4話 ステータス
自分が生み出した魔物をスケルトンに倒させることで大量にレベルアップした僕は自分のステータスを確認してみることにした。
「ステータスオープン!」
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LV7
名前:フウマ
HP:110/110
MP:900/1600
STR:10
INT:240
DEF:10
DEX:80
AGI:10
LUK:20
◆チート能力
チート能力1:死霊魔法LV3
スケルトン召喚、死霊使役、感覚共有、ショートカット
チート能力2:合成魔法LV3
異種合成、同種合成、収納領域、ショートカット
チート能力3:箱庭LV1
扉開閉、虚無の箱庭
◆スキル
テイムLV1
◆称号
なし
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「そういえばステータスがどういう傾向で伸びるのがいいか希望を聞かれてMPとINTに特化するようにお願いしたんだったな。
うん、ちゃんと要望通りのステータスになってる。」
「一つ一つの能力詳細を見ていくか、動画化した時の視聴者にも説明しておかないとだしな。」
「死霊魔法のスケルトン召喚はまぁ、さっきからやってる通りどの種族のスケルトンか、どんなサイズか、スケルトンはどんな状態かなんかを決めてスケルトンを召喚できる能力だ。
消費MPは1体で100使うから結構重い。
でも獣型にして速度を重視したスケルトンにしたり、逆にめちゃくちゃ小さくして索敵に使用したりできるからかなりの汎用性を持ったスキルだと自負している。」
「死霊使役は召喚した死霊を自動で使役できる能力だな。
これはパッシブ能力だから消費MPはなしで召喚時に、あえて発動しないように指定しなければ勝手に付与される。
無いとせっかく召喚したスケルトンを倒さないといけない羽目になるから必須スキルだ。」
「感覚共有とショートカットはさっきアナウンスがあった通りだが、どちらもかなり有用なスキルだ。
感覚共有があればスケルトンを介して遠くの状況が分かるようになり、索敵には大いに役に立つ。
ショートカットだって毎回毎回同じタイプのスケルトンを召喚する時に全部詠唱するのは怠かったから、あると正直助かるスキルだな。」
「合成魔法の方は同じものと異なるものどっちでも合成できるよってことだな。
異種合成の方は草と剣という何の関係もないものを合成するための魔法で、同種合成は剣と剣、草と草を合成することが出来るって力だな。」
「収納領域はアイテムボックスだなこれは。
これがあると荷物を大量に持つ必要がなくなるから超助かる。
生き物は入れられないらしいがスケルトンは生きてないから入れられるかもしれん。
後で試しておこう。
合成魔法側にも出たショートカットは死霊魔法の方にもあるやつと同じだから割愛しておく。」
「箱庭スキルはまだ使ってないから動画用の説明は、実際に使った時に説明するか、今は攻撃用にしか使えないしな…」
「あ、スキルにあるテイムは、チートスキルのおまけでもらったやつだ。
今回スキルは3つのものを選んだ訳だけど、全部合わせても1つを選んだ時の出力から見て99%までしか出力を出せないってことで、残りの1%の出力分をスキルで補填してもらえないか交渉したら、快く付与してもらえたんだ。」
「っと動画用の説明はこんなところでいいかな。
まぁこういう説明部分だけ後で撮り直して差し替えてもいいかもな。」
「今はまだ日も落ちてないし、まだまだ時間はありそうだな。
時間が許す限りレベルアップに勤しみますか!」
僕は感覚共有でスケルトンを介してギルドの様子を確認しつつ、レベルアップ作業を行うことにした。
連続レベルアップは最初の一回のみで次は1体討伐して1レベルアップ、2体倒して1レベルアップ、4体倒して1レベルアップと段々とレベルアップしにくくなっていった。
3レベルアップしたところで辺りが夕闇に包まれてきたため、今日のところはここまでにすることにした。
今回はスキルのレベルアップはなかったのが残念だったが、ステータスは以下のようにアップした。
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LV10
名前:フウマ
HP:130/130
MP:150/1900
STR:20
INT:360
DEF:10
DEX:90
AGI:20
LUK:20
◆チート能力
チート能力1:死霊魔法LV3
スケルトン召喚、死霊使役、感覚共有、ショートカット
チート能力2:合成魔法LV3
異種合成、同種合成、収納領域、ショートカット
チート能力3:箱庭LV1
扉開閉、虚無の箱庭
◆スキル
テイムLV1
◆称号
なし
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「だいぶMPとINTが増えたな。他のステータスは全然伸びてないけど微増はしたって感じか。
まぁ今日のところはこんなところだろう。
ん?なんだあれは…」
視界の端に何か動くものを捉え、よく目を凝らして見ると僕が倒したダストゾンビと生ゴミに群がる存在がいることに気がついた。
この処理場に住み着いてゴミを分解しているスライムのようだ。
大きなスライムではなく、小さなスライムが無数にいてゴミを分解していたので、僕は思いつきで1体のスライムをテイムしてみた。
「テイム!」
すると体から力が対象のスライムに流れていき、何かが接続される感覚があった。
どうやら成功したようだ。
「よしこっちにおいで。」
小さなスライムが僕の手によじのぼってきた。
こうしてみると中々可愛いかもしれない。
僕はそのスライムをMP回復ポーションが半分ほど入った瓶に入れて合成を使用した。
「合成開始。
ベース指定、スライム。
合成素材指定、MPポーション。
概念抽出、魔力回復。
目的設定、魔力回復ポーションを生成してくれる新たなる従魔の創造。
イメージ、ゴミを食べることで魔力回復ポーションを生成するスライムとして再誕す」
「生成成功!
