秒読み態勢
「タラッタランラン、タラッタランラン、タラッタタラタララ~ン♪」
「な、なんじゃ、その変な踊りは?」
「御手洗くんから昨日の夜、メールが来たの。見て。」
私のスマフォを冴子に見せた。
『御燭寺さん、弁当ありがとう。
お世辞抜きで本当においしかった。
それと冷たい態度をとってしまいごめんなさい。
確かに御燭寺さんの言うようにそうとられてもおかしくないよね。
ただ、御燭寺さんだから俺もついムキになって怒ってしまったんだと思う。
他の誰かに言われても気にしなかったと思うんだ。
言い訳にしかならないけど本当にごめんなさい。
あらためて俺のほうからお詫びがしたい。
俺は弁当とか作れないから学食でなんでも好きなものを奢らせてください。
明日、食堂で待っています。』
「なんだ、このマジレス。キザな文章が一切入ってねえ!」
「ん?マジレス?」
「あいつが女にメール送る時は『たとえば道端に咲いた一輪の花。それをめでる気持ち以上にキミのことを想ってしまう。』
とかクソつまんねえ、メール送るからね。」
「へえー、それはそれで貰ってみたいかも。」
「...アホか、昔、友達に見せてもらったことがある。」
「っということなので冴子。今日はお昼、私は食堂行きますので。」
「...弁当大作戦が効いたってことなのか?」
「さあ、わからないけど、どうなんだろ?」
「...ところ!あたしにも料理教えてくれ!」
「え!?」
「市ケ瀬のやつさ、あたしの作った弁当食べる時、しかめっつらして食べてるんだよね。」
「...ぷはっ、あ、ごめん!」
「くそがっ!」
「ごめんごめんごめん!...教えてもいいけど、...高いよ?」
「なにぃ?親友から金取るってか?こいつめ~~~」
「あはは、うそうそ、わーーイタイイタイイタイ!..御燭寺~バースト!」
「うわっ!」
冴子のヘッドロックを解除し私は右手を上げてクルクル回りだす。
「ゴールデン!バレリーナ!」
「...なんじゃそりゃ。」
『あーあー...他のお客さんにご迷惑になりますので社内で踊らないでください!!』
「ご、ごめんなさい!!」
バスの運転手さんに怒られてしまった...
待ってましたの昼休み。
あ~なんかドキドキする。
平常心平常心。
「それでは御燭寺処、お食事処に行ってまいります!」
「ブハッ、自分で言ってどうする!」
「とこちゃん、ガンバ!」
「ところちゃん、ご武運をお祈り申し上げますわ。」
「あ、マキナ様、なんかごめんね。」
「え?全然、気にしてませんわwわたくしも今、とても充実してますのよ。おーっほっほっほ。」
「そういえば北条、腹ひっこんだな。」
「ええ、びっくりいたしましたか?」
「なんだよ、やっぱり食いすぎだったんじゃねえか!」
「...」
「ブッヒャッヒャ!」
「冴子笑いすぎ!」
「あ~ごめん...腹いてえ。」
まあ、マキナ様の場合はね、そういうことは中々難しいと思うけど...
また、あらぬ想像をしてしまう前に私は食堂に行くことにした。
「御燭寺さん!ここだよ!」
食堂に着くともう御手洗くんは席をキープして私を待っていてくれた。
うわっ、なんか緊張してきた。
「こ、こんにちは。」
「こんにちは、何度も言うけどこないだは弁当ありがとう。ほんとおいしかった、すごかった!」
「そ、そおかな。」
「うん、もう食べてて涙でてきた!」
「そ、そんなに!」
「うん、マジです。」
「そっかあ、良かった。」
「で、なんにする?」
「あ、なんでもいいよ?」
「あはは、そういうのが一番困るな。それで何か適当なもの持ってきたら不満な顔するんでしょ?」
「し、しないよ、そんなこと!」
「あっはっは。」
なんだか御手洗くん完全に機嫌直ったみたい。
いつもの御手洗くんだ。
本当に良かった...
「じゃあさ、ここはスペシャル定食かな?」
スペシャル定食とは日替わりのA定食にヤキソバがついている。
「え~そんなに食べれないよ。」
「でも、ヤキソバ食べてみたいでしょ?」
うちの学校のヤキソバは絶品だという噂だ。
しかしそのヤキソバを食べるにはスペシャル定食を頼まないと食べることができない!
単品でヤキソバは注文できないのだ!
悪徳商法ばんざい!といったところなのか。
本当にここは学食なのでしょうか?
「...食べてみたいかも。」
「よし!じゃあ、決まり!残ったら俺が食べるよ。」
「え?そんな残飯処理みたいなの、かえって悪いよ。」
「気にしない気にしない。じゃあ、頼んでくるね。」
しばらくして御手洗くんはS定食を2人分持ってきた。
私はお茶を一口飲んだ後、早速ヤキソバを食べてみた。
「どおかな?」
「...おいしい、おいしいよ、御手洗くん。」
あれ?
なんだか涙が出てきた。
「え?御燭寺さん?」
ざわっ
「なんだ?なんだ?」
「御手洗が女の子泣かしてるぞ!」
勝手に周りがざわめいている。
「ち、ちがっ!...わ、私はっ!嬉しくて!泣いているんですっ!」
私は思わず立ち上がってそう叫んでいた。




