無い物ねだり
そこの空間には、老婆が座っている
老婆は、こちらを見ると微笑みながらこう言った。
「今回の、お話は無い物ねだりでございます。」
「どうぞ最後までお聞きください。」
無い物ねだり
とある家の縁側で、老人がすわっていた。
その老人は、庭に植わっている桜を見てため息をついた。
すると、庭の入口から
「おーい久しぶり。」
と言って友達がこちらに歩いてきた。
彼と、友達は、同じ悩みを抱えているものだ。
「調子は、どうだ?」
「いや全然だよ。」
「やっぱりあの薬もダメだったわい。お主の方は、どうじやった?」
「そうか、俺の方もダメだった。」
そう会話のやり取りをさて二人は、ため息を吐いた。
「桜は、良いのう葉を全部落としても来年には、又多くの葉をつけるのだから。」
「そうだな、なぜ人間は、一度落ちた物がまた生えてこないんだろう?」
「さあな。じゃが今度生まれてくるときは、もっと多くの毛が頭に欲しいの。」
そう老人が言って、二人はため息をつき、毛のなくなった頭を互いに見た。
「いかがでしたでしょうか今回のお話は、それではまた次回のお話でお会いしましょう。」
と、老婆は、言った。