第一章 感電死テッド 第一話 リズム・ザ・エレジー
ブラッド・ランド・スケープ
第一章 感電死テッド
第一話 リズム・ザ・エレジー
◯6月19日23時12分
繁華街裏の雨の降る公園
薄暗い古びた公園
稲妻似た眩しい光とバチバチと電気音が響き渡る。
金髪、大柄の男(以下金髪)
「クソがぁ〜!!さっさと当たって死にやがれ!」
金髪が放つ、稲妻がもう一人のマスクを付け、レインウェアを着た男に襲いかかる。
マスクの男は左右に逃げ稲妻を避ける。
金髪
(ちょこまかと動き周りやがって、…じゃぁこれならどうよ)
金髪は、雷を複数放ち一発を囮に使いマスクが避ける方向に残り雷を集中させた。
しかし、マスクの男は雷を当たる瞬間、何かの能力によって雷がマスクの横をすり抜けた。
金髪はマスクの行動に驚いたが同時に自分の考えに笑いがこみあげ、それは大笑いに変わった。
マスク
「…何がおかしい…」
金髪
「 ははは、考えればそりゃそうだ、俺に対する復讐 かと思ったが、いつも復讐できないように半殺しにしているし、ムカついたら殺してる。」
「たまに第三者が 敵討ちで来るが、 今の攻撃で死ぬ奴ばっかだ。」
「だがお前は俺の雷を人並み外れた身体能力と俺の能力を知ってるって事は…」
「お前…チルドレンだろう?」
金髪の問いにマスクは答えない。
金髪
「新入り見たいだが なぜ俺を狙う?……まさか俺が加害者か?」
「……あーそうかそうか、ならすまなかった。」
「悪いが俺は死ぬ気はねーんだ。だからKB は諦めてくれ。」
「まあKBなれなくてもチルドレンなったんだ。兄弟仲良くやってこうじゃねえか。」
マスク
「くくくく……」
それをマスクが冷たく笑う。
金髪
「何んだぁ?……何、笑ってやがる?」
ガスマスク
「本当にお前の声は聞いていて反吐が出る。」
「お前と仲良くだって?できる訳無いだろう。」
「それにお前への復讐で合ってるよ。俺はこの日をずっと待ち望んでいた。」
そう言いながら男は マスクを外す。
マスクの男は顔立ちの良い20代後半の男だった。
整った顔とは対照的に、殺気立つ鋭い目で金髪を睨む。
金髪
「てめぇわ……」
マスク
「お前を殺す、坂城謙吾。」
マスクの男はナイフで金髪に斬りかかる。
坂城謙吾
「まさか、お前がチルドレンになるとはな、おもしれーじゃねーか、ならやってみろよ成瀬響也‼︎‼︎」
物語は6ヶ月前に戻る
◯20☓☓年12月25日
夜景が見える 高層ビルのレストラン
成瀬響也
「愛莉、僕と結婚してください。」
渋谷愛莉
「はい…こちらこそ、よろしくお願いします。」
愛莉は照れながらの答えに、響也は喜びに満ち溢れていた。
付き合って5年、 お互い幸せを分かち合いたいと思い響也は結婚を決意し、愛莉もこの人と結婚したいと想いを寄せていた。
そしてついに二人の夢が叶った。
二人は幸せがこのまま続き、夫婦円満の幸せな家庭を築くのだろうと思っていた………が
そうなることなかった。
それから1ヶ月後
◯1月9日19時19分
希望区 マンション
野次馬A
「火事だ〜」
野次馬B
「スゲー……てかこれヤバくね?」
野次馬C
「まだ中に人が……」
野次馬がマンションに群がる。
マンションの七階部分が酷く激しく燃え、消防士が放水を 開始している。
響也
「嘘……だろ……あ、あいり!あいり〜」
響也は我を忘れ必死に叫び続けた。
なぜならその激しく燃えている部屋が愛莉の部屋だからだ。
その日、響也は愛莉の部屋で夕食をご馳走になる予定だった。だから愛莉は必ず部屋にいる。そう確信していた。
消防士
「危ないから下がってー」
響也
「愛莉が、あの部屋に愛莉がー」
響也は消防士に掴まれながら泣き叫ぶように愛莉、愛莉と叫び続けるしかてきなかった。
だが激しく炎は収まることなく燃え、火災から六時間後炎は鎮火した。
事件後、幸い周りの住人たちの被害は軽いやけどで済んだが、渋谷愛莉の遺体が発見されなかった。
響也は愛莉の安否を心配していた。
それから事件から3週間が過ぎたころ…
響也の自宅のポストに愛莉からの手紙が入っていた。
『響ちゃんへ
突然いなくなってごめんね。
私は生きています。だから心配しないでください。
ですがもう、響ちゃんと結婚する事ができなくなりました。ごめんなさい。私の事を忘れて幸せになってください。 愛莉』
響也
「愛莉……なんで…どうして……こんな……」
愛莉が生きている。それだけで響也は嬉しかった。だがもう二度と愛莉に会えなくなる思いと、自分が何もしてあげられない不甲斐なさに涙が止まらなかった。
……そして渋谷愛莉が失踪してから3ヶ月後…
◯4月1日18時46分
成瀬響也、自宅近くの通り
響也は仕事を休業して、愛莉を探すも、情報が得られないまま、途方に暮れていた。
そんなある日、外で夕食を済ませ、家に帰ろうとした時、四人の男に話しかけられた。
メガネの男
「すみません、つかぬ事をお聞きしますが、あなた成瀬響也さん?」
響也
「‥…あんた達誰?」
話しかけてきた男は三十代後半くらい、スーツのい出で立ちでメガネを掛けていた。
こいつは普通だが後のメンバーが明らかに関わりたくないい出で立ちだった。
一人は四十代後半、白髪の残切り頭で、今の時代に相応しくない姿……侍みたいな姿にオマケに懐に刀を持っていた。
もう一人は二十代前半、見た目は色白でイケメンだが眼が座っていて、何を考えているか分からなかった。
そして最後の一人……金髪大柄、明らかに不良が似合う出で立ちの、坂城謙吾がそこにいた。
メガネの男
「良かった、やっと会えましたよ。私、こいう者でして……」
メガネの男は響也に名刺を渡す。
【鮎川法律事務所 弁護士 鮎川幸久】
響也
「弁護士さん?弁護士が俺に何か用ですか?…」
鮎川
「えぇ、ちょっと成瀬さんに聞きたいことがありまして……」
色白の男
「な〜スティーブ〜スティーブよ〜たのむよ〜薬くれよ〜」
鮎川が喋ってる途中に色白のイケメンに縋りながら頼んでいる。
鮎川 スティーブ
「ビリー……俺は真剣な話をしているんだ。あとでやるから少し黙ってくれ。」
ビリー
「でもよ〜このあいだくれなかったじゃん……」
鮎川 スティーブ
「必ずやるから黙れ!」
鮎川はビリーを罵声する。
ビリー
「ひぃ〜ゴメンよ〜スティーブ」
鮎川 スティーブ
「分かればいいんだ……ジャック、すまないがビリーを見ていくれ。」
鮎川はそう言って侍の男にビリーを託す。
ジャック
「はいよ〜ビリー静かにしてろ、じゃないと俺が斬り殺すぞ。」
響也
(一体何なんだ、ビリー?スティーブ?ジャック?
