「謎のシステム」01
荒れ果てた戦場に、冷たい雨が降っていた。
黒く焦げた大地。崩れた山々。血の臭いに満ちた風。
無数の魔物の死骸が積み重なり、その中心には、一人の青年が倒れていた。
彼の名は, ノギア・ムラマサ
黒髪は血で濡れ、右腕は砕け、呼吸は今にも止まりそうだった。
「……はぁ……はぁ……」
彼はゆっくりと目を開けた。
目の前には巨大な魔物が立っている。
全身が黒い鱗で覆われ、十本の腕を持つ災厄級魔獣――《アビス・ギガント》。
人類軍を壊滅させた存在。
その怪物は、瀕死のノギアを見下ろしながら低く笑った。
「人間風情が……よくここまで抵抗したものだ。」
ノギアは動けなかった。
仲間は全員死んだ。
最後まで戦った結果がこれだった。
彼は苦しそうに笑う。
「……結局……俺は……何も守れなかった……」
その瞬間だった。
――《条件達成》
――《極限死闘を確認》
――《適合者発見》
突然、世界が静止した。
雨粒が空中で止まり、魔物の動きも止まる。
ノギアだけが意識を保っていた。
「……何だ……?」
すると、無機質な声が頭の中に響いた。
――《絶対システムを起動します》
――《所有者:ノギア・ムラマサ》
――《唯一権限を付与》
彼の目の前に、黒いウィンドウが現れる。
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【絶対システム】
・全現象否定
・完全適応
・無限進化
・絶対再生
・権限支配
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「……システム……?」
ノギアが呟いた瞬間、激痛が全身を駆け巡った。
砕けた骨が再生する。
裂けた筋肉が繋がる。
失われた血液が瞬時に生成される。
さらに、彼の身体そのものが変化していった。
筋肉密度。
神経反応。
魔力回路。
全てが常識を超えた速度で進化していく。
――《絶対再生:発動》
――《所有者の死亡を否定します》
ノギアの瞳が赤く輝いた。
「……俺は、生きているのか?」
その時。
アビス・ギガントが咆哮した。
時間停止が解除されたのだ。
「何だ、その力はァァァ!!」
怪物は巨大な魔力弾を放つ。
山を消し飛ばすほどの黒炎。
しかし。
ノギアの前で、その魔法は突然消滅した。
「……?」
怪物が固まる。
ノギアの前に文字が浮かんでいた。
――《全現象否定:発動》
――《敵対魔法を否定しました》
「魔法が……消えた……?」
ノギア自身も驚いていた。
だが、次の瞬間。
彼は理解する。
このシステムは、“絶対”なのだと。
どんな現象であろうと、否定できる。
炎。
氷。
毒。
呪い。
死。
全てを。
アビス・ギガントは怒り狂い、十本の腕で襲いかかった。
超高速の連撃。
空気が裂け、大地が砕ける。
だが。
ノギアは片手で止めた。
「……遅い。」
「バカな!?」
――《完全適応:発動》
――《敵の動作速度に適応しました》
ノギアの身体能力は、一瞬で怪物を超えていた。
彼は拳を握る。
すると黒いエネルギーが腕に集まった。
「消えろ。」
ドゴォォォン!!!
拳が放たれた瞬間、空間そのものが歪む。
アビス・ギガントの上半身が消滅した。
爆発ですらない。
存在そのものが“消えた”。
「ギ……ァ……!?」
だが、怪物は再生を始める。
肉が蠢き、失った身体を復元していく。
災厄級魔物特有の超再生。
普通なら不死に等しい能力だった。
しかし。
ノギアの前に再び文字が現れる。
――《再生能力を確認》
――《能力否定を実行》
瞬間。
怪物の再生が停止した。
「な……!? 再生しない……!?」
ノギアは静かに近づく。
「お前の能力は、もう使えない。」
「あり得ない……! そんな力、神ですら――」
「関係ない。」
彼の瞳は冷たかった。
「俺の前では、全てが無意味だ。」
次の瞬間。
ノギアは指を鳴らした。
パチン――。
それだけで。
アビス・ギガントの身体が塵になって崩れ落ちた。
完全消滅。
魂すら残らなかった。
静寂。
雨だけが降り続いていた。
だが、その時。
空が裂けた。
巨大な魔法陣が現れ、その奥から無数の魔物が姿を現す。
竜。
悪魔。
巨人。
魔王級の怪物たち。
世界を滅ぼす軍勢。
普通なら絶望だった。
だが、ノギアは笑った。
「ちょうどいい。」
――《無限進化:発動》
――《戦闘経験を吸収します》
彼の身体から黒い波動が放たれる。
周囲の魔力。
死骸。
エネルギー。
全てを吸収していく。
そして。
彼のレベルが際限なく上昇した。
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Lv.1 → Lv.1000
Lv.1000 → Lv.50000
Lv.50000 → Lv.999999
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空間が震える。
魔王級の怪物たちが恐怖で後退した。
「人間……なのか……?」
「違う……あれは災厄だ……!」
ノギアは空を見上げる。
「逃げるのか?」
その瞬間。
彼の姿が消えた。
次の瞬間には、空中にいた魔王の前に現れている。
「ッ!?」
魔王が魔法を放つ。
だが、意味がない。
――《魔法否定》
――《概念干渉無効化》
全て消滅。
ノギアは片手で魔王の顔を掴む。
「弱い。」
そして。
握り潰した。
他の怪物たちが逃げ始める。
しかし。
ノギアは空間に向かって言った。
「転移禁止。」
――《権限支配:発動》
――《周囲空間の法則を書き換えました》
瞬間。
逃げようとした怪物たちが止まる。
転移魔法が発動しない。
飛行もできない。
重力すら操作されていた。
「な、何だこれはァァ!!」
ノギアは静かに歩く。
一歩進むたびに、大地が震える。
「お前たちは人類を滅ぼした。」
彼の背後に、無数の黒い剣が現れた。
空を埋め尽くすほどの数。
「なら、消えろ。」
次の瞬間。
剣の雨が降り注いだ。
ズドドドドドドドドドッ!!!
山脈が消し飛ぶ。
空が裂ける。
魔物の軍勢は悲鳴を上げながら消滅していった。
数十万体。
その全てが、一瞬で灰になった。
戦場に残ったのは、ノギア一人。
彼は静かに空を見る。
すると、再びシステムの声が響く。
――《条件達成》
――《絶対システム第二段階を解放します》
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【新能力獲得】
・因果否定
・時間停止
・存在改変
・無限創造
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ノギアの目が細くなる。
「……まだ強くなるのか。」
すると遠くの空で、巨大な目が開いた。
世界そのものを監視する存在。
神。
この世界を支配する超越者だった。
『異常存在を確認。』
『排除を開始する。』
空から神の光が降り注ぐ。
世界を浄化する終焉の一撃。
しかし。
ノギアは動かなかった。
彼はただ、一言だけ呟く。
「否定。」
――《因果否定:発動》
その瞬間。
神の攻撃が“最初から存在しなかった”ことになった。
空から光が消える。
神が沈黙する。
『……何をした?』
ノギアはゆっくりと笑った。
その笑みは、もはや人間のものではない。
「お前が理解できる必要はない。」
彼の背後に黒い扉が現れる。
そこから無限のエネルギーが溢れ出していた。
「これからは、俺がルールだ。」
世界が震えた。
神々ですら恐怖する。
絶対システムを得た少年。
その存在は、既に世界そのものを超えていた。




