プロローグ:マイホームが出来るまで・・・(1)
注:本作品はフィクションであり、実在の個人、団体とは全く関係ありません。
持ち家派と賃貸派。
ネットでもよく上がる話題です。
私の育った田舎ではアパートが建ったこと事態が巷の噂になるほどの田舎でした。
「誰がアパートに住んでまでこんなトコに住むんだぁ?」
「こんな辺鄙なトコで部屋借りる人なんかいるけ?」
「アパートなんか建てても金の無駄じゃね?」
このような土地柄で育った私ですので、もはやDMAレベルで100%混じりっ気無しの持ち家派といっていいでしょう。
幼い時からずっと実家に育った私は社会人となり生まれて初めて寮という集合住宅に住みました。
新卒者向けの会社案内のパンフには、とても綺麗な独身寮が掲載されていました。
フローリング敷きの広さ十畳くらいの広々とした部屋。
健康に良さげな備え付けの畳ベッド。
電気代無料、インターネット完備。
風呂は共同ですが、大きな浴槽にサウナ付き。
6階建てで1階が食堂、2階以上の各フロアの中央には談話スペースがあります。
しかし……他にも独身寮はあったのです。
もし、それを掲載しましたら募集が8割減となっていたでしょう。
私もエントリーを思い留まったかもしれません。
社員寮は一応、個室でした。
昔は6畳2人部屋だった畳部屋を、金属製のパーテーションで仕切っただけの1人部屋。
パーテーションの向こうからはポテチを食べる音が聞こえました。
防音の悪さで有名だった某賃貸業者さんの物件もこんなだったのでしょうか?
性能の良いヘッドホンは生活必需品です。
このような共同生活が好きになれるほどの隷属性を、私は持ち合わせておりませんでした。
でもそれは仕方がありません。
本編とは全然違うゲーム画面でワザとらしい失敗を何度も何度も何度も繰り返すWeb広告に比べれば、キチンと実在する社員寮を掲載していたのです。
車のCMですら、TV画面に映る車が日本で購入できない海外仕様車だったり、はたまた実在すらしないCGなのに比べれば、むしろ良心的と言っていいでしょう。
……競争率という壁があっただけです。
その独身寮というものは入寮制限というものがあります。
大体の場合、入寮何年間とか、年齢ですね。
既婚者ならば単身赴任で最初の二年だけとか。
そこで集合住宅に嫌気がさした私は、独身でありながら一軒家を借りました。
幸いにも、転勤によって住めなくなった築三十年の古い一軒家が空きとなったタイミングで契約することが出来、安い家賃で入居できたのです。
DIYが趣味の私にとって、自分だけの一軒家というのは萌えるものがありました。
夏は暑く、冬寒い。
まるでトタン小屋ではないだろうかという天然の冷暖房が完備されたこの家にあれこれと手を加えました。
もちろん借家ですから、無茶はしません。出来ません。
屋根裏に上がって断熱材を敷き詰めたり、一階和室の畳の隙間から入ってくるすきま風を塞いだり、リビングの安っぽい塩ビ製カーペットの上にフローリング材を敷き詰めたりした程度です。
雑草が生い茂った小さな……、しかし手入れするには広い庭は、電動ナイロンカッターで刈り取った上で根こそぎ除草しました。
そして安物の砕石を敷き詰めて殺風景な庭が出来上がりました。
外構は門外漢なのです。
息抜き代わりに新しい投降を始めてみました。
不定期更新の予定です。
1話1200~1500文字程度の短い話を思いつくままに書き連ねていこうかと思います。
不動産に関する知識の不足から間違いがあるかも知れませんが、ご容赦の程宜しくお願いします。