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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
2/16

出会い

始まりは一冊の本、Magic of duskスタートです

「朝よ、起きなさい!海音(かいと)

「ん...今何時...?」


時計の針は7時半ちょうどを指している。これは世に言う寝坊というやつだ、今年の春から海音は高校生になった。未だに朝は苦手だが遅刻も欠席もなく成績も悪くはない。しかし今日はまずい、7時半ともなればすぐに家を出ても、着くのはギリギリである。


「行ってきます!」

「いってらっしゃい!」


慌ただしく家を出た海音を呆れた顔で見送るのは海音の母、白波真緒(しらなみまお)。いつもやさしく海音を支えてくれるいい母親だ。


「ヤバい急がないと」


交差点の信号が青から赤に変わることを知らせるためにチカチカと点滅し始める。信号を渡るとその先にあるのが海音の通う学校、私立時島学院がある。信号が変わる直前にわたり切った海音はチャイムが鳴る数分前に教室に駆け込んだ。遅刻は免れたようだ。


「珍しいな、寝坊か?」

「あぁ、昨日外が騒がしくてよく眠れなかったんだ」

「そういえばニュースでやってたな。ほらこれ」


そう言って見せてきたのはネットニュースの記事だった。東京都の閑静な住宅街で発砲音。事件の可能性を視野に警察が捜査中。そう言われてみれば今朝は警察が多かった。家の近くで発砲事件だなんて物騒な世の中だ。


「気を付けないとな」

「そうだな、事件性がないことを願うよ」

「ショート始めるぞ」


チャイムが鳴り、担任が入ってくる。これからまた、いつも通りの何一つ変わらない日常が始まる()()()()()

いつもと変りなく学校が終わり、友達と帰路を歩く海音は他愛ない世間話を楽しんでいた。


「見ろよこれ」

「何?」


友達が指をさしたのは一冊の本だった。小説にしては表紙がシンプルすぎるし、何かの参考書にしては分厚すぎる。そして何より不思議なのは道端に落ちているにしては汚れていないことだ。落ちてから間もないとしても埃どころか傷一つ付いていない。


「お前こうゆうの好きだろ?貰っちゃえば」

「いや、探してるかもしれないだろ?それにそんなことしたら遺失物窃盗罪になるだろ?」

「じゃあ、交番に持ってくか?」

「そうだね。俺持っていくよ」


海音は友達別れ、交番に向かった。そんな海音を物陰から見つめる少年が一人いた。少年は海音が友達と別れたのを見ると海音に近づいてきた。


「あの、その本...」

「え?あぁ、これですか?さっきそこの曲がり角で拾ったんですよ」

「そうだったんですね。よかった、探していたんですよ」

「あ、貴方の本だったんですね。今交番に持っていこうとしてたんですよ」


海音は持ち主が見つかったことを喜んだ。


「はい、お返ししますね」

「ありがとうございます」


海音が少年に本を渡そうと、手を伸ばした。それに応じて少年も手を伸ばす。そんな二人の間を一本の光線が横切った。突然の出来事に海音は本から手を放してしまった。それを奪い取るかのように少年は本を取ると、少年は首からかけていたネックレスに何か話しかけた。するとネックレスは剣へと変わった。


「破壊の一閃、シルヴァ!」

「貴様、裏切る気か?」

「俺はこんなことのためにこの書を探してたんじゃない!」

「そうか、ウイルスコード」


少年の腕についている腕輪が怪しく光った。すると少年は苦しみだした。まるで何かに体を支配されていくようなそんな苦しみ方だった。見ている海音まで胸が苦しくなる。


「は、早く...この宵闇の書を...」

「え?」

「逃げて...はやく!」


海音は少年の言うがままに本を受け取り、逃げ出した。それを見た襲撃者は二人の手下に海音を追わせた。


「何なんだよ!?」

「見つけたぞ!」

「え?」


海音が振り向くと後ろにさっきの男と一緒にいた奴らが迫ってきていた。結構な距離、離れていたのでまさか追いつくとは思っていなかった。しかしそれより驚いたのはそいつらが空を飛んでいることだ。そんなことあり得るわけがない。だが何度見ても空を飛んでいる。もう信じるしかなかった。


「あぁ!もう!いったいどうなっているんだよ!?」

「俺を開け!」

「は?」

「俺だ!お前が握っている本だ」


本が喋った...もう何が起きても不思議には思わないつもりだったが、それは無理だった。空飛ぶ人間に喋る本...驚くことしか起きていない。しかしさっき分かったようにこれは現実だ。海音に残された選択肢はこの本を開くこと。ただそれだけだ。


「えぇい!こうなったやってみるしかない!」


海音は本を開いた。すると本のページが一枚一枚バラバラになって飛び出していった。何枚も何枚もそんなにページなかったはずなのに。それとは別に海音の横に一枚だけ紫色に光って浮いているページがあった。そっと触れてみると光は一層強くなり、辺りを包んだ。


「何だこれは!?」

「宵闇の書のガーディアン、クロンデルス見参!」

「まさか、宵闇の書を起動したのか!?」


起動?ガーディアン?宵闇の書?海音には何を言っているのかさっぱりだった。動揺している海音を横目にクロンデルスは二人の襲撃者を薙ぎ払った。


「お怪我はありませんか?主」

「ないけど...君は?」

「はッ、私はクロンデルス、宵闇の書のガーディアンとして主様とこの書をお守りする騎士にございます」


騎士という聞きなれない発言に、海音は困惑を隠しきれなかった。というかほとんど頭に入ってこなかった。これから先何が起こるか分かったもんではない。早く何とかして解決しなければ...という思いで頭の中はいっぱいだった。

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