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1話 アナザーワールド

今日は待ちに待った日だ。

ゲーム機のシェアの奪い合いが激しい現代で、ついに完全没入型のVRマシン「プレイアクション6 Dive」(通称PA6)が発売された。

僕こと風間真斗(25歳)は、大のゲーム好きでこのマシンが発売されるのを今や遅しと待ち望んでいた。


このマシンの素晴らしいところは完全没入型で、寝ながらプレイ出来るうえに時間感覚を何倍にも引き伸ばしてゲームが出来るという点。

これにはプログラマーとしての仕事が忙しすぎて中々休みを取れない僕でも、長時間のプレイを思う存分楽しめる至高の一品となっている。


もちろんハードだけではゲームは出来ない。

肝心のソフトだが、ハードと同時に発売される目玉ソフトがあるのだ!


その名も「アナザーワールド」

このゲームは簡単に言えば一人用のRPGなのだが、今流行りの異世界転生小説に影響されて作られたゲームで、そのコンセプトは異世界転生体験RPG。

ストーリーはなく登場人物やクエストもすべてAIが生成する仕様で自分次第でファンタジーにもSFにもエロゲーにもなる新ジャンルとなっている。

そして主人公キャラクターは自分自身でキャラクリエイトが出来、チートスキルを自分が望むように設定出来るというまさに夢のようなゲームなのだ。


つまり!力の向きを自在に操る能力を得たり、時を止める能力を得たりと自分が最強だと思うチート能力を自由に設定して遊べるということだ。

考えただけでもわくわくが止まらない!

このゲームが発売されることを知った日、僕は興奮で眠れなかったほどだ。


もちろん予約は済ませていて、発売日と同時に家に届く手筈となっている。


こんなに素晴らしいゲーム機なら抽選販売になるんじゃないかと心配したが、このゲーム機は一般的なゲーム機に比べてはるかに高額だったためきちんと予約購入出来た。


ちなみにそのお値段なんと30万円。

この革新的な体験が出来る技術としてみたら安いのだが、ゲーム機としてはかなりの高額。

僕はプログラマーとして多忙だが、そこそこ稼げているので問題なく買えたが、普通に高いため一般人には手が出にくいのは確かだ。


ピンポーン


ゲーム機に想いを馳せていた僕はチャイムの音で現実に引き戻された。


どうやらとうとう待ちに待ったゲーム機とアナザーワールドが届いたようだ。


早速荷物を受け取り、早々に箱からゲーム機を取り出した。


どうやらヘルメットのようにかぶるタイプのようで、デザインも洗練されている。

新品特有のいい匂いが漂ってきて興奮を抑えきれない!


さっそく説明書を読むのもそこそこにゲームのセッティングをはじめた。

一通りセッティングが出来てゲームを開始しようとする


「おっと、その前に録画、録画」


ゲーム機をPCに接続して録画を開始する。

実は風間はこのゲームのプレイ動画を動画投稿サイトにアップして収益を稼ごうと考えていた。

(ゲームだけやって生きていけるなら最高だからな。このプレイ動画がヒットして会社を辞められるくらい稼げたら最高だな)

などと夢想しつつ僕はゲームを開始した。


ゲームはヘルメットにつけられた電源ボタンを押すことで起動できる仕組みで、ヘルメットにゲームソフト用のメモリーチップを入れるか、ゲームソフトをネットワーク経由で購入してDLしたものがプレイできる。

ここら辺は従来のゲーム機であるプレイアクション5と同じ仕様だった。


僕はダウンロード時間を待ちたくなかったため、ゲーム機と一緒にソフトも購入していた。


ゲームを起動してまずは初回起動時のプロフィール入力、言語や時間の設定等お決まりのセッティングを終わらせてさっそくゲームの起動アイコンを見る。


「くーっ!とうとう待ちに待ったこの瞬間がやってきた。アナザーワールド!さっそくプレイしていくぜ!!」

動画配信することを考えているため、若干意識してテンション高めの発言をしながらゲームを開始。

そうして眠るように意識がゲームの中に吸い込まれていったのだった。


「なんか某ゲームのレ〇シフトみたいだな」

意識が吸い込まれると同時にキレイなきらきらのエフェクトが高速で背後に流れる世界が一面に広がった。

自分の身体は真っ黒で半透明のアバターになって漂っている状態のようだ。


しばらくその光景を眺めているとふわふわした光が目の前に現れた。

「この度はゲーム アナザーワールドをプレイしていただき誠にありがとうございます。

私はこのゲームをプレイするにあたっての進行を務めさせていただきます。

AI妖精のナビリルと申します。

宜しくお願いしますね♪」


「こちらこそよろしくお願いします。」


「はじめにこのゲームをプレイするにあたっての注意事項を説明させていただきます。

このゲームは残酷な表現や性的描写がございますため、18歳未満の方はプレイ出来ないZ指定のゲームとなっております。

あなたの年齢はゲーム機本体に設定いただいた25歳でお間違いございませんか?」


「はい、25歳です。」


「かしこまりました。

それでは年齢制限は問題ありません。

また、安全のために肉体になんらかの問題が発生したことを検知した場合やチャイム等の大きな音が鳴った場合はゲームプレイが強制停止しますのでご注意下さい。」


「あーなるほどプレイ中に強盗や変質者にでも入られたらやばいもんな。了解です、それで問題ありません。」


「ご理解いただきましてありがとうございます。

次にこのゲームでは好きな時にログアウトできるアナログモードと死ぬか設定した期間プレイするまでログアウト出来ない人生体験モードが存在します。

どちらのモードでプレイされますか?」


「どちらのモードでもなにか異常があったら強制停止されるんですよね?

