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悪魔の住む石  作者: Aino
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不思議な謎の解き明かし

「そういうことなん!」

石切の住宅街で、亜希、小夏、奈々絵、千都世が歩いている。小夏は思わず目を見開いた。千都世はちょっと笑った。

「いやぁ。偶然やったわ。」

さっき、なぜ千都世のスマホに咲子の鞄の中の凶器が映っていたか。それは、千都世が偶然あの歩道の前の住宅街に住んでいる友達のところに遊びに行き、2階に案内されてふと窓を開けて下を見ると、ちょうど咲子たちがいたのだという。これは怪しいということであらかじめスマホを出しておき、凶器が出てきたところを携帯電話で拡大してパシャリ。偶然出来たカミワザだ。亜希たちは感心しおもわず拍手する。

あの後、咲子は警察に連行、たくさんのことを質問された。でも、黙秘しているという。そこへ、亜希たちが登場。小夏は、ルーズリーフの内容を読み上げ証拠のビデオを警察に見せた。驚いた警察はうなだれる咲子を逮捕。村田ヤスエの捜査も行っているとのことだ。

「良かったぁ。やっと逮捕された〜。」

亜希がふぅ、と息を吐いた。

「そういえば俺、そのビデオ見たいわぁ。でも今は警察か。どんなビデオなん?」

千都世が言った。

「梨乃のおばあちゃん、つまり教祖がこれくらいの石を使って何かおまじないみたいにするんです。それが終わったら、『殺す』とか平気で言ったりして。でも、おまじないのときに笑いそうになって…」

亜希が笑いながら説明した。

「そうかー、おもしろそうやな。」

千都世が残念そうに言った。

「まぁ、警察に返してもらえばいいじゃないですか。本当に笑ってまいますよ。」

奈々絵がクスリと笑って言った。

「そういや、思ったんやけど、今回の事件、『石』が多く出てこーへんかった?」

小夏が話題を変えた。亜希、奈々絵、千都世は、事件が解決するまでのいきさつを思い出そうとしている。

「まず、『MRT株式会社』の大理石やろ、次に赤口咲子の宝石、その次に梨乃のお母さんのパワーストーンブレスレット、最後に宗教で使われてたおまじないの石。」

「あっ!」

ようやく気付いたようだ。…と、その時、

「きゃっ!」

亜希が前によろめく。…だが、クラッシックバレエで鍛えたバランス感覚を使って…体勢は元通り。

「危なー。」

…とため息をつく亜希の前には…

「あ、石ころ。」

「これも事件か!?」

「なわけないでしょ。」


では、宗教団体の教祖様は、今頃どうしているのだろう。

「何であの子は結婚してしまったのだろう…。おらが死ぬまで、一緒にいてくれると思ったのに…。だから女を寄せつけなかったのに…。何でだ…。」

そのころ、梨乃の祖母、村田ヤスエは宗教団体の建物内にいた。たった1人で。あの石にむかって泣いていた。

ヤスエの事情は、こうだ。ヤスエの息子、つまり村田優也は独りっ子で、可愛がられて育った。だからヤスエは、優也に結婚してほしくないと思い、優也にあまり女性を近づけないように心がけていた。だが、優也は結婚し、遠くに行ってしまった。…それからというものヤスエは優也の妻となった美智子を嫌い恨むようになったのである。その恨み、そして悲しみから宗教に手を伸ばしたのだ。

美智子と、優也と美智子の子である梨乃をこれまでずっと殺害しようとしていたがどれも失敗。そこへ同じく美智子を恨む咲子がやってきた。だから神のお告げであるとありもしないことを言い、咲子に美智子を殺させた…。と、このような経緯があったのである。

「お忙しいところすみませんが、村田ヤスエさんですね。今から警察に来てください。宗教団体のことを取り調べますから。でも、もう逮捕状はでていますよ。おとなしく来てください!」

警察官がバタバタと入ってくる。その警官の1人がヤスエの腕を無理矢理引っ張って、パトカーに連れ込んだ。もうヤスエには抵抗する力も無かった。うなだれて後部座席に乗り込む。警官は、

「意外に簡単だったな。」

と、ヒソヒソと言い合った。

ムーラフィー教の教徒たちも15人全員見つかった。全員女だ。

教祖である村田ヤスエと人を殺害した赤口咲子、田中有子や、教徒15名は懲役刑を言い渡された。

「ちょっと、やりすぎじゃない?懲役刑は教祖と殺人犯だけでよくない?」

警察に宗教団体のことをベラベラ喋った小夏だが、少し反省の色を見せていた。

「これでいいねん。悪い奴は懲役。死刑でもいいわ。当たり前やん。」

奈々絵が平然と言った。亜希は少し驚いた。

「小夏と奈々絵、性格入れ替わってない!?」

2人は「え?」と気がついていないようだ。首を横に傾げている。

亜希が笑い出しそうになった時、急にピーンポーンとインターホンが鳴った。亜希はハーイと玄関のドアをそっと開ける。

「梨乃!」

梨乃だった。奈々絵と小夏が走り寄る。

「やっと会えたぁ〜!梨乃、久しぶりね!」

小夏が言った。

「うん!…で、大ニュース!里親、見つかってん!」

梨乃が満面の笑みで言った。3人は「へぇ!」と驚いた。

「それがさ、その里親の人、石切出身!小学校区調べてみたら、ここやった!」

3人は一瞬固まった。驚きと嬉しさのあまり、我を忘れたようだ。

「やったあ!」

飛び上がった。円陣を組むように4人は並んで、ハイタッチ!幸せの瞬間だった。

「蒼璃、ビックリするやろな!」

奈々絵が言った。みんなも、うんとうなずく。

「あれ、梨乃!」

梨乃が振り向くと、千都世がいた。梨乃は、里親の話を聞かせた。

「へぇ!すごいやん、梨乃!良かったなぁ。俺もめっちゃ嬉しい!じゃあ!」

千都世は忙しそうに去って行った。おそらく、塾やサッカーの用事だ。

「そういやさ、覚えてる?私が国語ノート失くしたの。」

「あ、覚えてる覚えてる!それがどうしたん?」

「国語ノート、出てきてん。変なところから。お母さんのバックの中。」

「えっ?何で?」

「私も証拠人として枚岡警察に行ってん、そしたら警察の待合室に、高野先生がいたの。フリンっていうのかな、不倫したんやろ。で、高野先生にすべてを聞かせてもらってん。私のお母さんは、高野先生に近づきたくて、私のランドセルからノートを盗って『梨乃のノートが急に無くなった、これはいじめじゃないか』って訴えて高野先生のところにずっと話し合いに行ってたんやって。それから恋は発展。…てわけ。」

梨乃は一気に話し終えて、ふう、と息をついた。亜希は、梨乃が自分の母親の不倫の話を悠長に話せるところに感心した。普通では考えられないことである。

「梨乃、すごいなぁ。」

亜希がつぶやいた。

「えぇっ、そんな、どこがぁ?」

梨乃は笑いながら言った。みんなもつられて笑う。この笑い声が、今日からずっと続く…亜希はそう信じていた。とてつもなく、嬉しかった。


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