私はあなた、あなたは私
俺は小さい頃から一人だった。
幼い頃親を亡くし、学校にも
何処にも行けない、もちろん
友達もいない。
いつもいつも暗い闇の中。
「こんなの生きてる価値あるのかな」
その日からだった変な夢を見るようになったのは……
夢の中で出会ったのは一人の少女、話かけても返事もしない。ただただずっと遠くの方を見ているだけ。
その姿に俺と同じようなものを感じた。
俺は毎日毎日その少女に夢の中ので話しかけた。返事が返ってこなくても話す相手がいるだけで気が楽になった。
そんな日々が何十年と続いた。
俺は働いて貯めたお金で高校へ行くことが出来た。
初めは分からないことが多かったけど友達も出来た。
俺はだんだんと人生が楽しくなっていった。
それと同時に夢の中の少女が離れていくような気がした。
そうして高校最後の夏。
その夢を見るのが最後になった。
その日の夜、夢の中の少女が初めて俺の目を真っ直ぐと見つめた後、その場を立つと小さな光の方へと歩いていった。
その時俺はもう少女と会えない気がした。
「ま、待って!君は誰!?」
すると、少女はこちらを振り向き泣きそうな顔でニコッと笑いう。
「私はあなた。あなたは私」
「いつも話しかけてくれてありがとう。あなたが幸せなら私も幸せ、ありがとう…」
そうして少女はだんだんと遠くへ行ってしまう。
「違う、違うよ!俺は俺。君は君だ。俺が幸せになったから君が幸せになるわけじゃない、君だって幸せを求めていいんだ」
俺は少女を追いかける。
その距離が縮まらなくても何十年も君を見てたから、君がいたから俺もここまでこれたからーーーーーーー
「俺もっと幸せになるから、君を幸せにしたいから!」
俺は少女の手を掴む。
「俺は俺。君は君」
すると少女は、大粒の涙をながし俺のを握り返す。
「私はあなた。あなたは私」
最後の夢なのにあの終わりかた何!?どう言うこと?ってなると思いますが、このふたりがどうなったのかは読み手さんのご想像になります。