表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想内の推しが居た!?  作者: らくま
本編
9/10

6.イベント実況!?

前回の話を微修正しました。なので前話と同日です。

ツッコミ不在の1人漫才……。

 はい!雪慈(ゆきじ)さんとドキドキ下校イベント第2回がまもなくスタートです!えー、解説は私、『五体投地(ごたいとうち)で幸せを噛み締め隊隊長の鹿野木(かのき)』です、よろしくお願いします。実況は私、『雪慈さんの体温と香りを思い出して悶える変態鹿野木』でお送りします、よろしくお願いします。


 さっそくですが、解説の鹿野木さん!私はどこで待てば良いのでしょうか!?


 そうですね。朝の光景を見た実里(みのり)ちゃんの質問を躱しての放課後、今度は雪慈さんが他クラスのお友達に捕まっていますからね。このまま教室か、玄関口か悩み所です。しかし、仲良し尊い!


 おっとー!雪慈さんが「彼女と帰るんだから離せ」!!うぐっ……私の心臓がメタルコアです……。その言葉に余計に騒がしくなるお友達!お友達には言葉が冷たい仲良し尊い!それより、飛び火する前に逃げ出しましょう鹿野木さん!!


 はい、早急な脱出が生存率を上げるでしょう。荷物を持って玄関へ急ぎます。


「すず、一緒に帰ろうって言っただろ」


 廊下に出て3歩です!!少し不満げに手を捕まれてしまいました!しかもそのまま前に回り込まれました!尊さが限界突破してどうしましょう鹿野木さんっ!!


 推しの尊さは限界突破しているのがデフォルトです。落ち着いてください。


「あ、げ、玄関で待ってようか……と。話し、してたし……。」


 あーっと!雪慈さんの拗ね顔に後ろめたくなってます!敬語が外れているのは雪慈さんの要望です!決して敬う気持ちを無くした訳ではありません!!


 もう顔を見ても会話ができるなんて成長期ですかね。心のスクショが止まりません。


「そうか……。待たせて悪かった。帰ろう、すず。」


「はっ、はいっ!」


 あああここでほっとした声で微笑をするのは反則です!!

 正面から回避不可の精神攻撃とか対抗判定に勝てなかったら倒れるんだからな!!

 一度も鼻血を噴かない私の粘膜に感謝して!!


 あーもう無理だよ!実況と解説とか仮設すれば多少は落ち着けると思ったのに!落ち着いてなけりゃできないんだから対面したら無理に決まってるよなぁ!!!


「じゃなくて?」


 え、小悪魔スマイルしゅご……。

 友達に見せる皮肉スマイルより悪戯っ子の期待が見えりゅ……。

 可能性の神かよ……。

 じゃなくて!じゃなくて??

 んんー……??


「え、あっ、うん!」


「そうそう」


 ああー敬語ではなくの『じゃなくて』でしたかー。

 ……満足そうに頷く姿が眩しすぎるっ!!

 ああっ!?近づいて来たさっきのお友達に雪慈さんの肘鉄が決まった!!


 冷やかされるのは苦手だけど、眉間に皺を寄せた雪慈さんが崩れ落ちたお友達を見下ろす姿は、とてもとても素晴らしかったので余裕でお釣りがでますね!!





 やっと学校から出て歩き始めてから、ふと気づいてしまった。


「あ、の……ゆ、ゆっ、きじさんの家って、どの辺りなんです……なの?」


 そう、私は気づいてしまった。雪慈さんと同じ中学だった実里ちゃんは、私の家と反対側だったはず。私は徒歩通学だけど、実里ちゃんは電車を使ってる。つまり、昨日はとても遠回りしてまで送ってくださったはず!!


「さすがに、すずの家よりは遠いな。それでも近い方だとは思うけど」


「でも、方向、逆です、よね?ぁ、だよね?」


「一緒に帰るって言って校門までな訳ないだろ。送り迎えは俺がしたいだけだから。……すずが嫌なら止めるけど?」


 そういう聞き方が小悪魔ちゃんだって言ってるのに!!

 いや、言ってないけど!!

 私をトキメキで磔にしたいのか!!


「嫌という訳ではっ!いや、負担をかけるのは本位ではなく、でも私としては嬉しいのも事実でして、ゅ、ゆき、じさんの意思を尊重すべきで、えと、」


「負担じゃないって。だから、いいんだよ」


 そう言って繋いでいた手をぎゅっと握りこまれた。何とか意識の外にやっていた繋いだ手を主張されて、負担とか不安を考える余裕はなくなってしまった。





 結局今日も私は家まで送って貰い、加えて明日の迎えを約束された。


 去り際に「じゃあな。また、明日」と言った雪慈さんはアイドル並みのサービス精神でお手振りをして帰って行かれた。画面越しのアイドルには無意識に振り返せるのに、雪慈さんにはホールドアップしたまま固まるしかできない無力な私を許してくれ。



*****



 実里ちゃんからの尋問?はて、何のことでしょう?

 …………夜に電話で丸っと話させられましたとさ。


 実里ちゃんに、黒髪眼鏡猫好き元ヤン草臥(くたび)れた物理教師な良い人が現れるのを願ってます。


読んでくださり、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