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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
15/16

深淵の書

宵闇の書編これにて終わりです。

「お前の本体だ」

「そんな世迷い言、誰が信じるものか」

「だから、知ってるんだろ?覚えてるんだろ?自分に嘘をつくなよ。それともあれか?宵闇の書の本書である、深淵の書を見れば思い出すか?」

「私は私だ、お前が誰であれ、この書が何であれ、その個は変わらない」


クロンデルスにはもう何が何だかはっきりとわかっている。しかし今はこの状況を何とかするのが最優先だ。だが今のクロンデルスにはこのフォルティスを止めるだけの力はない、さっきまでの戦闘を抜きにしても実力差がありすぎる。


「そうだな、お前はお前だ、でもお前の体はお前のじゃない。オレのだ」

「どういう事だ?」

「お前が今持っている肉体は、本来はオレの肉体になるはずだった。しかし何の手違いか、宵闇の書のコピーの際に誤ってお前が受肉してしまった。だからオレには肉体がないんだ、だからこうして、お前の主の肉体を借りている」

「それだけが目的か?本当に借りているだけか?」


借りているだけなら用が済めば返してもらえるだろうが、もしそれ以外に目的があるのだとしたら簡単に返される訳がない。用があるのは誰でもないクロンデルスであろう。そうでなければクロンデルスの前に姿を現すわけがない。


「お前はアホか?お前の弱い主の体などお前に会うための借り物でしかない。さぁ、始めようか、オレがオレに戻るための改変を!!!」

「何をするつもりだ!?」


虚勢でしかない、今のクロンデルスに戦ったとて勝てるはずがない。しかし、今の状況下海音を助けられるのはクロンデルスしかいない。武器を取ったがその手は震えていた、目の前にいるのは自分の本体、クロンデルスはフォルティスをもとに作られたコピー。何より最悪なのは主の肉体を取られているため攻撃ができない。魔導書を使いクロンデルス本来の力を引き出そうにも魔導書すらフォルティスの手の内にある。


「やめろよ、虚勢は見苦しい。お前はオレに攻撃できない。魔導書を解放しようにもその魔導書はオレが持っている、お前に勝ち目なんてないんだよ。クロンデルス・ダークウィル」


全て言われた。そんなことは分かってる。でも、逃げない逃げたくない、何故なら

「だとしても!俺は宵闇の書のガーディアン!宵闇の書の主である海音様を守り、導くもの!だから俺は...」


クロンデルスの言葉は途中で切られた。フォルティスの手に握られた宵闇の書によって。


「うるさい...だいたい、オレはお前と戦うつもりなんてないんだ。もとより目的はお前の肉体だからな」

「貴様...!」

「宵闇の書、メインシステムにアクセス」


宵闇の書がひとりでに開き眩い光を放つ。そして


「メインシステムへのアクセスを確認。個体名、白波海音。アクセスを許可します」

「それが目的か!?」

「ガーディアンシステムにアクセス」

「ガーディアンシステムが起動中です。アクセスするには一度ガーディアンシステムをシャットダウンする必要があります。シャットダウンしますか?」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「シャットダウンを実行。さようなら、クロンデルス・ダークウィル」


クロンデルスは音もなく消えた。


「ガーディアンシステムにアクセス、行動を選択してください」

「ガーディアンの肉体コードを表示」

「ガーディアン機体コード:498-0003」

「ガーディアン機体コードの削除を実行」

「ガーディアン機体コードの削除を実行します。よろしいですか?」

「は...いいえ」

「削除を中止します」

「おや、この体も無駄な抵抗が好きですね、でも無駄ですよ。削除を実行。コード498-0003」

「削除を実行します・・・・・・・・・・・・削除が完了しました」

「ガーディアン個体名クロンデルス・ダークウィルを検索」

「検索結果、ガーディアン名クロンデルス・ダークウィル記憶正常、機体登録なし」

「よし!これで終わり。あとは...この体を返さないとな。深淵の闇を解放!」


フォルティスが海音にまとわりついていた闇のオーラをすべて解放した。そしてその闇は一冊の本へと形を変えた。その姿は宵闇の書と全く同じただ表紙には深淵の書と書かれていた。


「深淵の書、メインシステムに帰還」

「帰還コードを入力してください」

「コード、398-0001」

「コードを認証しました。おかえりなさい、フォルティス・ダークウィル」

「ガーディアンシステムに潜入、機体コードを登録:498-0003」

「機体コードを登録しました。システムの受肉を開始します」


海音の体は解放された。宵闇の書も無事だ。しかし、大きなものを一つ失った。ガーディアン、クロンデルス・ダークウィル。失ったものの代わり現れたのは、強大な魔導書、深淵の書。この先この魔導書がどう海音に影響するのか、今はまだ知らなかった。



「話が違うじゃないか、アギト」

「手違いはお互い様だろ?こっちだって副局長を失ったんだ」

「多少の犠牲は問わないって言ったのはそっちだろ?」

「多少ね。でもこれは多少じゃない、地球支部は総局から目を付けられる。僕からしたら大きな障害だ」


話しているのは地球支部局長のアギト・ネイルダーと今回の事件の主犯グロリアス・ネオン


「それは悪かったな。でも目的は果てせたんだろ?」

「あぁ、果たせた」

「なら俺らの契約は終了だ。蒼空を返せ」

「それはできないな、さっきも言ったけどこっちは致命傷を負ったも同然な状況なんだ、人手が必要なんだ」

「契約違反はいけないなぁ」


グロリアス・ネオンは武器を取り出した。しかしアギトは全く動じない


「覚悟はできてるんだね?」

「僕の目は生まれつき特殊でね。人を数字で解読できるんだ。魔法羅列でね」

「それは遺言かい?」

「いいや、君への手向けさ、おいで白銀の書」

「なッ!?貴様も魔導書契約者だったのか!?」

「この魔導書というシステムは便利だよね、魔法羅列が分かれば人ですら魔法として記せる」

「まさか!?」

「君は強い魔法になりそうだ」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ」


アギトは白銀の書と呼ばれた本にペンでなにかを書いた。そのとたんグロリアス・ネオンは青白い光とともにアギトの持つ本にすいこまれていった。


「さっきも聞いたなその断末魔」

「おや?クロンデルス君?...じゃないね?」

「クロンデルスは肉体を失って今は動けない。オレはフォルティス・ダークウィル」

「深淵の書のガーディアンか。僕はアギト・ネイルダー。始まり魔道書、白銀の書のマスターだ。よろしくね」

「それで?何の用だ?」

「深淵の書を手の届くところに置いておきたくね。契約させてよ深淵の書と」

「お前はすでに一冊契約しているだろ?」

「問題ないよ。さぁ時間がない始めよう」

「待て、契約させられな...」

「もう遅い」


なんとアギトは魔導書の意志とは関係なしに契約をしてしまった。本来はあり得ないことだ、しかし、アギトは実行した。そして成功させた。これはどういうことなのか。誰も分からない


「貴様!何をした!?」

「契約した」

「そうじゃない!」

「うるさいな、今は用はないから自由にこの世界を回っておいで、時が来たら呼ぶから」

「何をしたのかを聞いている!」

「マスター命令、実行コード000-0000」

「承知しました。マスター」

「よろしい!行っておいで、フォルティス君」


フォルティスは深淵の書を抱いて、その場をとびっ立った。その様子はまるで洗脳されているかのようだった。



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