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未来世界の小説シリーズ

電子生物は新時代の人間のパートナーです

作者: リィズ・ブランディシュカ



 電子生物。


 それは現実に存在する様々なペットの行動パターンを、何万通りも学習させ、プログラムして作りだした生き物だ。


 食べ物を食べさせる必要はないし、お風呂に入れる必要もない。


 お金がなくても飼育できるペット、手間のかからないペットとして人気だった。





 仮想世界でのみ生きる電子生物のペット。


「ぷーちゃん、今日も一緒におさんぽしましょうね」

「ぷー」


 人々は、そのペットに夢中になった。


 位置情報も把握できるため、管理がしやすく、不意にいなくなってしまう事もない。


 足の速いペットや動き回るペットなども、飼育しやすくなっていた。


「にゃんこちゃん。お空は気持ちいい?」

「にゃー」


 しかも、見た目も自由に設定する事ができるため、猫に羽が生えているというような現実ではありえない体の構造にもする事ができた。


「きゃああ! 列車にペットがはねられたわ!」

「落ち着け、大丈夫だ。データのバックアップさえ残っていれば、またよみがえらせる事ができる」


 そして、不慮の事故によって、突然この世を去ってしまう事もない。


 電子生物は、人々にとって理想のペットだった。







 メリットは大きくて、デメリットは限りなく少ない。


 けれどそれゆえ、問題が起きる事もある。


「めぇめぇ」

「あそこのペット、いつもずっと同じとこにいるよね」


 現実で用事があれば、長い間忘れ去られてしまうペットがいたり。


「こんな気持ち悪い姿をした動物なんて、ペットにできるか」


 オーダーした姿が思う様にならなかったといって、ペットの購入を拒否する人間がいたりした。


 そして。


「俺がうまくいかないのは、他のやつらのせいだ」

「きゃいん!」


 いつでもよみがえらせる事ができるからと、虐待のための道具にされたりしてしまう事もある。


「このワニくん、ぜんぜん反応してくれません」

「一年中暗い場所に閉じ込められて、心がマヒしてしまったんだろう」

「今月に入ってこれでに十件目ですよ。飼い主の見当たらないペットがこの病院に持ち込まれるの」


 電子生物。


 それは技術の発展にともなって、できた新たな命。


 新しい時代にあった人間のパートナーとして、多くの人間に注目されているが、それゆえに悲劇も多かった。



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