超ショートショート「くまのみ書店の存亡」
地域密着型の古書店、「くまのみ書店」は存亡の危機に陥っていた。客足が殆ど途絶えているのだ。古書店の常連の一人として、何とかしたい念に囚われるが、何ともしようが無いのが現実である。古書店の主人ももうご老体だし、跡継ぎも居ないようだから、主人自身も続ける気がないのかもしれない。
毎回古書店を訪れる度に、今日で最後かもしれないから主人に一言でも言おうと考えるのだが、なかなか切り出せない。そもそもあまり世間話すらしたことがないのに、突然そんなことを言うのもおかしいような気がしてしまうのだ。そもそも僕は人見知りが酷いからこそ、寡黙な主人の古書店に通えていたのかもしれない。そんなことを考えながら本の会計を済ませた。
一ヶ月程仕事が忙しく古書店に通えずにいた。やっと時間が開いて古書店に行ったが、遂にシャッターが降りていた。結局一言も言えなかっな。僕はそのまま家に帰っりすぐにベッドに入った。昼間のベッドの中で、自己嫌悪が体に降りてくるのを感じていた。僕は一度でも他人のなにかに関われたことがあっただろうか?僕はいつも孤独だ。そして大体それはすべて僕のせいだ…。
毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で3日目の投稿です。