3話 森の主と赤い彼岸花
前を見ると、3メートルもある角の生えた狼が。
「フォレストウルフ、なぜこんなところに…?普通はもっと奥にいるものなのだけど。でもちょうどいいわ。さっき獲得した『鑑定』を使ってみるいいチャンスよ」
早速デカい狼を鑑定してみた。すると
「フォレストウルフ レベル:10 HP:2500」
という情報が頭の中に入ってきた。それをリヴェナさんに伝える。
「上出来。レベル1だからまあそんなところね。でもスキルレベルが上がればもっとわかることも増えるわよ。でもそのレベルアップ条件がちょっと変なんだけど」
「え?そうなんですか?レベルが上がったらスキルレベルも上がるものだと思ってたんですけど…」
「実はそれで上がるのはレベル2までらしくてそれ以外は何か条件があるらしいのよ。ちなみに私はレベル37でフライングプラントの綿毛をふーって飛ばすというので条件4を達成したと言われたわ」
なんだその条件。思わず笑ってしまった。ことでフォレストウルフがこっちに気づく。しまった、ボスのことを忘れてしまっていた。
「あら、これは結構まずいわね、まあいいわ。私に任せて!カノンは援護よろしく!って言ってもちょっとしたダメージを与えるというのでいいけど。くらえ、『波動弾』!」
いきなりボス戦になってしまった。リヴェナが飛び出してまずは波動をを食らわせる。続いて拳が光ってフォレストウルフを殴る。目を離すとすぐについていけなくなるようなスピードに思わず戸惑った。
「カノン、あなたも何発か当ててみたら?」
ボス戦でもリヴェナにはよそ見する余裕があるらしい。思わず感心してしまった。きっとリヴェナがいたら大丈夫だろう。安心して私も全力でフォレストウルフに向かっていった。とりあえず格好いい技名を言ってみる。
「くらえ!一閃!」
と叫んでフォレストウルフに切り付けた。すると
「コモンスキル『一閃』を獲得」
というアナウンスが脳内で聞こえた。もう一発『一閃』を放つ。フォレストウルフが倒れた。
「ナイス、カノン。ボス倒したわよ!」
「リヴェナさんがめっちゃアシストしてくれたからですよ。超感謝です」
「ふふ、レベル90にもなるとこれぐらいは余裕よ。でもきっとカノンもすぐ私に追いつくでしょうね。何よりリミテッドスキルがあるのだもの」
「頑張って探してみます。そういえばさっき『一閃』を獲得したそうです」
「マジで?レベルアップじゃ無い時にスキルが生えるってすごいと思う。才能あるわよ」
リヴェナに褒められた。素直に嬉しい。
「貢献度の分析完了。カノン、レベル5にレベルアップ」
どうやらまたレベルアップしたようだ。しかも2レベル分。
「あ、そうそう、ボス戦が終わったらアイという天使が戦いを分析してレベルを上げてくれるわ。まあ私は1も上がらないけどね。だってレベル90だもん。まあアイテムは回収しときましょう。ちょっとした小銭にはなるから」
というわけで早速ボスを解体。初めて動物を捌くのでちょっと不安だ。
「カノンはモンスターの解体は初めて?大丈夫、私が捌くわ。スキル『医学』があれば一瞬でできるから。こういうのはスキル持ちに任せるに限るわよ」
と言ってリヴェナが捌く。その早いこと、すぐに角と爪、牙、タテガミ、毛皮に解体してパックに収納してしまった。
「って私の出る幕0じゃん!」
「そりゃそうよ、私なら秒で終わるから。さあ帰りましょう。カナートたちが心配するから。出発前におやつとジュースを用意しといたから帰ったら食べましょう」
「そうですね。おやつ!帰りましょう!レベル5になったし」
「やはりおやつは機嫌取りにいいわね…そしてジュースは実験も兼ねてるし…(ボソッ)」
リヴェナが何か言っていた。道中、脇に彼岸花のような花が咲いていた。真紅で美しい、でもこの季節だっけ?今ちょっと暑いぐらいだけど。まあそういうものかも。
「あれ?これリュコリアじゃない?咲くにしてはちょっと魔力が低すぎないかしら?フォレストウルフが森のすぐ近くにいたのも妙だったわ」
どうやら普通じゃないらしい。リヴェナさんが警戒している。
「リュコリアって地中の魔力が高い時・場所じゃないと咲かないはずだけど」
やはり異世界、植物も魔力を使うらしい。あとどこからともなく焦げ臭い匂いが漂ってきた。あれ?火事っぽいような…
「カノン、キャンプの近くで結構大きい気配を感じたわ。私が参戦しないと数分しないうちに全滅する。ちょっと失礼」
とリヴェナが私を担いで『俊足』と唱える。めっちゃ早い。風が私のHPを削るほどだ。一瞬でキャンプに着いた。
「何…これ?」
キャンプが燃えている。そこには炎を纏った黒いドラゴンがいた。
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4話目もお楽しみに〜