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Magic of dusk  作者: 蒼月 ルイ
宵闇の書編
11/16

戦いは突然

戦いは突然始まった。蒼空が魔導士協会地球支部に保護されてから約半年たった時だった。魔導士協会地球支部のメインコンピューターのハッキングと同時に魔法攻撃及びディバインによる物理的攻撃が四方八方から開始された。この時、局長であるアギト・ネルダーは魔導士協会総本局に定期報告のため不在。また副局長は地球外に魔道調査のため不在だった。つまり残っているのは総局とはつながりのない地域担当者のみであった。


「ウソッ!?メインコンピューターが全部ハッキングされた!?」

「局長及び副長との通信が一切できません!」

「支部上空に魔道反応あり!攻撃を開始しています!」

「上官不在のため地域担当長、月島暁が指揮をとります」


今の地球支部で指揮を執ることができるのは暁以外に居ない。しかし暁は地域担当の長であり、戦闘員をどうこうすることなどできない。このままでは支部が崩壊するのは時間の問題だ。


「臨時戦闘指揮官白波海音から地球支部へ、間もなく到着します。到着まで10分。参戦の許可を」

「こちら地球支部、参戦を許可します」

「許可を受領しました。到着後すぐ戦闘を開始します」


この半年で、海音は地球支部と総局の両方から推薦され臨時戦闘指揮官に任命された。しかしその裏には魔導書の保護という目的があった。海音の持つ宵闇の書は3つの指に入るほどの強さを持つ魔導書の一つだ。

そんな魔導書と契約できた海音を放っておけばどんな組織に渡ってしまうかわからない。だからこそ総局と支部の両方で管理できるようにしておかなければならない。海音の年齢では協会に加入するのは不可能なため、非所属扱いである、臨時戦闘指揮官はそれに最適だった。


「ディバイン、起動!ブレイン・ロード」

「おやおや、君は確か海音君だったね」

「グロリアス...ネオン!?」

「僕の大切な息子は一緒じゃないのかい?」

「ダイブ・ザンバー!!」

「いきなり失礼だね」


海音の放った一撃は片手であっさりと止められた。グロリアス・ネオンは世界指名手配犯であり、協会でも知らない者はいないと言われるほどの犯罪者である。つまりは協会が逮捕できない程の実力を持っている。そんな人間にまだ10代である海音が敵うはずがない。


「僕が欲しいのは君が持つ宵闇の書なんだ。大人しく渡してくれれば、支部には手出しをしない。約束しよう」

「分かった。今ここにいる全員の武装と攻撃を辞めさせてくれ。こちらも攻撃可能範囲から局員を排除する」

「いいだろう。全員に次ぐ、直ちに攻撃を辞め武装を解除しろ」

「支部に連絡、状況報告」

「攻撃の停止、ハッキングの解除、武装の解除を確認」


グロリアス・ネオンは海音の言った通り、すべての攻撃を辞めた。あとは海音が宵闇の書を受け渡すのみだ。


「おいで、宵闇の書」

「賢明な判断だ。さぁ、こちらへ」

「ごめんな。守れないや」

「フッ...」

「海音様が素直に従うと思うか?」

「まさか、最初から思っていないさ」


グロリアス・ネオンの背後に剣を突き立てたのはクロンデルスだった。ここに到着する前から誰がいて何を狙っているのかは分かっていた。すべてはクロンデルスの考えていた通りだった。だからこそ蒼空を連れてこなかったのだ。


「全員攻撃開始!」

「好き勝手にさせるな!こっちも始めるぞ!!」


海音、グロリアス・ネオンの声と同時に支部の周りは魔法と魔法がぶつかり合う光に包まれた。この戦いで支部が守れる保証などないが、何かを守るために戦うことは避けられないことなのだと知った。ならば、傲慢かもしれないが自分の正義を貫き通していきたい。それが今の海音にある唯一の選択肢だから。


「貴様が、白波海音か...」

「新手か!?」

「俺はクルウ・ベル。ネオン様の右腕だ。お前の魔導書、俺が奪い取る」

「ブレイン・ロード...いくよ。クロード、展開!」


海音の手にはディバイン武器である、クロードがしっかりと握られていた。今から、魔導士協会地球支部と、蒼空を守る戦いが始まる。何があっても負けない、諦めない。この二つの覚悟が海音の胸にやっどった時、クロードを握る力はより強くなった。


「海音様、こ奴は私が。海音様はグロリアス・ネオンを」

「でも...」

「今の私にできることは、海音様の邪魔をするものを排除すること。それだけです」

「分かった。何かあったら、すぐに呼んで」


クロンデルスは黙ってうなずき、ベルのほうを向いた。ベルは余裕の表情でこちらを見ている。まるで勝つことが確定しているかの表情にクロンデルスは怒りに似た感情を抱いた。


「あんな奴に心配されるなんて、ガーディアンも大変だな」

「海音様は、貴様にあんな奴呼ばわりされるような方ではない」

「そうだろうな、あの宵闇の書と契約できたような奴だからな。だが...圧倒的に力が足りない」

「そうかな?」


言うが早いか、抜くが早いか。クロンデルスは目にもとまらぬ速さでベルの目前に立った。もちろんベルは武器すら抜いていない。全くの無防備な状態だった。


「自我を失え!囚われの闇(ダークネス・プリズン)

「は?...なにッ!?」


ベルの視界はクロンデルスが放った紫色の光で染まり、意識を奪った。精神に直接入り込む、支配型のバインド魔法の一つだ。これを食らうと、数時間から数年は自我がなくなってしまう()()()()()


「海音様は...」

「他人の心配なんてしてる場合かよ!」

「なにッ!?」


クロンデルスが振り向いた時すでにベルの攻撃は、放たれた直後だった。短距離型高圧光線魔法、冥界の息吹、デス・ブレス。名にはふさわしくない程の威力を持っている。クロンデルスは地面にめり込んだ。


「勝ったつもりでいるからだ!!」

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