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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
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ディバイン

 海音の成長はすさまじく速かった。魔導書を読み始めて2週間後にはある程度の魔法詠唱を覚えていた。が、魔法詠唱を覚えても魔力がそれについていかず。ほとんどの魔法は使うことすらできなかった。


「ねぇ、魔力ってどうやったら強くなるの?」

「外から吸収する以外は、戦って強くなるしかないですね」


 戦うったって、地球に魔法が使える人間なんてそう居るものではない。外から吸収するのは以前やってみたが、魔導書が認めた者以外の魔力を使おうとすると激しい拒絶反応を起こした。だとすれば、残された選択は一つしかない。諦めることだ。体が成長するにつれて自然と魔力も大きくなるらしいからそれまで待てば問題はない。しかし海音はせっかく覚えた魔法を早く使いたい。


「海音様のお気持ちは分かります。ですからささやかながら私からプレゼントです。受けっとて下さい」

「なにこれ?」


 海音が渡されたのは剣のような見た目の小さなネックレスだった。


「それは魔力を強化のための武器、ディバイン。名をブレイン・ロード」

「ブレイン・ロード」


 海音がディバインの名をくちにした途端、光を放ちながらその姿を変えた。見た目は完全な剣になった、そしてディバインの光は強くなり海音を包み込んだ。


「こんにちはマスター。言語はこれで合っていますか?」

「え?あぁ、うん合ってる」

「では早速ですが、使用時の服の形を決めてください。頭の中で想像するだけで大丈夫ですから」

「え、あぁ、うん。分かった」


海音は頭の中で自分が思う戦闘服を思い描いた。迷彩柄で、ヘルメットがついていて重そうで、でもしっかりと守ってくれる。そんな服を想像していた。


「マスター、もっと自由に決めてください。好きなように決めていいんですから」

「じゃあ、もう一回」


海音は再びイメージを広げた。今度は自分がおもう動きやすくて、でも海音らしさがある。服装を想像した。上着は青いTシャツ、その上には羽織れるタイプの軽いジャケット。ズボンは黒い長ズボン、なるべく動きやすい生地のものがいいな


「マスターの要望に沿ったものを準備しましたよ」


声がしたので目を開けると海音の服はさっき海音が思い描いた。服装になっていた。上も下も動きやすい生地のようで堅苦しい感じもしなかった。でも、ちゃんと守ってくれる、そんな気がした。


「じゃ次は武器の形状ですね。基本形は剣でいいですか?それとも刀にしますか?」

「刀がいいな、なるべく軽くて使いやすいやつ」

「分かりました」


海音の前に二本の刀が現れた。


「クロードとレバークーゼン、どちらもマスターにぴったりの刀です。しかし、使えるのはどちらかのみお選びください、マスター」

「どっちが強い?」

「性能はどちらも同じですがレバークーゼンは扱いがなかなか難しいです。今のマスターにはクロードが合うかと」


クロードは柄が黒く、見た目は太刀だが持ってみた感じはとても軽い。レバークーゼンは柄が白く、見た目は短刀だが重く、振りずらい。今の海音には軽くて使いやすい刀が向いている。


「そうだね、じゃあクロードにするよ」

「分かりました、では最後です。ブレイン・ロード、管理者権限を修正、使用者白波海音、武器形状刀。名をクロード」

「え、え?えぇぇぇぇ!」


海音の服がはじけ飛んだ、いや正確には消えた。そう、まるでアニメでよくある変身シーンのように。というかまさに変身シーンだ、海音がさっき選んだジャケットやズボンが順番にセットされていく。そして望んでもいないのに体が勝手に動き、カッコよくポーズを決めた。


「ここは架空戦闘場です。まずはディバインの使い方を説明しますね。まずこの戦闘服、通称ディバインジャケットへの換装方法です。これは使いたいときにディバインの名前、つまりブレイン・ロードと声に出せば換装できます。次に武器の使用方法ですが、これもまた使いたいときに武器名、クロードの名を呼べばその姿を現します。やってみてください」

「クロード!」


海音の横に光の玉が現れた。その光は海音の手の上で刀の姿に変形した。さっき選んだクロードだ。刃の部分が輝き、まるで選ばれたことを喜んでいるようだった。


「クロードは喋りませんが心を持っています。だからあなたの思いがクロードにも伝わります」

「そうなんだ。よろしくねクロード」


クロードは喋らないが輝き方が変わったのでクロードも何らかの気持ちを伝えてくれていることが分かる。勝手だが海音はクロードが“よろしく”といってくれたように感じた。


「さて、早速ですが戦闘訓練やってみましょう」

「どうすればいいの?」

「敵が前や後ろ、四方八方から敵が来ますのでそれを魔法や武器を使って倒してください」


確かに遠くのほうから大型の敵が近づいて来ていた。それに気を取られ、近くに敵が現れていることに気づかなかった。その結果、後ろから切りつけられた。


「なッ...マジかよ」

「気を付けてください。本来の戦闘では私がナビゲートしますがここでは私は何もしませんから」


優しさなのかただ単に厳しいだけなのか分からないが確かなことは、この訓練は確実に力をつけることが出来る。うまくやれば魔力も高まるだろう。これから魔法を使って何をするわけではない、でも何かをしてみたい気持ちはあった。今は好奇心のままに行動する、ただそれだけでいい。この先に何が待っているかを知らなくても...

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