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5話 魔物の襲撃

次の日、宿を出た僕は早速大通りの店を見て回り、いい匂いを漂わせている店に入店。

ニンニクに似た風味の野菜を使ったペペロンチーノのようなパスタとサイドメニューの黒パン、野菜たっぷりのスープを頼み、朝からガッツリ食べてしまった。


「ふぅー、異世界料理も捨てたもんじゃないな。こんなにうまいなら食事系チートをやる人は大変だろうな。」

呑気に呟きながら冒険者ギルドにむかう。


朝ということで多少混雑しているが、昨日と同じ依頼内容ということもあり、すんなりと受付を済ませて解体場に赴いて挨拶をした。

昨日貸し出していたスケルトン3体に解体屋の三人からの追加指示がなければ昨日と同じ命令を継続するように伝えて僕は一旦ゴミ捨て場に向かった。


マナスライムがダストゾンビを完全に消化しきり、マナポーションの瓶もいっぱいになっていることを確認すると、収納領域にマナポーションを仕舞う。

昨日の残りの生ゴミからダストゾンビを生成してゾンビに倒させるとマナスライムにダストゾンビの消化を命じて冒険者ギルドに踵を返した。


用事を済ませて戻ってくると人もまばらとなっていたので僕は受付のおっちゃんに追加依頼について相談した。


「ヴァイスのおっちゃん、何かいい雑用系の依頼はないか?」


「おうフウマさっきぶりだな。

そうだな今だと農業の手伝いとかあるがどうだ?」


「ああ、それはスケルトンに向いた依頼だな。

報酬はいくらだ?」


「1件銀貨5枚ってところだ」


「まぁ多少安いが、複数件掛け持ちすればいいだろう。

よし、受けよう」


「了解、農家の依頼を出しているのはこの5件だ。

どこを受注する?」


「とりあえず全部で頼む」


「あいよ」


冒険者ギルドで受付を済ませた僕はここから一番近い畑に向かった。


「冒険者ギルドから来たものだ。

畑の手伝いに来た。

手伝いとは何をしてほしいんだ?」


「おお、ようやく手伝いが来てくれたか。

これは助かるねぇ。

手伝ってほしいのはここの雑草とりと邪魔な岩や倒木をどけてほしいってことなんだよ。

あんた細腕だけど大丈夫かい?」


「問題ない、実際に僕が手を動かすわけじゃなく、僕が作り出すスケルトンたちに仕事をさせるからな。」


「スケルトン?

あの魔物のかい?」


「ああ、僕は魔力だけでスケルトンを作って使役できるんだ。

見た目は怖いけど、僕の作り出したスケルトンは僕の言うことに絶対服従だから怖がる必要はないよ。

今から呼び出すけどいい?」


「構わないが、本当にスケルトンなんて呼び出せるんかいねぇ」


「スケルトン4体召喚」

僕はショートカットスキルでスケルトン4体をその場に生成して見せた。


「ひょええ、ホントにスケルトンを呼び出しおった!

