幕間 カエセル王視点⑤
症状が落ち着き、マリアーナにお礼を伝える。
「む、むぅ。
ありがとうマリアーナ。
落ち着いたよ。」
「お父様!まだ病み上がりなのに無茶し過ぎです!!」
「すまない、身体は完全に良くなったように感じたのだ。
あらゆる苦痛はなくなったし、身体も軽くなったからな。
だが…」
余が言い淀んでいるとマルクスのパーティーメンバーの一人が話しかけてきた。
マルクスが言うには彼が件の規格外冒険者だと察する。
直答を許すと彼は余の状況について推論を述べ始めた。
彼は病が治らなかったのではなく、再発したのではないかと言うのだ。
言われて見れば発作こそ頻度が上がっていたが、マリアーナと教皇の回復魔法で症状は良くなっていた。
その後体力が衰えていったのは頻発する発作に身体がダメージを受けていったことと、寝たきりになったことで身体が衰えていったのかもしれないと思い当たる。
だが身体も健康になり、筋力の衰えさえ無くなった今でも直ぐに再発する病などあり得るのだろうか。
そんなに感染力の強い病なら余以外の者も発症していなければおかしい。
そう考えて彼の言葉を否定しようとした。
だが、マルクスの仲間の少女がポツリと呪いという言葉を漏らした。
呪いか
たしかにそんな御伽噺のような力が実在するならこの症状にも説明がつくのかもしれんが、そんなものが存在するとは到底思えなかった。
余はこの国の王であり、あらゆる情報に触れてきたが、呪いなどというものの存在は御伽噺程度にしか聞いたことがなかったからだ。
だが、フウマという冒険者は私の考えを否定した。
彼の能力はどれ一つとってもマルクスらは知らなかったというのだ。
マルクスに説明させたが、たしかに余も彼の能力のどれ一つとっても知らぬものだった。
たしかに余は世界の全てを知っているわけではない。
分かっているつもりだったが、長らく国の長としてあったことで傲慢な考えに支配されていたようだ。
しかし、彼らのいう通り、この身が呪われているとしたらどうしたら良いのか、対応の検討がつかなかったため彼に聞いてみる。
そうして聞かされた彼の提案は驚くべきものだった。