こいつ等日本人のくせに何んで外国人な名前で呼び合っているんだ?)
この一連の見て、その常識外れの容姿と行動に、ここから早く逃げ出したいと響也は恐怖を感じた。
鮎川 スティーブ
「それでですね、成瀬さんは渋谷愛莉さんをご存知ですよね…」
愛莉の名前に胸がゾックっとした。
響也
(何でこいつ等、愛莉をしっているんだ……)
「……あんた達なんだよ、愛莉の知り合いか?」
鮎川 スティーブ
「はい兄妹です。」
即答で鮎川は答える。
響也
「兄妹?バカ言え愛莉は一人っ子だ!!」
鮎川 スティーブ
「いいえ私達は兄妹ですよ。」
そう言って鮎川は皮肉混じりで嘲笑った。
その不気味な鮎川の嘲笑いに響也それ以上突っ込めなかった。
鮎川 スティーブ
「話を戻しましょう…私達は……愛莉さんを探していまして……特に需要なのは愛莉さんが持ち出したある物がとても大切でして……。」
「成瀬さん、愛莉さんの居場所……ご存知ありませんか?」
響也
(愛莉を探しているだと……こいつ等どう見てもやばい、早く話を切り上げて警察に言わないと…)
「愛莉は火事で死にました…もう…いいですか。」
鮎川 スティーブ
「いや〜それは嘘だ。現場には愛莉さんの、遺体は発見されていないのは、貴方もご存知のはず……」
「私の考えでは、貴方は愛莉さんの居場所を知っていると………」
響也
「だから知らないって言ってるだろう。…もう帰らせてもらう……」
響也が逃げるように去ろうとした時、
鮎川は響也に近づき胸ぐらを掴む。
鮎川 スティーブ
「愛莉は何処だ!言え!!」
睨みつけながら答えを促した。
響也
「し、知らない…」
鮎川 スティーブ
「本当か…?」
徐々に手に力をかけていく鮎川。
響也
「本当だ…本当に知らないんだ…」
鮎川は胸ぐらを掴むのを止め、響也は地面に倒れ込み咳込む。
鮎川 スティーブ
「う〜んこれは困った、てっきり居場所を知っていると思っていた。……これではお父様は心配なされる。」
ビリー
「な〜スティーブ〜オレいいこと考えただけどよ〜聞いてくれるかい?」
鮎川 スティーブ
「なんだいビリー、的外れな事言ったら薬やらないぞ。」
ビリー
「こいつ…人質に取ってエマを誘き出せばいぃじゃない?」
鮎川 スティーブ
「おーなるほど!その手があったか!偉いぞビリー!……ほら薬をやろう」
ビリー
「やったぁぁ!!くすり〜くすり〜」
鮎川が白いケースから赤い錠剤をビリーにわたす。
ビリー薬を飴を噛むみたいに噛み砕く。
ビリー
「………あははは!きもちぃぃぃぃ〜」
幸せそうに空を見上げ涙を流しながら目を瞑った。
鮎川 スティーブ
「さて、じゃぁ彼を捉えますか……死なない程度でたのむよ、ダニエル!」
坂城 ダニエル
「おっし!やっと出番だ…大人しく捕まりな!」
笑いながゆっくりと右手に雷を作り、バチバチと響かせながら坂城謙吾が近づいて来る。
響也
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ逃げなきゃ……」
響也はパニックに陥り後ろに振り向き逃げようとしたが……もう遅かった。
坂城 ダニエル
「迅雷ビート!!」
ビリビリ
響也
「ぐわああああああ」
坂城が放った雷撃は響也にあたり悲鳴を上げ倒れた。
坂城 ダニエル
「おし…捕獲成功……でもよ〜どうやってエマを誘き出すんだ?」
胸から煙草を取り出し吸い始める。
鮎川 スティーブ
「それは僕に考えがある…セツリさ〜ん」
セツリ
「はい、スティーブ様。御用ですか。」
どこからともなく一人の老人が一瞬に現れた。
ジャック
「あーなるほど、執事を使うのか…」
鮎川 スティーブ
「そういう事!セツリさんはお父様の頼みでもエマの場所は教えてくれないんですよね?」
セツリ
「はい。例えお館様の頼みでも、エマ様の命令なのでお答えできません。」
鮎川
「じゃあ、エマに伝達は大丈夫?」
セツリ
「はい、それなら問題ありません。」
鮎川 スティーブ
「じゃぁ、エマに『成瀬響也は預かった。返して欲しいなら、例の物を持って二十一時に港区の港に来い。来ないなら殺す』って言ってくれます?」
セツリ
「かしこまいりました。エマ様にお伝えします。」
そう言い残しセツリは姿を消した。
鮎川 スティーブ
「これで後は例の物の回収とエマを殺せば一件落着だね。」
ジャック
「でも何で港の倉庫なんだ?」
鮎川 スティーブ
「何でって、ドラマとか映画だとたいてい取引するなら港でしょ?」
坂城 ダニエル
「なんだよ、そんな理由かよ…くだらね〜」
煙草を吸いながら、ぶっきらぼうに言う
鮎川 スティーブ
「それに…港だったら死体もすぐ捨てられるしね。」
鮎川は響也を見ながらそう言った。
◯4月1日20時50分
港区貨物倉庫
人気の無い港区、倉庫前には鮎川達と捕まった響也がいる。
坂城 ダニエル
「遅い‼あいつはまだ来ないのか‼」
苛つきながら煙草を吸い始める。
鮎川 スティーブ
「そう苛つくなダニエル……エマ必ずここにくるよ。だって……大切な婚約者が人質だからなす……」
響也の髪を引っ張り響也の顔を見ながら言う。
