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幸せじゃない話

とある真実の愛の話

作者: むぎしゅ
掲載日:2026/03/27

 王立学園の初夏のパーティー。入学や卒業時のパーティーとは違い、学生たちだけの比較的気楽な場である。


 しかし今年は違った。

 突然、カトレア女王と王配のジュリアンが会場に現れた。慌てて令息令嬢たちは道を空け、頭を下げる。カトレアは会場の真ん中で歩みを止めた。


「楽にして。皆様、驚かれたと思います。ですが今から私がお話しする事は国の未来に関わる事。よくお聞きになってくださいまし」


 柔らかい笑み、小鳥の歌のような声。しかしその全身からは、氷のような有無を言わさぬ威圧感がにじみ出ている。

 それを一番感じ取っているのは息子のファビアン第一王子でも、その隣で彼の赤い目と同じ色のドレスを着たエスメラルダ・ヘイル伯爵令嬢でもない。ファビアンから少し離れた場所から背筋を伸ばし女王を見つめる、エイダ・ダリア・カッセルズ公爵令嬢である。


「一つ。エイダ嬢とファビアンとの婚約は今をもって王家有責で破棄とします」


 会場は一気にざわめいた。エイダと一部の令息令嬢たちだけは微動だにしない。学園長が手を叩くとようやく静まった。女王は笑みを絶やさずに淡々と語る。


「エイダ嬢はファビアンの婚約に関する全てに責任を負わない事とします。また再度婚約する事もありません。二つ。ファビアンの新たな婚約者候補にはエスメラルダ・ヘイル嬢を指名します」


 するとファビアンとエスメラルダは互いに笑って抱きしめ合い、彼らの周囲にいる友人たちは祝福の言葉をかける。

 苦々しい顔をして距離を取る者たちの方が圧倒的に多いのだが、浮かれる彼らは気がついていない。


「静かに!まだ女王陛下の話は終わっていないぞ!」


 学園長が声を上げ、また会場は静まった。


「三つ。ヘイル嬢の教育に関しては王家は関与しません。以上です」

「え?お、お待ちください母……女王陛下!」


 ファビアンの言葉や周囲の動揺を無視し、カトレアは踵を返すとジュリアンと共に帰って行った。

 



 パーティーの次の日。


「だってエイダは王妃教育を受けていたんだ。彼女から教わるのが一番いいだろう?」

「エイダ様は元婚約者ですよ!?」

「エイダは優しい人だ。大丈夫だよ」


 へらへらと話しながら紅茶をすするファビアンにエスメラルダは寒気さえ感じた。誰が好き好んで恨まれている相手に接触しようと思うのか。

 だがエスメラルダも喧嘩がしたいわけではない。いつものように俯いてしおらしい演技をする。


「でも私、エイダ様に悪い事をしてしまったわ。ファビアン様を奪ってしまって。そんな女に手を差しのべてくださるかしら」

「まぁね……じゃあ違う人も考えておくよ」

「ありがとうございます」


 エスメラルダはほっとした。

 しかしそう言いながらもファビアンの内ではエイダを教育係にする事は確定事項だった。彼女は賢いし、王妃教育も王立学園入学前にほぼ終了している。エイダ以上の適任はいない。


(それに私とエイダは十年も婚約者として一緒にいたんだ。私が頼めば無碍にはしないはずさ。それにしても母上は何故教育係を準備してくれないんだ……)




「お断りいたします」


 廊下でファビアンはエイダを捕まえた。彼女はすぐさま断る。ファビアンは戸惑った。エイダが自分の頼みを断るだなんて。


「な、何でだい?」

「私にその気がないからです」

「その気って……あぁ、そうか」


 にやりと笑ったファビアンはエイダが機嫌を損ねている、くらいにしか考えていない。少し下手に出れば頷いてくれるはず。いつも「用事があるから」と言えば課題を代わりにやってくれた、その程度にしか考えていなかった。


