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戦後処理

お片付けは大事

「お姉さん大丈夫? 顔色悪いけどどうしたの? まるで目の前でゲス共がボコスカの挽肉にされたのを見ちゃったみたいな顔してるけど」


「わかってるじゃないの……」



 ゼノムは武器についた血を払い、おやっさんはその辺の草をみ、妙齢の女性はへたり込んで動けないでいる。ちなみにそのゲス共はほぼダルマ状態で無事だった荷台に雑然と押し込まれている。この先にある町で換金するためだ。全身麻痺の毒を打ち込んでいるので問題ないだろう。出血は低級ポーションで止まっているので次の街くらいまでは持つだろう



 落ち着いた頃、女性はヘンリエッタと名乗った。彼女は商人でインセクタへと向かう途中であの冒険者はんざいしゃたちが裏切り、今に至るといった。馬車を引いていた馬もあのゲス共に殺されてしまい、もしあの窮地を脱したとしても彼女一人ではどうしようもなかったところだったのだ。


 目的地が一致していた為ゼノムは自分を護衛として雇うことを提案、おやっさんに荷馬車を引いてもらうことをお願いした。ヘンリエッタも渡りに船の提案だったので快諾、道中イイ感じの花畑があったので彼女の仲間を埋葬した。彼らの冥福を祈りつつ二人と一匹はインセクタへと向かう



「いやー助かりましたよヘンリエッタさん。正直おやっさんの背中って乗りにくいったらなくて……ケツが二つに割れるところでしたよ」


『悪かったな。次はテメェのケツを五等分にして花婿をくれてやるよ』


「申し訳ないが俺はノーマルだし人間はダメだ。あとケツが割れても穴は増えねぇよ」


「あの、何を言われているので?」



 突然誰かと話し出すゼノムに困惑を隠せないヘンリエッタ。



「あー、そうだった。今俺このグランドアーマードダンゴ……おやっさんと話してたんですよ。虫使いってスキルでね、虫系のヤツと意思疎通できるんです。ベンリですよ」



 そう言ってゼノムは人差し指を立てて上に掲げる。すると森から数百匹の蝶が飛んできて彼らの頭上で旋回し始めた。その非現実的で幻想的な光景にヘンリエッタは開いた口が塞がらない。蝶たちはしばらくゼノム達の頭の上を飛んだあと森へと帰っていった



「まァこんな感じでね。イイでしょ?」


「スゴい……もしかしてレアスキルなのかしら?」


「ン、まぁそうですねぇ。もっともこうやって役立つようになったのは最近ですけどねぇ」



 なんてことはない雑談をかわしつつ二人と一匹はインセクタへと向かう。




 虫使い。それはレアスキルながら不遇だと言われている。なぜなら虫と意思疎通を可能にするくらいしか能がないと思われているからだ。それは違う。虫使いの本懐とは、『虫の能力を使えること』なのだから



 レアスキル故か研究が全く進んでいないせいでゼノムも最初は苦労したが、使いこなしてからはマジでヤバいスキルということが判明した。まずは虫と意思疎通を繰り返し経験を積むことでスキルのレベルを上げる。すると魔物の中でも虫型に分類されるものとも意思疎通が可能になるのだ。


 そしてスキルレベルをカンストさせると、自身に今まで親交を深めた虫の能力を発現することができるのだ。例を挙げれば、バッタと仲良くなれば凄まじい跳躍力を得ることができる。バッタの魔物である『グラトニーホッパー』と仲良くなっておけば、蹴り一発で強固な城壁に巨人が通れるほどの大穴を開けることすらできるのだ。


 虫という定義は割と曖昧で、昆虫だけでなく蜘蛛やサソリなどにもこのスキルは適用される。ゼノムは一度大きな川に出現した巨大ワニの魔物討伐の際に、川に棲んでいた川エビの力を借りて巨大ワニの居場所を探知したこともあるので、おそらく海に居る虫のような存在も虫使いのスキル範囲内なのだろう。



 他にも自分のレベル以下の虫を使役し諜報員としても使える。今までゼノムは雑用兼斥候モドキとしてダケンたちとパーティを組んでいたのだが、追放前日にスキルレベルがついにカンストしたのだ。やったぜ。



 本来なら雑用兼斥候モドキが勇者をワンパンKOなんてできるはずはないのだが、あの時は『パンチングマンティス』と言われる虫の魔物の能力を瞬間的に発現させ一矢報いたのだ。パンチングマンティスは神速の拳闘士と呼ばれており、名の通り神速のパンチで敵を攻撃する危険な虫型の魔物だ。


以前依頼でこの魔物の討伐に勇者パーティで赴いたのだが、ダケンとモブ騎士纏めてワンパンKOされるわアホウ使いは虫イヤーとか言って宿に引きこもるわでゼノムは大変な目にあった。どうにかよく回る舌でパンチングマンティスをなだめすかし、別の場所に住処を移してもらうことで依頼を達成したが、その後ずっと勇者たちの機嫌は悪かった。そのときの俺の給料がいつもよりも少なかったのをゼノムは絶対許さない。







ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ



 それから数時間後。二人と一匹はインセクタ王国へとやってきた。入国の際に犯罪者たちを引き渡し、報酬の受け取りに必要な書状と入国証を貰う。どうやらこの犯罪者たち近頃インセクタ周辺にのさばり悪逆の限りを尽くしていたらしく、門番の衛兵たちからは熱い感謝の言葉を贈られた。



 一先ずヘンリエッタの務める商会へと馬車を走らせ、事の顛末を商会に説明する。そして馬車を商会に置き、おやっさんに待っていてもらう間に二人は冒険者ギルドへと向かう。そこで犯罪者を捕まえたことの報酬を貰うのだ。



「いやー結構な金になりましたねぇ! しばらくは安泰だな」


「重ね重ね、本当に助かったわゼノムさん。ありがとう」


「なァに、お互いに得したんだから構わねぇっすよ。アンタは命を拾い、俺は金を手に入れた。それで十分じゃないですかね」


「それよりもいいのかしら? 報酬金の三分の二も貰ってしまって」


「独り身冒険者より商人のほうが金使うし、イイっすよ。特に高額のモン買う予定もないんで。その代わり、また買い物行ったときにちょいと割り引いてくれれば俺としては嬉しいなーって」


「もちろん。また我が商会にいらしてください、ゼノム様」



 そうしてゼノムは普段使うレベルよりも少しだけレベルの高い宿をとった。ついでに宿屋で害虫を追い出すバイトをやったら夕飯のレベルがかなり高くなってさらにタダになったのはオマケの話





ヘンリエッタさんとのフラグ? 立ちませんとも。詳細は後々。もうちょっとしたらモン娘出すので待っててね。しかも短編の時に居なかった娘ですよ? 期待しててね

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