ジャック
「お、噂をすれば来たぜ!エマだ‼」
ジャックが空に指を指す。
響也も空を見上げる、そこには炎の渦が空を飛びこっちに向かって落ちてきた。……そして炎は消え中から渋谷愛莉が現れた。
愛莉 エマ
「スティーブ‼︎‼」
愛莉の声は怒りに満ち溢れている。
鮎川 スティーブ
「久しぶりだなエマ‼例の物は持ってきたか?」
愛莉は約六十センチ位の長さの物を前に差し出す
響也は暗くてそれが何か分からない。
愛莉 エマ
「響也を離せ‼」
鮎川 スティーブ
「それはお前次第だ!早く渡さないとコイツを殺すぞ!」
鮎川の指示でジャックが刀を響也の首に近付ける。
愛莉
「やめて‼…………解った…解ったからその人には何もしないで……」
愛莉の手から炎が出てきた。その自ら作った炎が手の形になり、その【例の物】を掴み鮎川の方向に向かう。
ジャック
「おいおい炎に包まれて燃えねーのかよ?」
鮎川 スティーブ
「大丈夫。チルドレンの能力でもアレはビクともしないさ」
炎は鮎川に【例の物】を渡す。
そして響也は初めて例の物が何なのか分かった。……それは、女性の右腕だった。
鮎川 スティーブ
「……ほら、見てみろ、この綺麗な右腕を‼……あ〜やっと会えましたね、お母様‼」
響也
(お母様……?)
愛莉
「約束どうり響也を返せ‼」
鮎川 スティーブ
「だそうだ…ジャック、そいつを離してやれ。」
ジャック
「了解……ほらよ」
響也は離され愛莉の方に向かう
そして響也は愛莉を抱きしめた
愛莉
「響ちゃん、体は無事?あいつらに何かされてない?」
響也
「体に電気食らったけど大丈夫。それより…愛莉…よかった。生きてた…ずっと心配してたんだぞ。
愛莉と再会できてホッとし、涙を流す響也
愛莉
「響ちゃん…ごめんね。」
鮎川 スティーブ
「クククク…感動の再会中悪いが本題入らしてもらおうかぁ?」
響也
「…あいつら何なんだ…それに愛莉、さっきの炎はいったい…」
愛莉
「ごめんね響ちゃん……あとで全部話すから今は私の後ろに下がって!」
警戒する愛莉、響也を後ろに下げ攻撃体制をとる。
鮎川 スティーブ
「エマ、お前はチルドレンの立場でありながら、お母様を勝手に持ち出しお父様の怒りに触れた……よってお父様のめいでお前殺す。」
愛莉
「……分かったそれは受け入れる……でも響也は関係ない、だから響也には手を出すな‼」
鮎川
「駄目だ。そいつも同罪だ。仲良く一緒に死ね。」
愛莉
「そんな……」
鮎川
「しかし簡単に死なれたら罰にならない。そうだな……こっちは四人だが最初は因縁の相手とさしでやらしてやるよ……ダニエル‼相手してやれ。」
鮎川の指示で坂城がでてくる
愛莉
「ダニエル……」
愛莉は坂城を見た途端、声は少し脅えていた。
坂城 ダニエル
「会いたかったぜエマ‼
またあの時みたいに殺してやるよ。」
響也
「あの時みたいに?……殺してやるってど言うことだ……?」
鮎川
「あー彼氏さんは知らないのか…なら聞かせてやるよ。」
「お前の婚約者、渋谷愛莉は一度死んでいる……そしてその殺した犯人がこの坂城謙吾なんだよ‼︎」
響也
「愛莉が一度死んでる?…馬鹿な…そんな事ある分けない。だって今もこうして生きてるじゃないか‼」
鮎川
「だから一度死んで生き返ったんだよ。死んだ死因で能力を得てな。」
響也
「死んだ死因?」
鮎川
「そう死んだ死因だ。」
「例えば死因が斬殺だったらあらゆる物を切る事ができる能力。」
鮎川はジャックを見る。
鮎川
「はたまた感電死で死んだなら電気を操る電気人間の誕生さぁ。」
今度は坂城の方を見る。
鮎川
「……さて、ではここで成瀬響也くんに問題です。渋谷愛莉はいつ殺されたでしょうか?」
「…ヒントは火を操るのが渋谷愛莉の能力だ…。」
それを聞いた響也はある事件が頭に過る。
響也
「まさか…あの火事で愛莉が死んだ?」
鮎川
「せーかい‼三ヶ月前のあの日、お前との夕食の買い出しをしていた愛莉を偶然出会った坂城が後をつけ、部屋に押し入り暴行、部屋に火をつけて愛莉を殺した……」
「だが、愛莉は炎を操る事ができる焼死と言う能力を得て、俺達みたいにチルドレンなったんだよ。」
過去のトラウマの様な恐怖を必死で耐えようする愛莉、それを心配な目で見る響也
響也
「愛莉、今奴が話したことは全部本当なの?」
愛莉
「……うん…信じられないと思うけど全部本当…」
「私は一度死んでチルドレンになってこの能力を得たの……」
手を響也前にかざし炎を見せる
響也
「愛莉…」
愛莉
「ごめんね、こんな姿になって…」
戸惑っている響也を見て笑おうとする愛莉
愛莉
「……こんな姿になってしまったから、響ちゃんと一緒に居られなくなって別れを告げたの……」
「でもね、この数ヶ月貴方を忘れた事なんて一度無かった。やっぱり響ちゃんのこと愛してる。」
涙を流す愛莉。
響也
「俺もだよ愛莉、愛莉をずっと探していた。」
「こうやって今日会えて、助けにきてくれて確信した。そんな能力を持ったとしても、愛莉は愛莉だ。愛莉が好きだって気持ちは変わらないよ。」
愛莉