「確かに君が私を好いていたのは知っていた。申し訳ないとも思っているさ。でも……」

「あらいつ私が第一王子殿下をお慕いしています、などと申し上げましたか?」


 ファビアンは今度は驚いてエイダの顔を見るが、彼女はいつものように柔らかく微笑んでいるだけだ。


「用事がありますのでこれで」


 エイダは踵を返す。焦ったファビアンは彼女の背に思わず叫んでしまった。


「待て!こ、これは王子としての命だ!私の命に背くというのか!」


 彼女は止まったが振り返らず、代わりにため息が廊下に響いた。


「もうお忘れになりましたの?女王陛下が仰った事を」

「母上が?何をだ?」

「私は殿下の婚約に関する全ての事に責任を負わない、と」


 忘れていた。


「それに軽々しく命を口にするのはお止めください。女王陛下がお聞きになられたらどう思われるか。それでは失礼いたします」


 エイダは歩き出したがファビアンにそれを止める術はなかった。




 それからも教育係を見つけるのには苦労した。優秀な夫人や令嬢たちには尽く断られた。カトレアにも教育係をつけるよう嘆願したが梨の礫だ。

 結局パーティーから一ヶ月半を過ぎたあたりで、ファビアンの友人の母親、ハンソン子爵夫人が引き受けてくれた。


「エスメラルダ、学習は進んでいるのか?」

「えぇ。ハンソン夫人とお茶をするのは楽しい時間ですわ」

「ははっ、そ、そうか」


 ファビアンは乾いた笑いしか出なかった。

 ハンソン夫人はお茶をしながら隣国の言葉や文化、この国の政治を教えている、わけではない。

 王立学園の庭でただ茶を飲み、菓子を食べ、話題は決まって宝飾品やドレス、そして誰かの悪口。気の強いハンソン夫人はそれを「王妃として必要な社交の勉強」だと言い張る。


 それにファビアンが聞きたかったのは自主的な学習の事だ。


「私が渡した本はどうだった?」

「え?えぇ、大変興味深かったですわ。この国の歴史の事を学べて有意義でした」


 ため息と非難したい気持ちを何とか紅茶を口にして流し込む。

 ファビアンが渡した本は確かに「歴史」という題名だ。しかし内容はこの国ではなく国境を接する隣国の歴史の事。中身を読んでいないのは確実だ。


(足りない。何もかも足りなさすぎる。外交の時話せない、文化を知らないんじゃすまされない。これじゃあ外にも出せない)


