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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
7/16

蒼空再び

「本当によろしかったのですか?」

「何が?」

「魔導士協会のことです。今日会ったばかりの人間に魔導書関連の事件を任せるなんて、何か裏があるとしか考えられません」

「うーん...まぁ裏があったとしても蒼空を助けられるなら別にいいかな」

「まったく...あなたって人は」


魔導書は魔導士協会の中でもトップクラス具体的に言えば支部局長や総本局勤務の者しか所持使用ができない物となっている。しかし海音は魔導士協会に所属していないため、契約さえしてあれば魔導士協会に後から所属しても取り上げられることはない。しかしそれと今回の事件を任されたことは関係ない。魔導書を所持していたとしても使いこなせていなければ事件解決など不可能なことだ。そのため魔導書関連の事件は魔導書を所持しているかつ魔導士協会の定める魔導士ランク1~14のうち上位の4.3.2.1のどれかでなければ関わることすらできない。それを海音に任せることなんて総本局が認めるとは思えない。総本局が認めていないということはアギトの独断である可能性が高い。ではなぜアギトは海音に任せるといったのか?クロンデルスはそこが引っかかっていた。


「そう言えばアギトさんが移動魔法に地球支部を登録しておいて言ってたけどどうやるの?」

「移動魔法の魔法陣を展開してそこに行ったこのとある場所でもう一度行きたい場所の名前や特徴、情景を詳しく思い浮かべれば登録できます」

「なるほどね。試しに家を登録して見るか」


海音は移動魔法の魔法陣を展開した。そして家の場所や周りの風景など周辺の特徴を細かく思い出した、すると魔法陣が緑色に光り始め海音と包み込んだ。まぶしさに海音は目をつぶった。光が収まり目を開けるとそこは家の前だった。


「すっげー!」

「現実世界で初めて使った魔法かもしれませんね」


いわれてみれば初めてだ、今までは訓練用の空間で使うのが当たり前だった。この地球という惑星では魔法を使う機会はほぼ0に近いため現実世界ではまず使うことはない。そんな惑星で初めて使った魔法、大した魔法ではないが海音にしたら特別な魔法だ。そんな魔法で蒼空と戦う、今使った魔法は使わないかもしれない、でも海音が放つ魔法であることに変わりはない。そう考えると海音の顔は曇った


「海音様、あなたしか蒼空さんを助けられる人はいないのです。それを胸に刻んでください」

「そうだよね...クロンデルス、どうすれば助けられるかな?」

「答えは海音様の中にあるでしょう。わたくしは海音様をサポートするだけです。模範解答ではありません」


海音が思うままに進めばいいそう伝えたつもりだったが、回りくどく言ったせいか海音にはよく伝わっていないようだった。


「まぁ、少し足りていないのも海音様の良いところですし...特に問題はないでしょう」

「え?なんか言った?」

「いいえ何も」


海音がどんな選択をしようと行き着く答えはきっと一つだ。蒼空を助ける。そこにしか行き着かないとクロンデルスはそう思った。狂いのないまっすぐな瞳はきっと間違った道になんて進まない、そう思うことができた。


「純粋だねぇ」

「何者だ!?」


さっきまで開いていなかったはずの窓がいつの間にか全開になっていた。窓との距離はあっても数センチ。視界に入らない距離ではないが開いたことにすら気づかなかった。


「俺の獲物を返してもらおうか」

「お前、蒼空と一緒にいた...」

「ほう、蒼空を知っているのか?息子に変なことを吹っ掛けないでくれよ。あれはあれで重宝してるんだからな」

「息子...だと?」


蒼空と目の前にいるこいつが親子...考えただけでも虫唾が走った。あり得ない、嘘をつくならもっとましな嘘をついてほしいと思った。なんでこんなやつが...


「その顔、信じてないな」

「嘘をつくならもっとましな嘘をつけよ」

「嘘じゃないさ、真実だ。なぁ蒼空」

「はい、父さん」


さっきまで誰もいなかったはずの窓の外に蒼空がいた。ここは二階だ。勿論はしごなんてないし人が立てるだけのスペースなんてない。浮遊魔法、魔法の波形が蒼空の親だというやつと全く同じだった。魔法の波形は親にいるといわれている。クロンデルスから聞いた話だが、親子の場合その一致率は90%以上だという。これが合っているならば間違いなく蒼空とこの男は親子だ。


「そんな...嘘だろ」

「だから言っているだろ?真実だ」

「海音様、こ奴が入っていることは事実でしょう」

「物分かりがいいね君のガーディアンは、そんな君に一つ提案をしようと思ってね」

「聞こう」

「ひとつゲームをしよう。こちらが勝った場合は宵闇の書を渡してもらう。君たちが勝ったら蒼空のウイルスコードを解除しよう」


海音にとってはいい条件だが、相手が大人しく解除するはずがない。海音が目覚める前アギトが言っていた、彼らはまた必ず君たちの前に現れる、その時に何か持ち掛けられても乗ってはいけないと罠である可能性が高い。しかし絶好のチャンスでもあるクロンデルスの答えは一つだった。


「いいだろう」

「そうか。では場所を変えよう」

「その前にゲームとはなんだ?」

「海音と蒼空の真剣勝負さ」


海音とクロンデルスの視界は青い魔法陣に染められた。


「クロンデルスより緊急連絡。現場は...」

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