「…ありがとう…響ちゃん…
……私、絶対貴方を守る‼︎だから私を信じて。」
響也
「ああ、何もできないかも知れない…けど、俺は愛莉を信じる。一緒に帰ろう。」
鮎川
「くくくく…最後の別れは終わったかい成瀬くん?そろそろ殺し合い始めようか…」
響也
「愛莉を酷いことしやがって。俺はお前を絶対ゆるさない。」
坂城
「うはははははは、チルドレンでも無いくせにいい度胸だ。だったらお前から殺してやるよ〜‼︎」
坂城が両手に電気を貯め響也に襲いかかる。
だがそれを炎を纏った右足で坂城を蹴り飛ばす愛莉。
愛莉
「お前の相手は私だダニエル‼︎」
よろめくが踏み止まる坂城
坂城
「ふん、そんな攻撃びくともしねーよ。」
ニヤニヤ微笑いながら愛莉の方に向かう。
坂城
「エマ〜大切な婚約者なら必死で守らねぇ〜とな〜!」
牽制で電撃を数発放つ
愛莉
「スルト・レーヴァティン」
炎を両手から出し炎は剣の形になり、その剣で電撃を燃やしながら愛莉も坂城に近づき斬りかかる。
愛莉
「ダンシングファイヤー」
炎を纏い踊る様に回転し、榊の左手を切り落とした。
そして、すかさず愛莉は左脚で坂城の顔に蹴りを入れる。
坂城
「チッ‼︎」
坂城が大きく振りかざした右腕をさらりと交わし、横腹を炎の剣で抉るように刺した。
ジュウーと焼ける音と煙が出る。
坂城
「ぐぁぁぁぁ‼︎クソが〜熱いんだよ〜‼︎‼︎‼︎」
愛莉の腕を掴み投げ飛ばす。
坂城の身体中に火傷と切傷が残る
響也
「凄い‼︎……凄いよ愛莉!全然負けてない。」
響也の呼び掛けに答える愛莉だが表情は曇っている
愛莉
(ここまでは上手くいっている…けどアイツにはアレがある…)
ビリー
「おーなかなかやるじゃん」
ジャック
「おいおい大丈夫かよテッド」
鮎川
「このままではダメだな……」
「おーいダニエル!お遊びはそこまでにして早くKBになって終わらせろ。」
響也
「KB?」
坂城
「うるせ〜‼︎分かってる!今やる所だ!」
「……覚悟しろエマ。もう好き勝手させねー」
「KillerBeast ダニエル‼︎」
坂城は自分に雷を当て呻き声をあげながら、身体電気を纏いみるみると身体の形が変化していく。その姿は蜥蜴の様なフォルムにゴリラの様な腕、そして顔は鮟鱇の様に口が裂け頭には鬼の角が生えていた。
響也
「何だあれ……」
愛莉
「アレはキラービースト…チルドレンの成れの果て……響ちゃん、此処は私がくい止めるから出来るだけ遠くに逃げて!」
響也
「でも愛莉が…あんな奴…相手に出来るのか…」
変化が終わり愛莉を威圧する坂城
坂城
「さぁ行くぜエマ~」
坂城は電気を溜めながらバチバチと音と共に垂直にジャンプを続ける。
坂城
「雷霆……」
そして数回ジャンプした後、標的を愛莉にさだめ放電しながら眼に見えない速さで愛莉目掛け突っ込む
愛莉が炎ので対抗するが坂城の速さで炎が消し飛ぶ。
バヂバチ、ビューー
坂城
「グロリアーーー‼︎」
いきよいよく突っ込んだ坂城、モロに食らう愛莉、愛莉の身体がボキボキッと音と共にコンテナに向かって吹き飛ばされる
ドガンッーーーーン
響也
「あいりーーー!」
坂城
「ふん、チルドレンはこの程度じゃぁ死なねーよ。」
ガラガラ…
土煙から姿を表す愛莉。
愛莉
「はぁはぁ……くっ…ぐはぁ…」
蹌踉めきながら起き上がるが血を吐く愛莉。
坂城
「ほーら生きてる。まだまだこれからだぜエマ〜」
嬉しそうに笑う坂城。
息をするたび身体が痛む愛莉。
愛莉
「はぁはぁ…私は負けない。」
「響ちゃんが一緒にいたいって言ってくれた…」
「私も響ちゃんと一緒にいたい。だから、私が響ちゃんを守るんだ……。」
「だからエマ…私にもっと力を貸して…。」
目を閉じて痛みに耐えながら呼吸を整える。
愛莉
「トゥー・サー・ウィズ・ラブ」
愛莉の思いに身体中の炎が勢いよく燃えあがり、灼熱の炎になる。
呼吸を整えると愛莉は響也を見て笑った
響也
「愛莉……?」
愛莉
(響ちゃん見ててね……)
「いくよエマ‼︎」
身体中灼熱の炎を纏い坂城に突っ込む愛莉。
坂城は笑いながら手から電気の弾をつくり愛莉目掛け放つ。
だが愛莉はその弾ごと灼熱の炎が飲み込み坂城に近づき炎を集中させた両手で坂城の顔に触る。
愛莉
「インフェルノ・ラヴァーズ」
坂城
「ぐぁぁーあちぃぃぃーかおがぁぁぁやけーるぅぅー」
顔中火達磨になる坂城。
手で炎を払おうとするが粘着した炎が絡みつく。
そして愛莉は攻撃の手を緩めなかった。
必死にもがく坂城の後ろに回り両手を伸ばし巨大な灼熱の弾を作り坂城に目掛け放った。
愛莉
「これで最後だダニエル‼︎‼︎」
「マイ・リトル・サンシャイン‼」
ドッガーン‼︎‼︎
坂城にあったた瞬間とてつもない音と強い熱風、そして巨大な炎が巻き上がった。
愛莉
「はぁはぁ……」
息遣いの荒い愛莉。炎を見つめる。
徐々に炎が鎮まり坂城の姿が見えてきた。
身体中が灼熱でドロドロに溶けて頭身だけ残っていた。
響也
「やったー愛莉。アイツを倒したんだ。」
勝ちを確信し、愛莉に近づく響也。
愛莉も勝利を確信して響也に笑いかける……しかし
???