 エスメラルダの学業成績は中の上。礼儀作法もきちんとしている。普通の令嬢の資質としてなら充分だ。


 しかし彼女は今や第一王子の婚約者、未来の王妃だ。    


 エイダの学業成績は三位から下がった事はない。礼儀作法はきちんと、どころか完璧。

 他の事も優秀だった。例えば入学前には既に隣国三ヶ国の公用語を操るどころか、公文書も難なく理解できるようになっていた。歴史や文化にも造詣が深い。


 しかしエスメラルダは全く話せないし聞き取れない。歴史や文化にも興味もない。今まで必要ではなかったからだ。


 そして今も必要だと思っていない。


 まだ教育係が見つからずに悩んでいた頃、エスメラルダが小首を傾げてファビアンに聞いた。


「女王陛下は教育と仰っていましたが必要ないのでは?だってファビアン様が王になって公務を行うのでしょう?」

「いや、エスメラルダ、王妃は国王を支える役割があるんだよ」

「もちろん私はファビアン様をこの愛で支えていきますわ。王妃としてこれ以上必要な事がありますか?」


 その時までエスメラルダの可愛らしい笑顔に凍りつく事など、ファビアンは想像すらしてなかった。




 エスメラルダの周囲も変わった。

 以前彼女の周りには爵位にかかわらず多くの友人がいた。彼女は少しわがままではあったが、ある意味貴族らしくない気取らなさが好かれていた。


 だがあのパーティー以後、エスメラルダの周囲はよそよそしい。パーティーでは祝福してくれたはずの者たちもだ。

 特に自分より爵位の高い令嬢には、挨拶しても無視されるようになった。幼馴染で親友のアンナ・グレイストーン侯爵令嬢でさえもだ。


「どうして無視するのアンナ?私たち親友だったじゃない!」

「触るな!私、浮気するような汚らわしい人間は嫌いよ!」


 怒鳴られながら、すがる手を振りほどかれた。エスメラルダは恐怖で思わず後ずさり震える。アンナはエスメラルダに掴まれた手首をハンカチでこれ見よがしにこする。


 アンナには激怒する理由がある。

 アンナの姉は婚約者の浮気現場を目撃しその場で倒れた。数日間寝込み、その後も夜中に泣き崩れるなど精神的不調が続いた。

 一番辛かったのは姉だが、そんな姿を見ても何もできないアンナや両親もまた苦しんだ。幸い昨年、姉は誠実な人物と結婚した。

 それ以来、アンナは不貞を人一倍嫌悪しているのだ。


「殿下との噂は噓だって言っていたのを信じた私が馬鹿だったわ」

「ち、違うわ。私とファビアン様は女王陛下にも認められて、それに浮気なんかじゃないわ。真実の愛よ」

「はっ、真実の愛?あの最悪最低浮気男もそう言っていたわ。可哀想なエイダ様。十年間努力した結果がこれなんて!」


 アンナが大声を上げたため人が集まる。エスメラルダはこれは好機だと思い、何とか恐怖心を押し込みわざと声を張り上げた。


「わ、私はファビアン様の婚約者!未来の王妃よ。こんな人が集まる場所で私を罵倒なんかしていいのかしら?」

「婚約者じゃなくて婚約者候補、でしょうに。さようならヘイル嬢。二度と話しかけないで」


 脅しに屈するどころか絶縁を言い渡し、アンナはエスメラルダに背を向けて去って行った。呆然としているエスメラルダの耳に令息令嬢たちの冷ややかな言葉が入ってくる。


「真実の愛?泥棒猫の間違いだろ」

「アンナ様の言う通りよ。エイダ様の十年間を何だと思っているのかしら」

「殿下も殿下だ、エイダ様を捨ててあの程度の令嬢を選ぶなんて」

「王族にでもなったつもりなのかしら」


(私、婚約者じゃないの?だって女王は私たちの事を認めたんじゃないの?だからあんな大勢の前で、そうでしょ?違うの?)


 この日を境にエスメラルダの周囲から人が完全に消えた。

 今やまともに話してくれるのはファビアンか、ハンソン夫人だけだ。だが前者とは段々とすれ違いを感じているし、後者は最近どことなく「利益を得よう」という心が透けて見えている。

 他愛のない話に花を咲かせ、時に悩みを打ち明ける。気を使う必要も利害を考える必要もない、純粋な友情で結ばれた友だち。

 そんな相手が誰もいない世界がいかに辛いか、エスメラルダは身を持って知ったのだった。

 



