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車に撥ねられin the 病院

ガシャッガシャーン!!

ヒーローの仕事が終わり帰路を急ぐ途中に、突如響く音。

振り向けば歩道に突っ込む車と、その先にいる子供が目に入る。

運転手の姿は見えず、車が停まる気配はない。

今から走れば間に合う。


気付けば体が動いていた。

力の限り足を動かし、子供を突き飛ばす。

視界がスローモーションのようにゆっくりと感じる。

走っていた体がバランスを崩す。車が突っ込んでくる。

そして目を瞑った次の瞬間、大きな衝撃が体を襲った。




「事故にあったって聞いて急いで来たんだが、やっぱり丈夫なんだなあ」


病院のベッドの上に豹の獣人、レッカはいた。車から子供を守って代わりにはねられたのだが、体に目立った怪我はない。


「まあ、無事で何よりだね。突き飛ばした子にも怪我はないみたいだし」


「良かった、ケガさせちまッたてたらどうしようかと思ってたんだ…。 」


ベッドの脇には椅子がおいてあり、その上に小さなカラスの獣人がちょこんと座っている。

身長はレッカの8分の1程だろうか、床に立っていてはベッドの上も見ることはできない。


「じゃあもう帰ッていいか?ここでじっとしてると退屈で死んじまいそうだ。」


「駄目だよ。お医者さんにも言われたろ?一応検査をしておかないと」


「うー、分かった。しょうがねェ。」


じゃあ、と言ってカラスのモルドは背中のカバンから、果物を取り出す。

りんご、パイナップル、ぶどう。どう考えてもその小さなカバンに入るどころか、入れることもままならないようなようなものではない。

だがカバンからはまだ果物が出てきていた。バナナ、メロン、2つ目のりんご、キウイ、…


そそれらを病室内の冷蔵庫に詰め込む。

先に入っていた大量の水を出して果物を入れると水が入らなくなる。

試行錯誤した結果、一部の大きい果物をモルドが持ち帰ることになった。


「流石に入らなかったかぁ、買いすぎてしまったかもしれない。」


「オレ肉食なんだが…」


「でも、生肉持ってくるわけにもいかないだろ?」


「じゃあ病院内の人にあげてもいいか?値段は高そうだし。」


「もちろん。」


しばらくして、他愛もないことを話していたが、空が紅色に変わり始める。

病院の窓から見る夕焼けは少し木に隠れていた。

床に落ちた葉の陰の隙間が染まる。

カバンを背負い直したモルドは、レッカに挨拶をした。


「じゃ、退院が早くなることを祈ってるよ。じゃあな、また!」


ぴょんとモルドは椅子から飛び降りると、手を振りながら病室から出ていった。

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