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かつての知り合いは語る

ゼノムの昔の知り合いの独白みたいなもんです。





 あぁ、アイツがこの町のギルドに来た時のことははっきりと覚えてるよ。ヴェルゼノム・セルクタス、通称『盗賊狩りのゼノム』『赤目の冒険者』『双子鎌のゼノム』。このギルドじゃ名の知れた冒険者だ。


 え? あぁそうか、お前さんたちは知らないのか。アイツは勇者パーティに無理やり放り込まれる前は盗賊狩りで名を馳せてたのさ。それこそ、初心者卒業したての冒険者にして異名を持つ程度にな







 ヤツが初めてこのギルドに来たとき、アイツは併設の酒場で飲み物を飲みながらずっと周りを観察してた。あの特徴的な赤い目でな。冒険者登録をするでもなく依頼をするでもなく、受付嬢たちは困ってたな。夢見る若者に現実を教えるおせっかいな中堅冒険者たちも、ヤツがただ酒場で飲み物飲んでるだけなんで手が出せなかったのさ。


 ヤツが初めて現れて三日ほど経った時、ついにアイツは動いた。冒険者登録をしに受付に現れたのさ。んでおせっかいなやつらの出番だ。アイツらは人を見る目はあるからな、思い上がったやつらにはお灸を据えるが堅実そうならちゃんと実力を測ってくれる。ゼノムは堅実そうだったってんであいつらが正式に登録試験をしたんだが……結果か? まぁ可もなく不可もなく、及第点ってとこだな。そしてゼノムは無事冒険者となった。




 んで、だ。時間がちょっと経って、ゼノムも冒険者のタマゴから初級冒険者になるかならないかの時だ。いきなり奴は盗賊征伐の依頼を受けたのさ。




 最初は受付嬢もおせっかいな奴らも止めたのさ。そりゃそうだ、ゼノムはその頃着々と実力をつけていて少し時間が立てば一端いっぱしの冒険者になれるっつーときに、危険度がまるで違う依頼を受けようとしたんだからな。だがゼノムは聞かなかった。正直その場に居た全員が落胆したんだよ、また有望株が居なくなるってな。だが結果は違ったんだ。そう、ヤツはたった一人で依頼を完遂したんだよ。それも依頼の盗賊全員の首をもってな。



 そりゃ全員が驚いたさ。受付嬢もしばらくは言葉が出なかったし、おせっかいたちもゼノムがウソつくようなやつじゃないって知ってたから余計にな。だがドンと机に盗賊共の首の現物を置かれちゃ信じるしかない。それからゼノムは定期的に盗賊征伐のクエストを受けるようになった。どれも盗賊全員討伐して、しかもほぼ無傷で依頼達成だ。あの時ゃ俺もケツに氷突っ込まれたような寒気がしたもんだ



 で、気になったおせっかいの斥候が一度ゼノムに頼んで盗賊征伐に同行したのさ。








ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ



 で、俺がその時ゼノムに付いてった斥候ってーかシーフなんだが……正直驚いたね。ゼノムの用意周到さっつーか、抜け目なさってーか……まぁなんだ、端的に言うとヤツは人間観察がバケモノレベルだったのさ。



 まず奴は情報を集めてた。まぁこの辺は当然だな。だが情報の集め方がフツウ違ったのさ。ヤツがレアスキルを持ってたのは知ってるか? そう、ヤツは虫から情報を集めてたのさ。盗賊が潜んでる場所、地形、人数、使う武器、etc etc……あらゆる情報が筒抜けだ。正直斥候やって割と長い俺っちでもアイツの情報収集能力には勝てねぇだろうさ。


 で、いよいよ盗賊を討伐することになると、だ。ゼノムは盗賊相手だとマジで情け容赦がねぇ。まず盗賊がよく使うルート、奴らの脱出ルートやら巡回ルートだな。にワナを張るのさ。それも棘鉄縄 (有刺鉄線のようなもの)のトゲに強烈な麻痺毒を塗ったえげつないやつだ。コイツに足を取られると片足で逆さづりになった挙句体が麻痺して動けなくなるし、服一枚くらいなら平気で貫通する棘は一度刺さればなかなか外れないからワナにされるとサイアクだ。捕まった哀れな奴は頭に血が上ってゼノムが一仕事終えるころにはマトモに動けなくなってる。おぉコエェ……見張りなんて大体一人でウロチョロするもんだし、他の奴が来るまでにそこらの茂みにでも捕縛したヤツを放り込んどけばバレない。


 下っ端の見張りは大体こうやって仕留めてるんだが、そっからだ。俺がついていったときの盗賊は洞窟を根城にしてたんだが、ゼノムのヤツ洞窟の入り口で睡眠毒を混ぜ込んだ煙を炊き始めたのさ。洞窟に他の出入り口がないことは虫に聞いてわかってたらしい。ほどなくして洞窟の中に居たヤツはおねんねしてるわけだな。


 だが煙に気付いた入り口近くのヤツは毒が効く前に襲い掛かってくる。その時のためにゼノムは洞窟入り口の丁度人の足首の高さにさっきの棘鉄縄をはっとくわけだ。煙で視界不良な上奴らは怒りで視界がさらに狭くなってる。まぁ先頭の奴は麻痺して動けなくなるわな。後続の奴は倒れた先頭の奴に躓いて顔面から地面にダイブだ。そこにゼノムは麻痺毒の吹き矢を悠々と打ち込んでく。


 大体はコレで動けなくなった盗賊を一人一人仕留めていくわけだが……俺っちがついていったときは例外が居た。状態異常耐性のスキル持ちが居たのさ




 どうやらそいつは盗賊のお頭だったらしい。激昂して斧振り回しながらゼノムに襲い掛かったんだが、決着はあっけなかったな。ゼノムが軽く右足で地面を踏みしめたと思ったらいきなり盗賊がコケたのさ。で、倒れ行く盗賊の顔面にヤツの得物の鎌が深々と突き刺さった。鎌の先端が後頭部から飛び出すくらいにな。あまりにあっけなくて俺っちは何が起こったかわからなかった、で後で手品の種を聞いたのさ。


『相手の行動の起こりに合わせて土魔法で足場を崩したんですよ』



 正直完全に理解したわけじゃないが、ゼノムは相手が次に踏みしめるであろう場所にアタリを付けて、相手がそこを踏みしめた瞬間土魔法で滑りやすい小さな泥沼だったり突っかかってコケるくらいの土壁だったりを作ったりするそうだ。相手は突進して勢いもあるし視界も標的ゼノムしか見えてない、要するに足元がおろそかになってるから面白いようにコケてくれるんだそうだ。



 正直ゾッとしたな。下級土魔法がこれほど恐ろしいモンに化けるなんざ誰も思いつかなかったろうさ。魔力消費も最低限で相手に致命的な隙を与えることができる。だがそれを可能にしたのはゼノムの人間観察と抜け目なさのおかげなんだろうな。俺にゃマネできそーにねぇや






 盗賊業界では『赤い目の冒険者に気を付けろ』『目をつけられたら逃れられない』『死神ゼノムが来たらその国から逃げろ、そうすればすぐに死ぬことはなくなる。まぁ盗賊から足を洗わなきゃいずれ殺されるだろうがな』と恐れられているそうだ。








ゼノムの小細工は経験と実績からきています。リリアに投げてた魔術阻害ナイフも魔法使いの盗賊対策に持ってたものです。地味だけど人型敵対者絶対殺すマン、対人チート、それがゼノム。

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