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ヒューマンドラマ系短編

二人の交差点〜グランドクロス〜

作者: 九華田千楠
掲載日:2026/01/12

 ある地方都市、一人の女性が夜のスクランブル交差点で信号待ちをしている。久しぶりに此処ここへと足を運んだ。しばらくすると信号が青に変わる。彼女は右足を一歩前に出し左斜めに歩き出そうとする。


 ふと対面の歩道に目をやる。すると見慣れていた顔の人物に気がつく。その人物とは元カレである。彼とは高校生から交際して、お互い大学へ進学し社会人なってからも数年は続いていた。お互い結婚を意識していた仲であった。


 三年ほど前に彼とは別れた。理由は何だっただろうかと彼女は考える。しかし、明確な理由を思い出せない。ふと我に返り、何を考えているのだろうと彼女は思う。そして、彼女は歩きを速める。


 そうしていると彼が近づいてくる。彼に気を取られていて彼女は気付いていなかった。彼の左の傍らには女性がいることを。女性は彼に腕組みして彼を見上げている。二人は顔を見合わせている。


 気まずくなり、彼女は二人から視線を逸らせる。彼女と二人が交差する。その際、彼の右腕に彼女の肩が少し触れた。そして彼女は顔をあげる。すると、信号が青く点滅している。彼女は、更に足を速める。


 スクランブル交差点を渡り終えた彼女は立ち止まる。彼女は女性を見た時に、あることに気づいた。それは夜の灯りで女性の左の薬指に輝く指輪だ。


 彼女は婚約指輪もしくは結婚指輪だと思った。その理由は彼女は彼から交際中にプレゼントでも指輪を贈られたことはなかったからだ。


 ふと彼女は思う。その女性より自分の方が長く彼の傍らで寄り添っていたのになと。そして、彼女は考える。自分と彼との縁はシャープペンでノートに書いたバツ印だと。細く短くしか(まじ)わらなかったんだと。そして、あの二人は此処(ここ)の交差点のように太く長くこれから交わって行くのだろうと。


 我に返った彼女は、何考えてんだと左右に頭を振る。そして、ふと夜空を見上げる。すると、彼女の視線の先には北十字星が輝いている。暫く眺めた後、立ち止まっていた彼女は気分を一新いっしんし再び歩き出す。

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