 パーティーから五ヶ月が経過した。季節はもう秋だ。

 もしファビアンに友人がいたのなら、こんな馬鹿げた嘆願を彼はしなかっただろう。もうファビアンの周囲には相談できるような友人はいない。


「お願いします!エイ……カッセルズ嬢との婚約を復活させてください!」


 謁見の間にはファビアンの声が響き渡った。カトレアは目の前で跪き懇願する第一王子を見下ろす。今や彼は息子ではなく不出来な下僕だ。


「あら無理よ。パーティーで宣言したもの。婚約は二度とないってね」

「ですが、ですがエスメラルダには王妃としての器はありません」

「あなたが選んだ子なんだから、あなたが教育しなさいな」

「せめてカッセルズ嬢を教育係、いや第二王妃制度をお認……!?」


 ファビアンの頭に何かがぶつかり、痛みが走った。カトレアが扇を叩きつけたのだ。見上げるとその顔から笑みが消えていた。


「お前はエイダ嬢の尊厳を何回踏み躙るつもりだ?」


 内臓まで凍るような女王の目と声にファビアンの全身が固まる。


「あの時の私の話の意味がわからないか?」

「い、意味?」

「お前たちの軽率な行動で王家には多大な傷がついた。宰相カッセルズを激怒させ、優秀なエイダ嬢を手放さざるを得ず、他家からの信用も落ち、金銭的にも痛手を受けた」

「それは」

「お前やあの令嬢は私があの時認めたのだと思ったのだろう?違うな。罰だ」


 罰。

 ファビアンはその言葉に震えた。

 震えながら叫んだ。


「よく、わかりました。母、いえ女王陛下のお怒りは理解できました!」

「噓だね。それにこの程度積み上げてきた十年間を踏み躙られた痛みに比べれば遥かに軽い」


 カトレアは、ファビアンやエスメラルダの状況をよく知っている。

 教育は進まず、周囲からは孤立し、愛し合ったはずの二人は今や口喧嘩が絶えない。

 ファビアンは廃嫡される未来に慄いてばかりで何もしない。エスメラルダは現実から逃げるようにハンソン夫人と遊び歩いている。

 それでも軽いと女王は思っている。


「ではどうすれば!?」

「勝手にするがいい。私はただ油を僅かばかり垂らしただけで、火をつけたのはお前らだ」




 王立学園の庭園。ファビアンとエスメラルダはもう数十分も黙ってガゼボの中で座っている。外は、はらはらと落ち葉が舞う。


「謝りましょう」


 口を開いたのはエスメラルダだった。


「エイダにか?許してくれるだろうか」

「私たちちゃんと謝っていなかったじゃないですか。確かに真実の愛だけれど……彼女の愛しい人を奪ってしまったのもまた真実なのだから」


 俯いてポロポロと涙を流すエスメラルダ。ファビアンはそんな彼女を久しぶりに可愛い、愛おしいと思いそっと抱きしめた。

 周囲から孤立し、家族にも見捨てられかけた二人には、もうお互いしか頼る者がいない。そんな寂しさもあった。


「そうだね。彼女に許しを請おう。許してもらえればきっと母上の怒りも解ける」


 その瞬間にファビアンとエスメラルダには疑念が浮かんだ。




「あらいつ私が第一王子殿下をお慕いしています、などと申し上げましたか?」

「十年間努力した結果がこれなんて!」

「この程度積み上げてきた十年間を踏み躙られた痛みに比べれば遥かに軽い」




 だが久方ぶりの愛の時間に、記憶の中の声は溶けて消えていった。




「エイダ様!」


 今や正攻法でエイダに接近する術はないし呼び出すわけにもいかない。

 二人は生徒会室から出てきたエイダを呼び止めた。しかしすかさず隣にいた令息が彼女を庇うように前に出、二人を睨んだ。


「無作法ではありませんか」

「エイダ、彼は?」

「私の婚約者、アーチボルド・マクニール・リッピンコット侯爵令息ですわ」


 婚約者、という言葉にファビアンとエスメラルダは何故か安堵の顔をした。


「エイダ、そうか……君にも春が来たのか」

「エイダ様にも真実の愛のお相手が見つかったのね!」


 二人の顔にも言葉にも困惑し、エイダとアーチボルドは顔を見合わせる。


「私たち謝りにきたの……あなたの最愛の人を奪って申し訳ありませんでした」


 恭しくエスメラルダは頭を下げる。


「エイダ、すまなかった。君は以前気丈にあんな事を言っていたが、十年間一緒にいた私ならわかる。だが安心したよ。新たな愛を見つけられたんだね」


 ファビアンはエイダに笑いかける。


 エイダは冷静な声で二人に尋ねる。


