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「あ、兄上...」



 そう、精霊大王がつぶやく。

 大王に兄弟が居たなんて初耳だ。


 先程、9000年ぶりと言っていたので、人類が誕生する前だ。勿論歴史の教科書に載っているわけがない。

 


「ねぇ、なんでここにきたのかなぁ?これ以上、進むなら例えラウでも容赦はしないよ?」


「それよりなんでラウフの兄がこんな所にいるんだ」



 アラスさんが僕らの疑問を口にしてくれた。ナイスアラス!



「うん、なんでだろうねぇ?不思議だねぇ」



 この人、なんだか不気味だ。どこか、と言われるとはっきりとは答えられないが、とにかく不気味。近くに立っているだけで首の後ろの毛が逆立つ。



「そんなことはどうでもいいからぁ―――引き返せ」



 ゆったりとした話し方から急に低く、鋭い声に変わった。

 気のせいか、纏っている空気(オーラ)も変わった気がする。



「俺は別にどうしてもこの先に入りたいって訳じゃないけど......、君に興味が湧いちゃったから帰れないかな」



 じゃあなんで遺跡に入ろうと思ったんですかアラスさん。

 まぁ、あの人のことだ。おもしろそうだから取り敢えず入ってみただけだろう。



「へぇ...?俺に興味?」


「うん、だから少し手合わせ願う」


「な!?アラス!!いくらお前でも兄上相手では―――」


「ラウ、黙って。子供は引っ込んでなさい」


「っ!!は、はい...」



 あの精霊大王が一瞬で大人しくなった...流石は精霊大王の兄。

 それにしても興味が湧いたから戦おうってどうなんだろうか。アラスさんって脳筋ではなかったはずだが。



「それじゃ〜、始めよっかぁ?」



 またあのゆったりとした雰囲気に戻っている。さっきのはなんだったのだろう。



「うん。あ、そうだ。ただ普通に勝負しても面白くないから何か賭けよう」


「いいよぉ、じゃあ俺が勝ったら―――そうだなぁ、ちょっと、力を貸してもらおうかなぁ?」


「俺が勝ったら?」


「君の願いをなんでも一つ、叶えてあげるよ。これでも原初の精霊の一柱だからねぇ、惑星破壊くらいなら容易い御用さ」


「よし、じゃあ始めるか!!」


「うん!」



 ちょっとまってくれ。急展開すぎて常識を司る脳の部分―――あるかどうかは知らない―――が爆発しそうだ。

 原初の精霊は、現在残っているのは一柱だけで、元いた五柱は今はもう居ない。

 様々な理由で消滅したのだ。たしか。


 その最後の原初の精霊こそが、精霊大王。


 専門家は精霊大王が他の五柱を消滅させたのではないか、と言っているが...精霊大王の兄への態度からしてそういう訳ではなさそうだ。

 少なくとも、五柱全てを消滅させてはいない。


 あちらでは既に戦いが始まった...のだが、僕は狂気的に強くはないので、種族の限界を突破したような者同士の戦いなんて目で捉えることができないのだ。

 つまり、僕には2人が突然消えたようにしか見えていない。

 あ、あっちでなんか光った。 

 うわ、床がえぐれてる。こわっ



「精霊大王様、原初の精霊って誰がいるんでしたっけ?」



 暇なので原初の精霊についてでも聞いてみよう。

 多分、今、この世界で一番精霊について詳しいのって精霊大王だし。なんて思って聞いてみると...



「我、兄上、ラータル、レーテル、リュアンゼ、ミラ、セヴェノス、だ。」


「ん?」



 精霊大王とお兄さんで二柱。

 ラータル、レーテル、リュアンゼも足して五柱。

 ミラ、セヴェノスでも合わせると...()()



「どうした?」


「原初の精霊って、六柱では?」


「何を言っておる、七柱だ。あぁ、だが確か...人間どもの間では兄上のことは伝わっていなかったな。」



 何千年も昔の事だし、大人しめだったら忘れられてるのかも知れないな。

 忘れ去らせた原初の精霊に古代遺跡で偶然遭遇、って凄くわくわくするな!!帰ったらお父さんに自慢しよう。父さん精霊大好きだし。



「原初の精霊はそれぞれ七つの大罪を背負っている。というか、背負わされた。人間どもにな。高貴なる精霊がまるで悪魔のような...『大罪』を―――」



 精霊大王が怒りでプルプルと震えだした。ス魔法(マホ)のサイレントモードのバイブ機能のようだ。



「大罪って?」


「あぁ、我が【傲慢】」



 すごく納得。それ以上にお似合いな言葉はない。



「絶対何か失礼なことを考えておるだろう...まぁ良い。ラータルが【強欲】、レーテルが【怠惰】、双子だな。リュアンゼが【色欲】、ミラは【嫉妬】、セヴェノスが【暴食】。そして、兄上が―――」


「【憤怒】?」



 大王が頷く。



「これらの至って不名誉で穢らわしい称号は、大抵はただの人間どもの思い込みで、我らは大して何も罪など犯しておらぬのだが...」



 精霊大王の表情が険しくなる。

 うん、なんとなくこの次大王の口から出てくる言葉、想像できるよ。最早お約束だよね。

 嫌だなぁ、ホント、嫌な予感だ



「兄上だけは、一つ重大な罪を犯しておる。七つの大罪の称号が我らに与えられ始めたのも兄上がきっかけだ。」



 精霊大王の兄って忘れ去られて歴史から消えているから地味に生きていたと思ったんだけどな。

 【憤怒】からして、怒ってどこかの精霊王の城を破壊したとかだろうか。

 怖いな 



「兄上は―――」



 大王が言葉に詰まる。とても良い難そうにしているその様子からして、ただ事ではなさそうだ。

 思わず大きな音を立ててつばを飲み込んだ。









「―――当時居た全ての人類と、精霊の殆どを屠り去った」



短くてすみません!!

親から返却されたテストを守る会の会長なので忙しくて()


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