マイホームが出来るまで・・・(4)
土地の購入とは、即ち生活の拠点探しに他なりません。
賃貸住宅なら最悪、替えが利きます。
しかし家を建ててしまってから、そこがとんでもない場所だと分かったら……
どうします?
低湿地に当たると向こう30年、40年の間に何も災害が起こらないなんて保証はありません。
徹底的に調べます。有名な話では地名に沼とか池の字がある物件は要注意ですね。
古い航空写真なども国土地理院のWebサイトや民間のサイトで公開されておりますので、戦後の写真から購入する予定の土地がどの様であったのかを調べたりもしました。
駅近とか商業施設云々なんてのもありますが、今後の人生を過ごす場所になるのなら地域性や現地へ行って周りの雰囲気なども大切です。幾つか現地を見て回りましたが、確かに肌に合わなそうな地域はありました。
古臭い風習の残る土地に引っ越すと、地元の人達とのしがらみが大変……な事も多々あるみたいです。ある日突然町内会の人がやって来て、消防団で新しい消防車を購入することになったからと有無を言わさず5万円徴収される……とか。
最終的に選んだのは約20年前に市の土地区画整理事業によって出来た住宅街でした。
不思議なことにまだ空き地がたくさんあり、価格も手ごろです。
ここなら古臭い因習もなさそうですし、今住んでいる場所から車で10分も離れておりません。
引っ越しが楽そうです。
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三か月掛かって購入する土地が決まり、不動産屋を介して土地を購入しました。
そしてその土地に合わせた建物の設計に入りました。
真四角ではなく、台形の土地だったのです。
そうなりますと家の形はこんな具合になるのでしょうか?
角地は建蔽率が10%緩和されるというメリットがあり、設計に余裕が生まれます。
一方で真四角の家の方がコスト的に有利なので、出来るだけ四角に近づける努力も必要です。
ちなみに車庫スペースを車庫一体型住宅にする方法も検討しましたが、予算の都合で諦めました。
男のロマンではありますが……。
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│∵∵∵∵∵∵庭∵∵∵∵∵│
│▢▢▢▢▢▢ウッドデッキ│
│▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢│
│ ▢▢▢▢▢▢▢┌─┘
│ 車 ▢▢▢▢▢┌─┘
│ 玄関┌──┘ 路
│ 庫 ┌─┘ 道
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それだけではありません。
モデルハウスみたいな凝ったオプションは早々に諦めました。
漆喰の壁、テラスと面一で段差のないサッシ、ギミックたっぷり収納たっぷりのシステムキッチン、薪ストーブ、などなど、如何にもモデルハウスで見て欲しくなる設備です。
しかし予算が足りません。
そして優先すべきことがあるのです。
奥さんのプライベートスペースに将来の子供部屋、そして猫スペース。
私の場所? なにそれ、美味しいの?
最近では図面から三次元の間取りを見せてくれる建築3次元CADというものがあり、図面だけでは分かり難い完成イメージを高めてくれます。
しかし高まるのはイメージだけであり、実際に住んでみないと分からない事は多いみたいですね。
家を建てた後になってああすれば良かった、こうした方が良かった……と思わない人は居ないのではないでしょうか?
それでも打ち合わせを始めてから第6案辺りでようやく家の構想が出来上がりました。
次は住宅ローンのための銀行回りです。
同時に公開している拙作「虚ろの国の昭和世代」では主人公がべらんべぇな言葉なので、こちらの小説では主人公は丁寧な言葉を話すキャラにしております。