「チープ・ザ・マカロニ・ウェスタン」
バーーン
一発の弾丸が響也に目掛けて向かってきた。
愛莉
「危ない!響ちゃん‼︎‼︎」
瞬時に響也を庇い愛莉の右肩に銃弾があたる。
愛莉
「うぅ……」
響也
「愛莉‼︎」
愛莉
「大丈夫……肩に当たっただけだから、それより怪我はない響ちゃん?」
響也
「あぁ…大丈夫。庇ってくれてありがとう愛莉。」
心配する響也を守りながら警戒する愛莉
だれが愛莉の身体に当てた銃弾を撃ったのか?
愛莉はもう察していた……それはビリーだった。
ビリー
「……当てたよスティーブ。これで良かった?」
鮎川
「あー上出来だ!後でまた薬をやろう…」
愛莉
「ビリー…スティーブ……」
「ダニエルは死んだ‼︎次はお前らだ!」
鮎川
「……イヤ、俺らの出番はまだ無しだ…」
鮎川は喋りながら坂城の残骸の方に近づき右手で坂城に触れた。
鮎川
「ヒーリング・ヴィーナス」
鮎川が技を唱えた瞬間、右手から緑色の液体出て坂城を覆い包み込む、そしてみるみるうちに坂城の手足が再生しだし坂城は元通りになっていく。
響也
「何だ……アレ…どうして、どうして再生するんだ‼︎‼︎」
愛莉
「鮎川……スティーブの能力よ……アイツの死因が特殊なの…」
鮎川達を睨みつけながら響也に説明する
鮎川
「そう。俺の死因は薬殺…薬殺のスティーブ。」
「あらゆる薬品を作ることが出来る能力だ。
だから殺さない用にコントロールして超回復の薬なんて物は意図もたやすくできるんだよ。」
話をしている内に坂城の身体が復活し意識が戻る。
緑色液体は治療を終えると蒸発に消えていった。
坂城
「ぐっはぁーーはぁはぁはぁ……助かったぜスティーブ……」
鮎川
「なーにいいって事よ。
次いでにドーピングもしといたから、きっちりお父様に誠意を示せ。」
坂城
「あーこいつはいいぜ〜‼︎‼︎お前の能力で力が漲って来る‼︎」
身体に力が湧き上がるのを実感し笑いが止まらない坂城
響也
「愛莉……」
愛莉を見る響也。
愛莉
「大丈夫。心配しないで響ちゃん。今度はもと、火力上げて、灰も散りも残さない。」
励ますように優しく話す愛莉
坂城
「いくぞーーーエマーーーー‼︎‼︎」
先の戦闘よりも何倍も速いスピードで動く坂城。
それを受けてたとうする愛莉、だが愛莉に異変が起こる……
愛莉
「え?…炎が…炎が出ない。」
炎が出ない事に戸惑い一瞬戸惑いが生じた。その隙に坂城のボディーブローが決まる。
愛莉
「ぐっふぅ……ぅぅぅーー」
身体中に電気が流れて痺れる愛莉。
蹌踉めく愛莉だがそれを坂城は許さなかった。
蹌踉めく愛莉にパンチの応酬をし、とどめのアッパーで愛莉が飛ばされ倒れ込む。
響也
「あいーりーー」
倒れ込んだ愛莉だがふらふらになりながら必死に立ち上がり戦闘体制に戻す。
愛莉
「はぁ……はぁ…」
「何で、何で炎が…能力が…発動しないの…。それに身体が……身体動かない。」
鮎川
「くくくく…何で炎のが出ないか教えてやろうかエマ?」
鮎川がポケットから白いケースを取り出して青いカプセルを取り出した。
鮎川
「これは俺が開発した新薬パラサイト・ノヴァ。」
「この薬は服用したチルドレンは、しばらくの間能力が使えなくなり身体が動かなくなる。」
「そして、この薬をビリー能力で銃弾に変え、わざと成瀬を狙い庇うお前に当てったのさ。」
愛莉
「はぁはぁ……スティーブ……くぅ…」
鮎川
「だがその薬に殺傷性は抜いといた。あくまでもお前の相手はダニエルだ。」
「だからダニエル
におとなしく殺されろ。」
愛莉
「ダメ……身体が…… 動いて……」
愛莉は薬の効き目で衰弱しきっていた…
響也
(このままじゃ愛莉がまずい。)
「あいりーーー‼︎」
愛莉状況を理解した響也が近づき愛莉と逃げようと試みる……が。
???
