まさかさまか
「ちょっと、どうしたの、ところ?」
「うん、今朝、学校の門でちょっとケガしちゃって、つよ...みたらい君に保健室まで連れて行ってもらったんだ。」
「え~、なんでケガしたの?」
1時間目の授業が終わるなり冴子ときょんちゃんは私に一目散で話しかけてきた。
「うん、松本先輩にぶつかっちゃってその勢いで壁に膝をぶつけて、そこに偶然、みたらい君が通りかかってね。」
「へぇ~~。」
「...実はね、助けてもらったのこれで2度目なんだ。入学式の時にさ、上履きを落としちゃってね。拾ってくれたのが、佐藤君。職員室へ行ったら落とし物として届いてたの。あ、あれ?なんで苗字が変わってるの?」
私は佐藤剛くんの苗字が変わっていることに今、気づいた。
私の中では剛くん、剛くんだったから苗字は平凡(失礼だが)だったし、さほど印象になかった。
「んー、なんか家庭の事情らしいよ。」
きょんちゃんはそう言った。
「親でも離婚したのかな。」
「さあね、1週間くらい前らしいよ~。こないだ学食へ行く階段下でなんか『便所へGO!』とか言われてからかわれてたよ。」
「え~~;」
「とこちゃん、もし佐藤くん、もとい御手洗くんと結婚したら『御手洗処』になっちゃうね(汗」
きょんちゃんは軽々しくそう言い放った。
「...」
「....え?ところ、まさか!?」
冴子ときょんちゃんが私の顔をのぞき込む。
「え?あ、アハハ。まさかさまか、お友達になれたらなあって思っただけだよ。私、友達の男の子いないし。」
「ところ、噛んでるよ。」
「あ、アハハ...」
変な名前か。
過去のイヤな思い出がよみがえる。
いや、それとこれとは話は別。
け、結婚とか今から考えられないし。
とりあえずお礼のメールは絶対しなくちゃ。
私は複雑な心境でベッドにてメールの文面を考えつつもなかなかまとまらずそのうち寝てしまっていた。
次の日、なぜかいつものバスに冴子は乗っていなかった。
おもいつきの駄文ですが、読んでくれて本当にありがとうございます。