雨男
降っている雨が一人の男に悲しみを与えている。
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ある砂の国にいる男には雨男というあだ名が付いている。
その男が笑うと必ず雨が降るのだ、男はそれが気に入らなかったが村の者たちはそれが神からの授け者だと喜んでいた。
なんせ砂の国ですから雨がなかなか降らないのです。
そのため村の者たちは雨男を笑わせようと必死になった、だが男はそれが気に入らずなかなか笑わない、何より男は自分の力だけを見られるのがめっぽう気に入らなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜10年前〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ある夜、一人の男の子が砂漠で死にかけていた。
その子は水が欲しくて欲しくて喉が叫んでいた。
だがそこには一滴の水もなく、ただあるのは大きな砂のベッドだった。
そこで男の子は信じてもいない神に願った、『どうか自分を生かしてくれ』となんでもいいただ、まだ生きていたいと。
その男の子は馬鹿らしくなって涙と一緒に笑った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜現在〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
一人の男が雨に降られながら歩いていた。
男はずっと笑っていて、そして泣いていて、その後ろ姿は悲しいものだった。
自分が一人であることに、男は泣きながら笑っていた。
男はもう何日歩いたかわからない、もしかしたらまだ数分しか経っていないのかもしれないしもう何十日も経っているかもしれない。
それほどまでにこの世界に興味が薄れていっている。
ついに倒れ込んでしまった、雨もやんだ、、
『ああ、やっと止まった』
そう思い男は上を見上げた。
男は驚いたなんとも空は綺麗なのだろうか、もう何年も上を見ていなかった。
空はこんなにも青く広い、雲はあんなにも白いく大きい、雨上がりの虹は大きく色とりどりだ。
男の意識ももう遠くなってきている、だけど最後に男は重い口を動かしていった。
『ありがとう』と、笑いながら言った。