ちなみにその時のデータってどうなりますか?」


「はい、どちらのモードであっても異常が検知されましたら強制停止させていただきます。

強制停止された場合のデータは保存され時間停止の状態となります。

続きを始められるようになったタイミングで時間が動き出しますのでご安心ください。」


「あーそいつはいいなせっかく人生体験モードやってても強制切断でデータロストじゃ興ざめだもんなぁ。

じゃあ僕は人生体験モードを希望します。」


「設定が人生体験モードに設定されました。このモードは例え途中で嫌になってもやめることが出来ません。

本当によろしいですか?」


「大丈夫、問題ありません。

あ、ちなみにゲーム内で死んだらデータってどうなりますか?」


「その場合はワールドデータごと消滅致します。

設定した期間を死なずにプレイしきればまた続きからプレイすることもキャラクターや能力を変更してプレイすることも可能です。

プレイ年数は何年で設定しますか?

ゲーム内時間の1年は現実時間の1分に相当致します。」


「死んだらワールド消滅ってのはマ〇クラのハードモードみたいだな。

じゃあ設定は120年でお願いします。

今日は休日だし、2時間くらいプレイしたらちょうどお昼なんで!

その前に死ぬと思いますけどね(笑)」


「プレイ年数の設定が完了致しました。

次はアバターのクリエイトになります。」


「アバターは現在の自分をそのまま使いたいんだけどできますか?」


「可能です。

あなたの記憶領域から読み取ってあなたの容姿を設定します。」

「設定完了しました。

年齢はどこから開始しますか?

完全転生なら赤子からスタート可能です」


「さすがに赤ちゃんからだともどかしすぎるな…

 13歳からスタートにしてくれ」


「かしこまりました。

アバター年齢を調整。

年齢設定が完了いたしました。」

「お待たせしました。

基本設定が完了しましたのであなただけのチート能力を設定しましょう。」


「きたああああ!待ってました!!!」


「このゲームの最大の目玉の一つですからね。

時間はたっぷりございますので存分に悩んでお決めになってください。」


実はこのゲームを予約したその日から色々と妄想していたのだが、

チート能力が一つだけなのか何個かもらえるのかで変わってくる


「なあ、ちょっと質問なんだがチート能力がもらえるのは一つだけなのか?」


「いえ、出力を低下させれば最大で3つまで設定可能です。」


「出力?」


「はい、一つの能力に100%の出力を割り当てることで最強のチート能力を設定できるというのが一般的な使い方ですが、出力を50%にして二つにするということもできます。

その場合でもその世界で比類の無い力が振えます。

最後にこれはあまりお勧めしませんが出力を33%程にして3つのチートスキルを得ることも可能です。」


「なるほど例えば、一つに絞るなら世界の創造や破壊といったぶっ飛んだ能力も設定できるが、数を増やすごとに可能な能力も狭まっていくってことか」


「その通りです。

加えていうなら3つに設定した場合は最初から全ての能力を使用するということができなくなります。

逆に言えば能力の成長も楽しめるということでもありますが、チート能力と言っても普通より強力くらいな程度に収まった力しか発揮できません。」


「ふーんでも成長させればかなり強い能力にできるんでしょ?」


「それでも1つに絞ったチート能力には及びませんが、そうですね二つに分割した時よりもシナジーなどの観点から考えれば上回ることもできると思います。」


「それなら僕は3つがいいな。最初から最強だとすぐに飽きちゃいそうだし、成長する楽しみを味わいたいからね。」


「かしこまりました。

それではどんな能力にするか考えて教えてもらえますか?

その提案に沿えるかどうかはこちらで判断いたします。」


「了解!

実はその3パターン全てどうするか予め考えていたんだよな。」


「全てですか?

それは一体なぜでしょうか。」


「単純に考えてるだけで楽しかったからだよ!

最初は一つだけだったらどうするかというパターンを考えていて、じゃあもし二つもらえるなら?

罷り間違って3つ貰えたならどうしようって具合にね。」


「興味深いですね。

それぞれどういう能力にしようと思っていたのか教えてもらえますか?」


「ああ!

まず一つだけしかもらえないならどうするかだけど。」

「さっきも言った通り単純に最強なだけの能力じゃすぐに飽きちゃうだろうから自分の特技を生かしてプログラム魔法というものを貰おうと思ってた。」

「プログラム魔法っていうのはC++言語を使用して世界の概念に介入して任意の事象を発生させるって魔法を想定してた。」


「なるほどその能力ですと確かにチート能力一つまるまる使わないと実現できない極大のチート能力ですね。」


「そうなんだよ。

ただ僕はできれば複数のチート能力が欲しいと思ってた。

だってプログラム魔法ってやってることが仕事と変わらないし新鮮さに欠けるからね。」

「そんな訳で二つもらえるなら何がいいか考えてたんだ。

その場合は、見ただけで物の構造をストックして複製を作り出せる複製魔法と同じく見ただけで相手の能力を自分に加算する力というのを考えていた。」

「これなら色々な能力を使えるし、複製した物も持ち主の能力を加算することで使いこなせるようになって面白いと思ったんだ。」


「確かに面白い能力ですね。

その場合複製できないものやコピーできない能力などの制限は発生しますが実現可能です。」


「そして3つ目!つまり今回設定する能力は…」

――

初投稿です。

ノリと勢いで書いていきますので、頭を空っぽにして楽しんでもらえればと思います。

もし評価や感想を入れてもらえたら飛び跳ねて喜びます。

――

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