「斬り斬り舞…」
スパスパスパスパズッパーーァン
響也
「え?」
プシャアアーーーー
ドシャ…ドシャ
一瞬の出来事だった。ジャックに響也の両足が細切れにされ響也は血を撒き散らしながら地面に落ちた。
身体中激痛が響也を襲う。
響也
「うぁーーーーーー脚がぁーーーーぁぁーー」
パニックなっている響也を見下す様にジャックが見ている。
ジャック
「何もできない人間が出しゃばるな…あれが終わったら直ぐに殺してやるよ、俺がな。」
愛莉
「きょ……ちゃん……」
もう愛莉は声を上げることすらできなくなった。
坂城
「さぁ〜もう決着だ〜」
「エマ楽しかったぜ〜今楽に殺してやるからな〜」
坂城はいきよいよくジャンプをし、五十メートル愛莉から離れ、アスリートの様にクラウチングスタートの構えをする。
坂城
「オン・ユア・マーク」
坂城は呼吸と雷を共鳴し、とてつも無い轟音を鳴らしながら電気を溜め続ける。
ゴロゴロォォォォゴロゴロ
愛莉は力を振り絞り響也の方に顔を向けて涙を流しながら何かを伝え様とした。
響也
「愛莉?……」
だが響也は聞き取れなかった。
電気が溜め終わり坂城は愛莉を見る。
響也
「やめろ、やめてくれーーー」
響也の叫ぶ声が虚しく響く
響也
「あいりーーーーーあいーりーーー」
坂城
「……行くぞ……霆撃‼︎‼︎」
ビュッン
バチバチバチバチ
坂城
「バージャ・コン・ディオス‼」
ズドォーーーーーン
グッシャ、グナシャ……
坂城の右手で愛莉腹を抉る様に上半身、下半身が引き裂かれ空中に舞い落ちた……
響也
「そ…そんな……あ…あ…あいり、あいーーりーーーー」
鮎川
「くはぁはあはあはあーーー
見事に綺麗に別れたな。さすがだダニエル。」
拍手を坂城に贈る鮎川。
坂城
「てこずったが楽しかったぜ、エマーー」
化物と化した坂城が愛莉の死体を見ながら不気味に笑う。」
鮎川
「ダニエル、入れ物か調べる。」
「エマの死体持ってきてくれー」
坂城は愛莉の上半身と下半身を引きずり鮎川に差し出す。
鮎川は愛莉の死体を何かを探す様に調べた。
坂城
「どーだスティーブ。ビクティムだったか?」
変身がとけ元の姿に戻る坂城。
鮎川
「いや、ハズレだ……まぁ右手は手に入ったんだ。よしとするか……」
「おーいジャック!もうそいつも殺していいぞ〜!」
坂城
「へーい了解!…ん?」
響也が這いつくばって愛莉の遺体の方へ向かう。
響也
「愛莉、愛莉…」
ジャック
「おいおい、どこに行くんだ?」
ジャックが響也の右腕に刀を刺す
響也
「ぐあぁぁぁーー」
「はな…せ……」
ジャック
「……わかった、ほらよ‼︎」
右腕を無惨にえぐりながら切り離す
響也
「うぁーーーーーー」
泣き叫ぶ響也。
ジャック
「はははははーー、ささっと殺して愛莉ちゃんに合わせてやるよ。」
響也の心臓の狙う様に刀を構える。
響也
「よくも、よくも愛莉を……」
ジャックを殺意の目で睨む響也。
響也
「お前ら……殺してやる!」
ジャック
「あっそ、死ねよ!」
ビュッーン
いきよいよく刀を心臓に向かって突いた……が
バッシン‼︎
響也の心臓ギリギリで止まった。
ジャック
「あん?」
ジャックの身体中に鉄ワイヤーが絡み付いている。
ジャック
「何だ…?」
鮎川
「ジャック‼︎気を付けろレイラだ‼︎」
ジャック
「ぐっ……」
ギリ……ギリ…
身体中に絡み付いたワイヤーがどんどんきつく絞められいく。
ジャック
「クソ……がぁ……」
スパッン、スパッン
ジャックが力を入れるとワイヤーが細切れになる。
ジャック
「はぁ…はぁ………なめるな……よ」
???
「そう?じゃぁコレならどう?」
空から女が降ってきた。
女はワイヤーで作った輪っかをジャックの首にはめ、いきよいよく一気に絞める。
シュルルルーー
ブッチィン
ジャックの首が宙を舞い地面に落ちる。
グシャ…
女は響也に近づく。
女
「あなたが成瀬響也くん?」
響也
「そうだけど……あんたは一体……」
女
「私はレイラ。愛莉の仲間よ。」
レイラは紐を操り響也の脚と腕を止血した。
響也
「愛莉の仲間……?」
レイラ
「そう。私も愛莉と同じチルドレンよ。」
響也
「……遅いよ……遅すぎる…」
響也は震えながら言った。
レイラ
「……」
響也
「愛莉の仲間なら何で、何で、もっと速く来てくれなかったんだ‼」
「速く来てくれたなら愛莉は死なずに済んだかも知れないのに……」
レイラに涙ながら訴える響也。
レイラ
「……ごめんなさい、全て私の責任よ……」
レイラは悲し表情を見せる。
響也とレイラが話す中、レイラの後ろからジャックの身体が刀を振りかざす
ビュッン
後ろの気配に気づき瞬時に刀を避け身体を蹴り飛ばす。
響也
「はぁはぁ……なんで?…首が千切れたのに生きてる?…」
レイラ
「彼の能力よ、斬殺のジャック……あらゆる物を刃に変えたり。斬る事が出来る能力…」
「チルドレンは自分の死因では死なないの……
だから私が首を絞める前に空気を刀にして、自ら自分の首を切って逃げたのよ。」
ジャックの身体は転がっている自分の顔を持ち上げ、首をくっ付ける。
ジャック
「くそ…ちょっと油断してたわ…」
「初めて会うが、噂はかねがね聞いてるぜ、絞殺のレイラ。」
レイラ
「あら?私そんなに有名人かしら?」