君はそうだな…マナスライムと名付けよう。
よしマナスライム、このダストゾンビを食べてMPポーションが生成できたらこの瓶に注いでくれるか?」
マナスライムは返事をするように体を大きく伸縮させるとダストゾンビの死骸に飛びついた。
僕は手に持っていたMPポーションが入っていた瓶をスライムの横におくとダストゾンビを分解しだしたマナスライムを観察した。
これを消化するにはかなりの時間がかかるようでこのままでは夜がふけてしまうため、ダストゾンビ討伐に使っていたスケルトンにマナスライムと瓶の護衛を任せて僕は一旦解体場に戻っていった。
スケルトンの視界をみるかぎり今の時間帯はかなり混んでいて、冒険者と解体依頼がひっきりなしに来ているようでゴミもその分出ていた。
2体のスケルトンが途切れることなくゴミの運搬を行っているのだが運搬する量よりもゴミが出る量の方が多いみたいで処理能力が足りていないことが見てとれた。
僕はスケルトン1体と外で拾った木の棒を合成して作った編みかごをローテーションの中に組み込み、スムーズにゴミの運搬が行われるようにした。
手が空いているスケルトンには、ゴミをゴミ箱に運ぶ役目を与えてその旨を解体屋の人たちに伝えた。
三人はピーク時特有の余裕のなさで怒鳴るように返事をしてきたが、夜もふけてくると冒険者たちも減っていき解体場も落ち着きを取り戻していった。
「怒鳴っちまって悪かったな。
ピークの時は心の余裕がなくていけねぇ。」
「いや忙しい時って余裕がなくなるからな。
大丈夫だ気にしていない。
それでどうだ?
スケルトンは役に立っただろう?」
「ホントに!
いつもはゴミで溢れかえってから最後にみんなで掃除とゴミ捨てをしなくちゃいけないんだけど今日はずっと綺麗だったわ!
ピークの時でも解体場が綺麗だなんて今までなら考えられなかったわよ。
今日はこの依頼を受けてくれてありがとうね、明日も来てくれないかしら?」
「役に立てたようで何よりだ。
依頼は明日も受けるがスケルトンはこの体制をそのまま継続すれば僕がここにいる必要もないだろう。
だからこの依頼と一緒に別の雑用系の依頼を受けるつもりだが問題ないか?」
「仕事さえしてくれるなら問題ないよー。
でも何か問題が発生した時はどうするんだい?」
「そこのスケルトンと僕は感覚共有を行なっているから問題が起きた時はそのスケルトンに言ってくれれば僕に伝わる。
そうしたら僕も遠隔でスケルトンに指示を出すなり、新しいスケルトンを生成して向かわせるなりできるぞ。」
「おー至れり尽くせりって感じだな。
それなら何にも問題はない。
他のところでもこのスケルトンがいてくれりゃあ助かるやつも大勢いるだろう。
複数受注するのは全く問題ないぜ。
最後だけ依頼達成のサインをするから顔を出してくれよな。」
「わかった。それじゃあまた明日もよろしく頼む。」
「「「お疲れ様!」」」
「おう、お疲れ様ー。」
僕は解体場からフロントに移り、受付のおっちゃんに依頼達成を報告した。
「おうお疲れ、お前のスケルトンは大活躍だったようだな。
達成評価も優だし、備考にもあいつらからの感謝の言葉が書かれているな。
明日も来てほしいとよ。」
「ああ、さっきも解体場でお礼を言われたところだ。
もちろん明日も受注する。
あと解体屋の人たちとも相談したが、僕がいなくてもスケルトンさえいればどうにかなるからここはスケルトンに任せて僕は別の雑用依頼を受注しようと思っているんだが仕組み的に問題はないか?」
「問題ないぞ、冒険者は護衛依頼と収集依頼を同時に受けて効率よく依頼を達成するなんてことをやっている奴らも多いからな。
あいつらが問題ないと言ったなら大丈夫だ。
明日もスケルトンが出来そうな雑用系の依頼を見繕ってやるよ。」
「ありがとう、助かる。」
「いいってことよ。
ほら達成報酬の大銀貨1枚だ。」
「確かに。
じゃあまた明日くる。」
「おう、お疲れ様だ。」
「お疲れ様。」
僕は宿屋に戻りベットに横になった。
夕飯を食べることを忘れていたが、魔力をたくさん使った影響か、それとも一気にレベルアップした影響か分からないが体が異様にダルくすぐに眠ってしまうのだった。