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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
3/16

魔法

本の正体は...

突然現れた黒い鎧の男。空を飛んでいた男たち。突然苦しみだし逃げろといった少年。これまで起こったことが夢だとしたらそれは悪夢に違いない。現実だとすれば...


「主様!しっかりしてください」

「ん...ここは...」


そこは小さな公園だった。学校帰りにおかしなことに巻き込まれたのは覚えている。しかしその先の記憶はない。何があったのか、どうしてここに居るのか、まずは状況を知るべきだ。なんて普段の海音なら考えるのだろうが今の海音にそんなまともな思考は無かった。


「良かった。突然倒れたのでびっくりいたしました」

「き、君は誰?さっきのは現実?あの男の子は?」


海音は慌ててクロンデルスのそばから離れた。

クロンデルスは落ちつた様子で、なだめるような口調で話してきた。


「私はクロンデルス・ダークウィル。あなたの持つ宵闇の書のカーディガンにございます。ここから先の話は長くなりますのでまずは帰宅なさるのが良いかと」

「そ、そうなんだ。分かった帰ろう」


海音は家へと続く道を進んだ。クロンデルスは後ろから見守るようについてきている。周りにはこんな物騒な格好をしたクロンデルスの姿は見えていないようだった。会話もないまま海音は歩き続け、家の玄関の前で止まった。



「君は他の人には見えないの?」

「はい、今は見えません。しかし時間が経つにつれてほかの人のも見えるようになってしまいます」

「そっか、じゃあ母さんをびっくりさせなくて済むね」

「それはご心配ないかと」


海音は黙ってうなずき玄関の扉を開けた。夕方の6時、母さんは夕飯の支度をしているため台所にいた。匂いから推測するに今日の夕飯はカレーだろう。家に帰るとさっきまで胸に引っかかっていたものは消えていた。


「おかえりなさい。まだご飯できてないのごめんなさいね」

「いや、大丈夫だよ。出来たら教えて」

「分かったわ」


海音はそのままに買いの自分の部屋へと向かった。扉を開けるとなぜか不安な気持ちが海音を支配した。胸を締め付けるようないやな感覚だ。額から嫌な汗が出ている。体が震えいやな寒気もしてきた。


「主様、話の続きをしましょう」

「う、うん...そうだね...」

「どうされました?顔色が良くな...」


クロンデルスは言い切る前に腰につけていた鞘から剣を抜いた。そのまま窓を突き破り外へ出た。そこにいたのは黒くて、触手のようなもの生やしたこの世のものとは思えない見た目のまさにバケモノだった。


「何なの...あれ」

「魔法生物...宵闇の書に魅かれてやってきてしまったようです」


クロンデルスはおびえることもなくバケモノが伸ばしてきた触手を剣できっていく。表情一つ変えることなく前進んでいくとクロンデルスはバケモノの正面に立った。そこでようやく気付いたのだ、自分はもう斬られていると。クロンデルスはゆっくりと剣を鞘にしまった。それと同時にバケモノの体は真っ二つになっていた。


「主様、お怪我はありませんか?」

「だ、大丈夫」


バケモノがきえると海音を襲っていた寒気や不安は消え去っていた。あいつが一体何だったのか分からないが居ちゃいけない存在だったことは分かる。


「い、今のは?何?」

「まぁそう焦らず、順を追って話しましょう」

「そうだね...」

「まずは一番気なっているであろうこの魔導書、宵闇の書についてです。この宵闇の書は数多の世界の魔法を記録しするために作られました。しかし本だけでは記録できません。そのために製作者は自らの意思で主となる人材を見つけ出させる魔法をかけました。そして今回主となったのがあなた様だったのです」


どうやらめんどくさいのに選ばれてしまったらしい。魔法を記録する?海音には魔法なんて使えない。というか魔法ってなんだ?ファンタジー小説とかアニメとかでよく出てくるあの何でもできる便利なやつか?ツッコミを入れたいところはたくさんあるが一個一個やっていてはきりがない。後でまとめてすることにした。


「次にさっきの魔法生物についてです。あの黒い生物は闇の化身、名をビュートル。今回は宵闇の書の魔力に魅かれてやってたようです。害はないですが見た目が良くないので好んでいる者は数少ないです。ですがさっきのはビュートルの中でも上位種のようでしたね」


本来なら害の無い生物のビュートルは上位種になるとと人間や魔力の少ない生き物に寒気や不安感を抱かせたりする。また、魔力が強いものを好んでいる。宵闇の書ともなれば、ビュートルの1匹や2匹をよんでしまっても不思議ではない。


「以上がこの本とさっきの魔法生物についてです。何か質問は?」

「質問だらけだね。まずさっきこの本は魔法を記録するといったけど、俺魔法使えないし。後、主の基準て何?なんで今回俺なの?あと魔法生物って全部あんな感じなの?結局俺はどうすればいいの」

「主様が魔法を使えないことは分かっております。魔導書が主とするものは私にも分からないのです。魔法生物についても謎は多くありますが今言えることはは本来は敵ではないということです」


質問への対応が完璧すぎる。しっかりとどういう意味の質問なのか、求めている答えは何なのかを理解したうえで答えてくれた。しかし、魔法が使えない俺が今後どうすればいいか、肝心なことは理解できなかった。


「今の主様にできることは魔法を使えるようになることでしょう。幸い主様には魔力はありますので練習すれば使えるようになります」

「どういったことをすればいいのですか?」

「簡単です。魔導書を読んでください。もし主様が宵闇の書に認められているのなら書いてある文字が読めるようになっているはずです」

「読めなかったら?」

「諦めて魔導書を捨ててください。そうすれば記憶も自然と消えますから」


じゃあ、最初から捨ててしまえばことは丸く収まるのでは?と考えたがとりあえず本を開いてみた。読める...書いてある文字は日本語ではないが確かに読める。海音は宵闇の書に主として認められていた。となればやることは一つ、魔法を覚えればいい。面倒だがいやな気はしなかった。アニメや小説のような便利でかっこいい魔法が使えるようになる。もし本当ならやってみたい!その気持ちが強く出ていた。


「読めるようですね」

「うん。これを覚えれば魔法が使えるようになるの?」

「読むだけでなく実践するのも大切です。読んで実践するこれを毎日やれば身につきます」

「そっか、よくわからないけどやってみるよ」

「私もサポートさせていただきます」

「改めてだけどよろしくねクロンデルスさん」

「クロンデルスで結構です。よろしくお願いいたしますね主様」

「海音、白波海音。俺の名前」

「海音様、よい名前です」

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