ジャック
「一度にチルドレン三人殺しといて良く言うぜ。」
「此処でお前を殺せば箔が付くってもんだ。…おわいて願おうか?」
レイラ
「いいえ、やめとくわ。」
「怒りでブチ殺したい気分だけど斬殺と絞殺だったら断然私が不利だもの……」
「それに私より怒っている子が貴方の相手になってくれる見たいよ。」
ジャック
「なに?」
身体にズシっとした嫌な感覚がジャックを襲う。
ジャック
「ぐっ……何だ…力が……」
コンテナの影に小さい右腕が見える。
右腕はジャックを標的にしている。
ジャック
「くそ…もうひとり、いやがるのか……ぐぁぁ」
力が抜け地面に落ち苦しむジャック
鮎川
「まずい…ビリー、コンテナだ、コンテナを射て。」
ビリー
「了解!」
バンバンバン‼︎‼︎
ビリーがコンテナをライフル銃で狙うがレイラがワイヤーで弾丸を弾く。
ビリー
「クソ〜レイラ嫌いだ……」
ダニエル
「おいスティーブ。用は済んだんだ。早い所ずらかった方がいいじゃないか?」
鮎川
「そうなんだが……うーん、そろそろ迎えに来る筈なんだが……おっ!来た来た!」
物凄いスピードでワゴン車が走ってくる。
ワゴン車がドリフトしながらスティーブの方に止まる。
ワゴン車の窓が空き中からタバコをくわえたメイド服の美女が顔を出した。
メイド服の女
「お待たせスティーブ。」
鮎川 スティーブ
「逢いたかったぜー愛しのケイト‼︎」
ケイト
「私もよスティーブ。さぁ速く乗りな。」
レイラ
「スティーブ‼︎忘れ物よ‼︎」
ジャックをワイヤーでくくり、スティーブの方へ投げ飛ばす。
坂城がジャックをキャッチし車に運ぶ
レイラ
「それと、愛莉を返して貰うわよ。」
レイラはワイヤーで愛莉の遺体を優しく運び響也に渡した。
響也
「愛莉……愛莉……」
涙を抑え切れなく愛莉を抱きしめながら泣く響也。
鮎川
「レイラ‼︎‼︎」
鮎川を睨むレイラ
鮎川
「俺達と一緒に来ないか⁉」
「お父様もお前が仲間になったら喜ぶ。」
レイラ
「辞めとくわ!」
「貴方達の仲間になるなら死んだ方がましよ‼︎」
鮎川
「ふん、お父様に歯向かう何て飛んだバカ娘だ。」
「まぁいい……今度会うときは相手してやるよ!じゃぁーな!」
スティーブ達を乗せて車は消えって行った。
鮎川達が去った後コンテナの裏からフードを被った少女が出てきた。
少女
「愛ちゃん……愛ちゃん…」
少女は愛莉の姿を見て泣いている。
レイラは愛莉の手を握る。
レイラ
「愛莉、この三ヶ月間、貴女がいて、とても楽しかった…貴女との約束は必ず守る。」
「ありがとう、さよなら愛莉。」
悲しい顔で別れを告げるレイラ。
そして、今度は真剣な顔で響也の方を見た。
レイラ
「成瀬君……今貴方の状況、理解してる?」
響也
「はぁ…はぁ…おれは、このまま…死ぬのか…」
響也の身体は両脚が斬られ、右腕も刀で骨事斬られ皮一枚状態。
レイラによって止血したが響也は大量の出血で意識が朦朧としいていた。
レイラ
「ええ、間違いなく死ぬわ。」
響也
「ハハハ……だろうな…」
レイラ
「………成瀬くん。」
「私に、貴方の命を預けてみない?」
少女
「レイラ‼︎駄目‼︎」
レイラ
「菜緒……」
菜緒
「レイラ、響也をチルドレンにする気でしょ⁉︎」
レイラ
「…ええ、そうよ。愛莉を救えなかったせめての償いよ。」
菜緒
「そんな事したらレイラが大変な事になっちゃう‼︎」
「…愛ちゃんが死んで、レイラまで死んだら私…」
レイラ
「大丈夫……例えトリガーになったとしても私は死なない。菜緒を一人にしないわ。」
菜緒
「レイラ……」
レイラ
「それにチルドレンはそう易々なれる者じゃない。」
「せいぜい確率は一万分の一……仮にチルドレンになったとしても地獄の日々が待っている。」
「どうする成瀬くん?
私に殺されてチルドレンになる覚悟はある?」
レイラは響也に問いただす。
響也は愛莉の顔を見る。
走馬灯の様に愛莉の思い出が蘇る。
響也
「……俺は…愛莉を…殺し…た…アイツらが…ゆるせな…い、だから…おれに…力をくれ。」
レイラ
「……分かった。じゃあ時間が無いから早速だけど貴方を殺すわ。」
響也を身体中に縄を巻き付け、上に持ち上げた。
レイラ
「いい成瀬くん?今から貴方を溺死で殺す。」
「今の状況だっとこの枠しか残ってないの……」
「だけど、私は貴方の運命を信じる。だから貴方も己の運命を信じなさい。」
響也
「あー…信じる……だから、思う存分にやってくれ…」
レイラ
「分かったわ……」
「じゃあ…行くわよ‼︎」
ギュルーーーー、ザッバーーン
レイラは縄を響也ごと海に沈めた。
ゴボゴボゴボゴボ
冷たい、寒い、手足が痛い、息ができない
響也は死ぬと分かっていても縄を解こうと、必死にもがいた。
だが、身体中が縄が更にキツく締まる。
ゴボゴボゴボゴボ、ゴブホォ……
…………
やがて響也は意識は薄れ、酸素が無くなり、生き絶えた。
4月1日23時14分
成瀬響也 死亡
死因 溺死
◯彩り一面の花畑
響也
「此処は…どこだ…」
???
「響ちゃん……響ちゃん」
背後の方から呼ぶ声がする
背後を振り向くとそこには、愛莉がいた。
響也
「愛莉?」
愛莉
「響ちゃん。」
響也を見て笑顔を見せる愛莉。
響也
「愛莉、こんな所で何やっているんだ?