「申し訳ありませんが、お二人とも何のご用でしょうか」

「だから、謝罪を」

「何の謝罪を?」

「だから!婚約が無くなった事!私がファビアン様を奪ってしまった事よ!」


 苛立ったエスメラルダが思わず声を上げてしまった。アーチボルドの眉間にしわが増えた。


「謝罪の態度ではありませんね」

「え?あ、そんなつもりは」

「私たちは真剣だ。エイダ、君ならわかってくれるだろう?」


 エイダは二人を冷静に見つめる。そして一度アーチボルドの後ろで深呼吸すると、自ら前に出た。


「私が悲しかったのは、愛が消えた事ではありません」


 はっきりとエイダは言った。

 言い渡さねばならない。

 反論しようとした二人の言葉を遮りエイダは続ける。


「十年です。この国のためにと思い私が何を諦めたかご存知?友人や家族と遊ぶ時間、子どもらしくある事、愛する人を選ぶ事。全てを諦めてただひたすら王妃となるべく、努力を積み重ねてきました」





 エイダは天才ではない。

 ただただ、真面目な頑張り屋だった。

 

 選ばれたからには応えねば。

 だから七歳から十年間努力してきた。

 それは一緒にいるファビアンにも伝わっていると、そう思っていた。


「君との婚約を解消したい。母上にはもう伝えてある。ごめん」


 パーティーの数日前、寮の自室に一枚の手紙が届いていた。

 たった紙切れ一つ、たった数十文字の走り書き、手渡す事もせず、自分から伝える誠実さもなく、ただ積み上げた十年が無に帰した。


(ファビアン様にとって私の十年は、その程度の価値だったのですね)


 その時は泣けなかった。


 すぐに学園長経由でカトレアから呼び出しがあった。放課後父親と合流し、ともに王宮に向かった。彼は馬車の中でエイダを無言で抱きしめた。ようやく少しだけ涙が出た。


 王宮で何の話をしたかはよく覚えていない。父親は怒鳴る事はなかったが女王と王配に怒りをぶつけ、二人はただ黙ってそれを受け入れていた。はたから見れば異様な光景だっただろう。


 突然カトレアとジュリアンが立ち上がると、エイダの方を向いて頭を下げた。


「あなた様の十年間の国への尽力に、我々は深い敬意を表します」


 大粒の涙がこぼれた。

 止めようにも止められなかった。

 認められていた。それだけが救いだった。

 



「私は国のために十年間、尽くして参りました。十年です。殿下からの愛を得るためではありません。そして十年の時はもう、戻らないのです」


 ファビアンとエスメラルダは何か言葉を発しようとするが何も出てこない。

 エイダの言葉は甘ったれた真実の愛などとは違い、十年分の重みがある。しかしその重さの価値に二人は未だ気がついていない。


「許してくれ」


 ファビアンが震えながら呟いた。


「許してくれ。そうじゃないと私たちは母上に切り捨てられてしまうんだ!」

「そうよ、お願いよ!」


 僅かに期待した自分に対しエイダはため息をついた。


「ただの令嬢である私が、女王陛下のお気持ちやお考えを変えようだなんておこがましい事ですわ」


 エイダはアーチボルドに行きましょうかと告げる。アーチボルドは涙顔のファビアンとエスメラルダをもう一度睨みつけた後、エイダの肩を抱き、二人は歩き出す。


「お願いだ、助けてくれエイダ!」

「お願いよ!」


 膝から崩れ落ちながら二人は叫ぶが、それに応える者は誰もいなかった。


 


 卒業後、ファビアンとエスメラルダは結婚。彼は男爵位を与えられた。


 ただ無言で生きるために働く日々が続く。とっくに真実の愛は消えた。それでも二人で働かなくては明日食べるものさえ危うくなるのだ。


 無味乾燥な日々を繰り返し、時は過ぎていく。気がつけば結婚から十年が経とうとしていた。


(何でこんな事に?私はそんなに悪い事をしたのか?)

(どうして私がこんな目に?ただ好きな人が王子様だった、それだけなのに)


 二人は未だ答えを見つけられていない。 

どちらかと言えばカトレアの復讐話。

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― 新着の感想 ―
ファビアンはクズだし、エスメラルダはお花畑過ぎる。貴族子息令嬢が堂々と非難出来るから、王権がそんなに強くない世界観なのでは。そんな中でよくアホ晒せるな。
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