法かはわからない。
古代魔法の魔法陣はひと目見ただけではそれがどのような魔法か見極めるのは難しい。属性さえ見分けるのがきついほどだ。
だが、それが古代魔法の利点とも言える。
なんとか一部解読をして、自然の基本属性では無いことはわかった。それが分かっただけでも大きい。
古代魔法は単純に殺傷するためだけの魔法というものはない。少なくとも、俺が知っている中では。
空気を操って真空状態にして相手を窒息させたり、空間のすり替えで相手の胴だけを刈り取ったりと、応用したことによる殺傷力は現代魔法を遥かに凌ぐだろう。
で、だ。エレメントではないということは窒息や焼死なんかの心配はないだろう。
基本属性以外は【時空】や【空間】とある。時空も使いようによっては相手を殺すこともできるが、殺傷力は殆どと言っていいほどない。
ならば、きっと【空間】だろう。空間は特に怖い。心臓だけ刈り取られる、なんてこともあり得るからな。
俺は相殺するため、その魔法の魔力の流れを読む。
―――おかしい。
魔法には、それぞれある一定の形で流れる。なので、いわゆる基礎と呼ばれる形さえ覚えておけばその魔法がどのような魔法か、少なくともどんな効果があるかくらいはわかる。
だが、目の前の兄フの発動した魔法はその『形』がないのだ。変化し続けている。
形が無い?いや、そんなことはないはずだ。
形はあるはず。そう信じよう。だが、その形がわからないには同じ魔法で相殺はできない。
ならば力でゴリ押しか?
派手ではあるだろうが、綺麗ではないな。それに、燃費が悪い。
ゴリ押しでは本当に『防ぐだけ』になってしまう。それでは面白くない。
防いだ上での反撃も添えたいところだ。カウンターでもできればいいんだが...
そう思いながら兄フの魔法の流れを読み続ける。
下、右下、下、右下、左上、左、左下、右上、上―――
頭の中で線を描くようにその流れを繋げてゆく。すると、どこか見たことのあるような、そんな形が浮かんだ。
もしかしてと思い、所々の長さを調整してみると...
「素晴らしいな!!古代魔法は!正に芸術だ!!」
思わずそう叫んでいた。
俺の叫びに兄フは一旦動きを止めた。何かを待っているかのように。
できたのは蟹座。読み取り続けると、今度は双子座ができた。線が途切れる時は魔素の流れが揺らぐ。
おそらく、この流れは十二星座を反対方向に遡っている。12つ全て、その一連の流れが『形』なのだろう。
何事も試しだ。同じく魔素と自身の魔力を操って形を作ってみる。
「!!まさか、読み解けたのか!?」
兄フが動揺している。これであっているようだ。
このような『形』は見たことがないのでどの様な魔法かはわからないが、本来の魔法の発動順序の逆をしてみる。
通常、魔法陣を描いてから『形』をつくる。
だが、兄フはちゃっかりと足元の魔法陣を大気中の魔素で覆わせて魔眼でも見えないようにしてあるので魔法陣は描けない。
なので形から魔法陣を描く。細かく言えば、その『形』を作っている俺の魔力と混ざった魔素に描かせる。
魔素はありとあらゆる魔法を覚えている。特に、この辺りは遺跡が多いので、古代魔法を特に覚えている魔素が多く充満していると考えられる。
それに、兄フがその魔法を使っていることで、その周りの魔素はその魔法を覚えたはずだ。
かなりの力技だが、着々と魔法陣を描いてゆく。
一時期兄フは手を止めていたが、再び動き出した。
放たれた魔法がどんどん俺を包もうと迫ってくる。
こっちも魔法を放って迎え撃つ。
2つの魔法は衝突し、打つかりあった大量の魔素が大きな風圧を起こす。
すかさず俺はもう一発放つ。今度はさっきよりも多めの魔力で。
すると、魔法を放った方からまばゆい光が発せられた。
「う、まぶしっ」
光が収まり、ゆっくりと目を開けた。
そこで、目に写ったのは―――
言い訳は言いませんよ。はい。
死んでないことは確かです。
途中で投げ出したりは絶対にしないので!!続きちゃんと出しますので!!