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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
13/16

「不思議だね。さっきまで不安と恐怖で潰れそうだったのに、蒼空がいるだけですごく落ち着く」

「なにそれw」

「まるで俺が蒼空に恋してるみたいだね。吊り橋効果かな?」

「ふふっ、変なの」


海音は蒼空がいるだけでなぜか安心することができた。海音は蒼空にどこか甘えているようにも見えた。親友、その一言ではかたずけられないかもしれない。それは海音に苦しい過去があるから。その過去に蒼空と似た境遇の人がいたから、そしてその人を救えなかったから。今度は救いたい、守りたいその意思が何よりも先に蒼空に向いた、それは時に海斗を陥れるかもしれない諸刃の剣。


「おやおやぁ、子ネズミと使えない木偶人形がいますよぉ」

「グロリアス...ネオン...!!」

「それ以上近づかないでください。これがどうなっても?」

「暁さん!!」


グロリアス・ネオンの大きな手は意識を失った暁を鷲掴みにしていた。


「大人しく魔導書と蒼空をこちらに渡してください。断るなら...」

「(どうすれば...渡しても暁さんが無事に帰ってくる保証はない、でも渡さなければ...)」

「そこまでだ、グロリアス・ネオン」

「お前は?」

「魔導士協会地球支部、支部副局長ローラン・スコルだ。貴様を魔道法違反で現行犯逮捕する」

「副局長!」

「アギトから連絡を受け緊急移動魔法で帰還した。よく頑張ったな」


ローラン・スコル、魔導士協会地球支部においてアギトの次にえらい存在であり、武力で右に出るものはいないといわれている実力を持つ。しかし相手は世界指名手配犯、油断は絶対にできない。グロリアス・ネオンが魔法を使う以上、武力は絶対的に不利になる。


「副局長が出てくるなんて聞いてないけどな。まあいい」

「いざッ参る!」

「ルクテウス」


攻撃をするわけでもなく、グロリアス・ネオンは逃げた。最悪なことは暁と一緒に逃げられたこと。解放されることも手放すことすらしなかった。人質がいる以上無理に追い詰めるのはかえってこちらが不利になる。グロリアス・ネオンは蒼空を再び支配下に置くことを目的としているようだった。つまりは...


「君たちはここから出るんだ。後は私が何とかする」

「いえ、俺たちも行きます。行かせてください!」

「君たちを守りながら戦うことはできない。自分の身は自分で守るんだよ。できるかい?」

「はい/もちろんです」


二人の思いは一緒だった、暁のことを助けたい。少しの間ではあったが海音も蒼空も地球支部にいた間は暁に世話されっぱなしだった。そんな暁がピンチなら今度は自分たちが助けになりたい。高校生の小さな正義感が二人の背中を押している。年長者のローランはその気持ちをすくってやることにした


「なら、私についてきなさい」

「グロリアス・ネオンの行き先に心当たりがあるんですか?」

「地球支部で身を隠せる場所は一つしかないからね」


ローランは指令室のモニター下の床に小さなカギを挿した。”カチャ”という音と同時にモニターが二つに割れその先に扉が見えた。


「まさか、こんなところに隠し部屋が...」

「上級者、ここではアギトか私しか入れない部屋だ。知っている者も私たち以外にはいない」

「でもなぜそこにグロリアス・ネオンが?」

「それは分からない。開けるよ気を付けて」


扉が開くと同時に壁についていたろうそくに音もなくすべて灯がともった。一本の長い廊下の先には暗黒が広がっていた。


「この先は大きな図書室の様になっているんだ。無数の魔導書のレプリカが保存されている」

「レプリカ?つまり魔力はないんですか?」

「あぁ、でも魔力を入れることはできる。つまり...」


ローランの言葉はそこで途切れた。


「副局長!?」

「まさか、この私が...フッ...油断しすぎたか...」

「副局長!喋らないで、止血ができない。回復魔法も追いつかない...なんで!?」

「止まらないさ...あいつの暗器は刺さったところから内側に針が伸びる...その針で...体を貫くんだ...」

「あいつって...まさか!?」


前にあるのは長い廊下、その先は暗くて何も見えない。声も気配も感じない。この状況で副局長の一瞬のスキを突くことができるのは、アサシンと


「忍者...でもここには該当する人はいない」

「月島家は日本に古くから伝わる忍者一族の末裔」

「その声は...グロリアス・ネオン!どこにいる!?」

「ここだよ?」


グロリアス・ネオンは海音たちの後ろから姿を現した。


「お前が...お前が暁さんを...」

「だって、君が私の蒼空を返してくれないから」

「ふざけるなッ!」

「おやおや、これは困ったね」


海音の周りには黒い魔力があふれていた。その右手には宵闇の書が握られている。宵闇の書の魔力が海音を取り込み暴走を始めようとしている。


「海音!」

「コ・・・コロ・・・ス、ミンナ・・・ケシ・・・サル」

「う~ん、これはまずいね。私は逃げるとするよ」


海音の暴走はクロンデルスも気づいていた。


「海音様...」

「行ってあげないの?」

「貴様をほおっておく訳にはいかない」

「どのみち僕なんてすぐ捕まるよ。総局が動くだろうからさ」


クロンデルスは結界を解除し地球支部の入り口へと全速で飛んで行った。


「海音様...」

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