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03:わたしは神から見放された者。そう、悪魔にもっとも近い存在

 翌朝。

 僕はいつものように学校をサボっていた。

 そしていつものように二十五階建てのマンションの屋上にいた。

 今日は、転落防止用のフェンスを超えていない。

 最近の流行りなのだろうか。マンションの屋上の中心には、しばが植えられた広い緑化スペースがあった。

 僕は、そのスペースで寝そべっている。

 疲れてるはずなのに。

 生きることに希望を見出せず、持てず、疲れ果てたはずなのに。

 何で僕は、まだこの世にいるのだろうか。

 どうして僕は、酷い世界の中でまだ生きているのだろうか。

 楽になればいい。

 楽になれば何も考えなくてもいい、苦労しなくてもいいはずなんだ。

 答えは簡単。

 簡単なゆえにすぐに、答えは知ってる。

 だけど僕は、まだここにいる。

 なんで――。

「やぁ」

 アイツがきた。

 僕は声をしたほうに顔を向けると、僕の後ろで体操座りしている女の子がいた。

 声がするまで気配を感じない。

 忍者かよ、と思いながら僕はコイツに話しかける。

「なんでいんの?」

「逆に聞くけど、あんたはなんでまだ生きてるの?」

 返ってきた言葉を聞いて、僕は「とあること」を思い出した。

 コイツは昨日、僕に言った。

――質問に質問で答える人は、高確率で頭の悪い人なんだよね

「質問に質問で返すやつは、頭悪いんじゃなかったのか」

「マジで記憶力ない頭悪いバカだわ。病院行けよ」

「……」

 言い返せない自分が憎い。

「高確率で頭悪いって言ったの。ねえ、高確率の意味、知ってる?」

「全世界がアホなやつばかりなら高確率で君だけは天才。全世界が天才なやつばかりなら君だけは高確率でアホってことだよな」

「大空のように広い心を持つものは、後者のたとえは聞かなかったことにして……たしかにそういうこと」

「もしかして自分は神にもっとも近い無上の存在だ、とか思っている人ですか?」

「答えは否。それは大間違いよ」

 女の子は言う、

「わたしは神から見放された者。そう、悪魔にもっとも近い存在」

 やはりコイツは「わたしは厨二病真っ最中で~す」と言ってるも同然だと思うのは僕だけじゃないはず。

 どちらにせよ、もう関わりたくない。

「……すまん。帰るわ」

「ちょっと、何か言ってよ」

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