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朝の家族会議

私の人生で初めて彼氏ができた。

とても嬉しい。

世界が違って見える。

ふわふわ、ふわふわ。

脚が地に着かない感じ。


朝の食卓でボーッしていると母が心配して話しかけてきた。


「とこちゃん、どうしたの?」

「ん?なんでもないよ。」


「昨日、誰か来てたの?」

「あ、うん。」


「...男の人?」

「うん。」


「まあ。」

「...ママ、私、彼氏が出来ました!」


「あらあら、良かったわね。」

「うん!」


母は視線を落とすとお味噌汁を一口飲んだ。

そして涙ぐんでいた。


「本当に良かった...」

「ママ?」


母は私以上に喜んでくれた。


「そうか、とこちゃんにも彼氏ができたか。どんな人なんだい?」


父が珍しく口を挟んできた。


「別に...普通の人だよ。」

「パパに会わせなさい。」


「え~~~~。」

「あらあら、うふふ。」

「とこちゃんが選んだ男なら間違いはないと思うがね。」


「まあ...彼に一応、聞いてみるけど。」

「彼女の父親に会うのが気乗りしないってことはそこまでの覚悟を持ってないということだからね。彼の本気度がわかる。」


「え~~~。本気度なんかわかりたくないんだけど?」

「大事な娘を遊びでつきあわせるわけにはいかん。」


「彼は遊びで女の子とつきあうような人ではありません。すごく真面目にそういうところ考えてたよ。...自分中心にだけど。」

「なに?自分中心にだと?」


「でも、それは過去の話で今は人の気持ちを考えるようになってるんじゃないかな。」

「うむ。」


「それにもともとすっごく他人に親切で優しいよ?」

「うーむ、ちょっとわからないんだが、自分中心なのに他人に親切で優しかったのかい?」


「あ、あはは、まあ、ちょっと変わってる人なのかも。」

「普通の人ではないでないか!」


「...あははは。」


父にうまく説明できず面倒くさくなったので私は焼きサケを食べることにした。


「土曜か日曜日にウチにつれてきなさい。」

「わかったよ、もう。」


久しぶりに父とたくさん会話したような気がする。




「ということが今朝、あったんだ。」

「お父さんはキミのことをすごく心配してるんだなあ。」


今日はお昼を裏庭で御手洗くんと一緒に食べている。


「...本当の父ではないけどね。」

「え!?キミのところもそうなのかい?」


「うん。...本当のお父さんは私が小学生の時にがんで死んだの。」

「そうだったのか。」


「もう、お父さんの顔もぱっと思い出すこともできないよ。」

「...まあ、写真を見るのも今のお父さんに失礼だと思うから中々家で見るのは難しいのかな。」


「あ、でも、そういうとこは気にしないでいいから好きにしなさいって言ってた。」

「はー、優しいお父さんなんだね。」


「うん、ということでどうする?」

「ん?何が?」


「土曜か日曜、ウチに来る?」

「ああ、そういうふうにお父さんに言われちゃ行かないわけにはいかないだろうね。」


「...おおげさすぎない?」

「そうだけど、お父さんの気持ちもわかるよ。」


「...」

「手土産を持っていこうと思うんだけど御燭寺家では何が喜ばれそうかな?」

「え!いいよそんなの!」


「いやいや手ぶらで行くわけにはいかないよ。」

「そんなものなの?んー、何がいいんだろう...ケーキとかでいいんじゃない?お父さんもケーキ食べるし。」


「ほぅ、そうなんだ。じゃあ、ケーキを買っていこう。」

「あはは。」


そう言うとパタンと弁当の蓋を御手洗くんは閉じた。


「今日も、弁当おいしかったよ。」

「本当?ありがと。」


「いやいや、お礼を言うのはこっちだから。」

「あはは。」


「明日は一緒に学食に行かない?代金は俺が払う。」

「うん!」


やばい。

超順調なんですけど。

幸せすぎて怖いよ。


「ところ、どうだった?」

「ん?幸せすぎて怖いです。」


教室に戻ってきた私に冴子は話しかけてきた。


「あはは、良かったねー。」


きょんちゃんは屈託のない笑顔でそう言った。


「ごめんね。しばらくはお昼、御手洗くんと一緒になりそう。」

「いいよ、気にすんなって。」

「そうだよー。」


「冴子、きょんちゃん、ありがとう。...あれ?マキナ様は?」


もうすぐ午後の授業が始まるというのに私の後ろの席のマキナ様はまだ戻っていなかった。

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