一緒に帰ろう。」
響也は愛莉に近づき手を掴もうとした。
だか響也手は愛莉の手を擦り抜ける。
響也
「何で…」
愛莉
「ごめんね響ちゃん、私はもう死んじゃったから…」
「もう一緒に帰れないの……だからお別れをいいに来たの。」
響也
「……だったら俺も一緒に行くよ。」
「愛莉と一緒ならどんな場所でもいい。」
愛莉
「それはダメ……私は響ちゃんには生きていて欲しい。」
響也
「愛莉…」
愛莉
「私ね…響ちゃんと過ごした五年間、とても楽しかった…」
「一緒に泣いたり、笑ったり、時には喧嘩したり目を瞑れば色んな思い出が蘇ってくる…」
「響ちゃんは私の大切な人、大切な人だから響ちゃんは私の分まで生きて。」
響也
「愛莉……俺も…俺も幸せだった。」
「愛莉はどんな時も寄り添ってくれて、頑固な所もあるけど、どれも全部愛しくて俺の心の支えだった。」
「だから今もそんな愛莉が大好きだ、愛している。」
愛莉
「私も大好きよ、響ちゃん。」
響也と愛莉は涙を流す。
徐々に響也と愛莉の身体が薄れていく。
愛莉
「…そろそろ行かなくちゃ…」
「ありがとう。バイバイ響ちゃん、さようなら。」
響也
「……ありがとう…愛莉…さようなら…」
響也は笑顔で手を振って消えていく愛莉を見送った。
そして、響也も元の世界へと消えていった。
◯4月1日23時55分
港区貨物倉庫
響也が死んでから約三十分
海から引き上げられた響也の死体を見守るレイラと菜緒。
菜緒
「ねーレイラ響也大丈夫かな?」
レイラ
「まずいわね……もうとっくに生き返っても良い時間なのに、このまま反応がないとチルドレンになれなかった事になるわね…」
菜緒
「そんな…」
レイラ
「大丈夫よ、菜緒。成瀬君を信じましょう。」
レイラ
「うん…私信じる…響也帰ってきて。」
必死に祈る菜緒
レイラ
(……愛莉これで良かったのよね…)
レイラは愛莉とのやり取りを思い出す。
〈回想〉
並木を歩く愛莉とレイラ。
愛莉
「ねぇレイラ。」
レイラ
「なに?愛莉」
愛莉
「このあいだ話した事覚えている?」
レイラ
「覚えてる、貴女の婚約者の話でしょ?」
愛莉
「そう…その話、私ね、彼に手紙書いたの。もう貴方とはもう逢えません。さようならって。
それを彼の家のポストに入れてずっと影で見てたの…」
レイラ
「…それで?」
愛莉
「それで彼が帰って来て私の手紙だと分かって凄い喜んでた。でも手紙内容で泣いてた…」
「それを見た時思ったんだ。ああこれで響ちゃん最後の別れなんだって……そう考えたら涙が止まらなかった…」
レイラ
「……愛莉は今でも彼の事好きなの?」
愛莉
「好きよ、大好き。」
レイラ
「そう、聞いているこっちが恥ずかしいわね。」
ハハハと苦笑いの愛莉。
愛莉
「…でもね、大好きだから「私がいなくても響ちゃんには幸せになって欲しい」ってそう願うようにしたんだ。」
「チルドレンなんかに関わって欲しく無いから私は外から見守る事しかできない。」
レイラ
「愛莉…」
歩くを止め立ち止まる愛莉、レイラも立ち止まる。
愛莉
「……ねぇレイラ…もし…もし私が死んで、お母様が復活してしまったり、響ちゃんがチルドレンに関わってしまったら響ちゃんを助けてあげて欲しい。」
「こんな事頼むのは間違いだと思う。でもレイラだから頼みたいの…」
レイラ
「それは、仲間だから?」
愛莉
「ううん、友達だからだよ。」
レイラ
「……分かった約束する。」
「愛莉の大切な人なら私が守るわ。それに貴女だって死なさせない。」
愛莉
「…ありがとうレイラ。」
レイラ
「…お礼なんていいわよ……」
「さぁ、菜緒が料理作って待ってる。行きましょう。」
愛莉
「うん。」
2人は並んで帰った。
〈回想終わり〉
レイラ
「…成瀬君の言う通り私がもっと速く助けに行けたらきっとこんな事にはならなかった。」
「だからせめて私は愛莉との…友達との約束を守りたい。」
「お願い成瀬君目を覚まして。」
すると、響也の身体中ビックンと波打つ
菜緒
「レイラ見て響也が‼︎」
響也の斬られた手脚が徐々に元に戻っていく。
菜緒
「やった‼︎レイラ‼︎響也が生き返ってる。」
手脚が元に戻り響也が目を覚ます。
響也
「ぶっはーーゲホゲホ」
「…はぁはぁはぁはぁ……」
「何だ…手脚が…元に戻ってる…俺はいったい…」
菜緒
「響也‼︎‼︎やった‼︎やった‼︎」
響也に飛びつき抱きしめる菜緒。
レイラ
「気が付いたみたいね成瀬くん。」
響也
「はぁはぁレイラ…俺は…」
レイラ
「死んでチルドレンになったのよ。」
「おめでとう成瀬くん……いえ、此処はチルドレンの名前で呼ぶべきね…」
「おはようブラッド。
チルドレンの世界へようこそ。」
ブラッド・ランド・スケープ
第一章 感電死テッド
第一話 リズム・ザ・エレジー 終わり
次回、感電死テッド第二話「ハイブリッド・イノセント」は二月上旬予定。
渋谷愛莉 24歳
誕生日7月25日
血液型 A型
死因 焼死
能力 焼死のエマ
技
スルト・レーヴァティン
ダンシングファイヤー
トゥー・サー・ウィズ・ラブ
インフェルノ・ラヴァーズ
マイ・リトル・サンシャイン