これはたまげたねぇ」


「スケルトンに命じる。

この人の言うことを聞いて畑を綺麗にしろ。

はい、これでこのスケルトンはあなたの言うことを聞いて畑仕事をするようになったよ。

どの草を抜くのか、そしてどこに置くのかを最初にきっちり指示してもらえればスケルトンはその通りに動くからね。」


「スケルトンってのは大層便利な魔物なんだねぇ」


「ああ、1体で金貨1枚分の価値があるんで叩いて壊したりしないでくれよ。

それじゃあ僕は他の農家さんのところにもスケルトンを派遣しないといけないからこれで行くよ。

夕方ごろにまた来るから、その時に成果を聞かせてくれ。」


「わかったよ。

ありがとねぇ」


僕はおばあさんに別れを告げて別の4件の農家を回った。

初めはみんなスケルトンに驚いていたもののその活躍ぶりに大層満足していた。


僕は農家でスケルトンをレンタルする度にスケルトンの価値は金貨1枚分だと触れ回っている。

これは将来的にスケルトンを金貨1枚で販売するための布石だ。

スケルトンの良さを知れば毎回冒険者を雇うよりも金貨1枚でスケルトンを買った方がお得だと気づくだろう。

その時に金貨1枚で販売して、スケルトンに購入者の言うことを聞くように命じて譲り渡せば、売買契約成立というわけだ。


それぞれ色々な事情があって冒険者に依頼を出したそうだ。

一つ目の農家は、おばあさんが一人で畑仕事をしていて、一人では難しい力仕事を依頼したくて冒険者を頼った。


二つ目の農家は家族で畑仕事をしていたが、近々子供が産まれるとのことで、母親の負担を減らす目的。


三つ目の農家は父子家庭の農家で父親が腰をやってしまったため、まだ幼い子供だけでは手が回らず依頼したようだ。


四つ目の農家?はこの町の領主だった。

畑を任せていた小作人が亡くなり、一時的に畑を冒険者に依頼したかったらしい。


あまり貴族然とはしておらず、気さくなおっちゃんという風情だった。

死霊魔法にはかなり関心を示していて販売を開始したら是非購入したいと言ってくれた。


最後の農家は畑を持って数年の青年で、足を骨折してしまったため、畑仕事が出来なくなり冒険者へ依頼したとのこと。

畑を持って数年とは思えないかなり立派な畑で、数種類の作物を同時に育てているようだった。


みんな色々な事情があって冒険者に依頼してるんだな。

全員が何かしらの事情を抱えていたが、僕の死霊魔法で助けになれて感謝されている。

これってなんか凄くいいな。

改めてこのチート能力で良かったと思える。


そんな風に考えていたところ少し離れた森から何かがやってくることに気づいた。

どうやら同業者のようだが、何やら慌てている。


最後の農家でのスケルトン貸し出しを終えていたため、しばらくその様子をぼーっと見ていると冒険者の後ろから大量の魔物がこちらに突っ込んで来ているのが見えた。


「トレイン!?

というかもしかしてスタンピードか!」


「う、嘘だろ…!

ど、ど、ど、どうしたら」


僕の声が聞こえてしまった農家の青年は動揺して動けなくなっている。


(この人は足を骨折してるから走っては逃げられないか)


「落ち着いて。

農作業に使っていたスケルトン2体を使ってあなたを冒険者ギルドまで運ばせる。

あなたは道中の人にこのスタンピードを伝えてくれ。

そして冒険者ギルドでこのことを伝えて応援を呼んでくれ。

僕は時間を稼ぐ。」


「わ、分かった。

冒険者さんも気をつけて!」


「おう!

スケルトン!

この人を二体で担いで冒険者ギルドに運べ!」


スケルトンが依頼主の農夫を連れていき、目の前に意識を向けると、もう50Mくらい先には逃げる冒険者とその後ろを追ってくる魔物の群れが迫っている。


僕はスケルトンを5体とそれぞれに棍棒を生成して魔物に立ち向かわせた。


「スケルトン!

魔物に近づけ!

突進や攻撃を喰らわないように避けつつ、魔物の足をこん棒で払え!

こん棒が届かない距離の場合は振り回してけん制し、時間を稼げ。」


僕はスケルトンに命じると距離を取るべく後ろに下がる。

追い立てられていた冒険者がスケルトンの脇を通りすぎ、必死の形相で僕の脇を通り抜けていった。


「余裕ないのは分かるが、せめて何か情報を落としてから逃げろよな」


魔物に対峙している僕を無視して走り去った先輩冒険者に僕は悪態を突きつつスケルトンの戦闘を見守る。

魔物の先頭はカンガルーみたいに立つトカゲのような魔物でその後ろからゴブリンやオーク、巨大な蛇や甲殻をまとった熊みたいな魔物が100匹以上もこちらに向かっているのが見えた。


防御力が紙で、力は強いが単純動作しか出来ないスケルトンだったが、回避を命じたのが良かったのか多少の時間を稼いでくれている。

だが、相手の魔物の方が素早いため、1体また1体と数を減らしていく。


だが、スタンピードの突進力は殺せた。

僕はMP回復ポーションを飲み、MPを回復して後続が近づくのを待つ。


スケルトンが残り1体になったところで3つ目のチートスキルを発動した。


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