表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エアリアン

作者: 黒イ卵

虚構新聞×ノベルアップ開催の、ショートショートコンテスト『嘘』に間に合わんかったので、投稿します。





『最初の空気食は、いつからだったのだろうか。』




 皆様も彼等の思想を、一度は聞いた事があるだろう。



 “地球の動物も植物も虫も可哀想。

 いのちを食べるなんて、凶悪で愚かな行為。

 我々エアリアンは、新鮮な空気だけで生きていける。”



 元々は、都会暮らしに嫌気が差し、田舎で自給自足暮らしを始めた人々であった。


 他の人々よりも、少し敏感な──これは筆者の私見だが──人々が集まり、共同体(コロニー)を形成する。


 山の中で暮らしを営む彼等の生き方は、(たま)に記事に紹介される程度であった。


 エアリアン──彼等が一際(ひときわ)、注目されたのは、SNSの炎上騒動に寄ってだったことは、皆様の記憶に新しいだろう。


 彼等はより高みを目指すため、との理由から高地に住み、まるで仙人のように、(かすみ)を食べているかのような生活をしている。


 そのためであろうか、SNSで彼等の生活が投稿された際、“標高高い系” ”山越えて空”などといった揶揄が集まり、炎上騒ぎを起こし、SNSサーバーがダウンしてしまったのだ。


 騒ぎに気付いたエアリアンの方が、“これは天意である” “怒りの(いかづち)が落ちたのだ” などといった投稿を別のSNSにて行い、一気に燃え広がってしまった。


 後に、その投稿はエアリアンの方ではなく、彼等を騙った偽物であったことがわかったが、後の祭りであった。


 わざわざ、彼等の住処を探し出し、物を投げ入れたり、誹謗中傷の類を書いた紙を貼り付けるなど、事件化が加速し、ついには彼等は、本当に標高の高い所に追いやられてしまったのだ。



 満足な食事を得る機会が少なくなり、やがて彼等は──エアリアンの子ども達は、“空気食”をできるようになった。



 標高高く、酸素の薄い高地──空気が少ない──は勿論のこと。

 地上に降りた彼等は、地上の空気を“爆食い”し、吐き出すと、まるで濾過されたかのような、新鮮な空気を産み出した。


 彼等の光り輝く吐息は、“神の息吹”と呼ばれるようになり、今では崇められている。




 エアリアンの寿命がひどく短いのが、近年、問題視されているが、それでもエアリアンを目指す者は、年々増加している。




そら‐ごと【空事/▽虚事】

本当ではない事柄。つくりごと。





えっと、連載もがんばります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いいね押してあったから読んだみたいだけどまるで初めて読むかのような気持ちで読みました!!! 標高高い系わらう まんまやん そりゃ寿命短くなるやろなあ…… おもしろかったです!!!
[良い点] お、たまごさんの幻想系の作品! ボンクラもこういうの好きなんですよねー。 こういう「行き過ぎ」な思想・行動って、概ね悪い方に転がり落ちそうですが、それをこういう形に着地させるセンスはさす…
[一言] すごいエコな人たちですね (*´▽`*) 流石の発想力なのです☆彡
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