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ほわわ~

もう我慢の限界だ。


「ねえ!いつまでもイチャついてないで!ネヅ!さっさと自分の教室へ戻りなさいよ!」


私はまたまた朝っぱらからマキナ様の席でいちゃついている2人に怒鳴った。


マキナ様は目を見開いてビックリした。


「...ごめんなさいね。...ツヨシ様、またあとで。」

「...うぃ。」


私に怒鳴られた2人はしょぼんとし、根津川くんはすごすごと自分の教室へ戻っていった。


「おい、御燭寺が怒鳴ってるぞ。」

「珍しいな。」

「まあ、無理もないよ。あの二人やりすぎだしね。」


周囲の注目を浴びてヒソヒソ話が聞こえてきた。

そんな周囲をキッと見まわし私は自分の席に座った。

最近、感情を抑えられず思わず言葉を発してしまう場合が多い。


お昼休み。


私を避けるようにそそくさとマキナ様は教室を出て行った。

かつて相棒とまで言われた関係の面影はどこにもない。

所詮、彼氏ができると女の友情なんてこんなものだ。

...元男だけど。

だけど、私の親友たちは違う。

彼氏がいても私とお昼を食べてくれる。

とても、ありがたい存在だ。


「わりぃ、ところ、今日、市ケ瀬にさ弁当作ってきたから市ケ瀬と食うわ。」

「う、うん、気にしないで。いってらっしゃい。」


「あ、とこちゃん、ごめ~~~ん。今日さ、GWの予定を相談するからカレシと食べるね。」

「あ、そうなんだ。いいなあ。いってらっしゃい。」


「うん!じゃあね!」

「うん、楽しんできて!」


「...。」


さあ、ボッチメシ行きますか!

...教室のど真ん中でボッチメシは目立つので外で食べようかな。


私はふらふらとどこで食べようか迷いながら教室を出た。

中庭はマキナ様カップルがいるだろうし、やっぱ裏庭かな。


裏庭の陽が当たらない冷たいベンチに腰掛けると私は弁当を広げた。

今日は、母が作ってくれた何かわからない魚のソテーをまず口にした。

咀嚼しながら顔を上げると正面にある池が目に入った。

前にあそこの池にマキナ様の上履きが落ちちゃったんだよね。

それで御手洗くんが新品の上履きを買ってあげて...

そんな昔の出来事を思い浮かべていると御手洗くんが池のそばを走って通り抜けていこうとした。


「あ!御手洗くん!」


...本当に以前は自分から他の人に、ましてや男の人に声をかけることなどできなかったのにここ最近の自分の変わりように戸惑いながらも私は手をあげて御手洗くんを呼び止めた。


「お!御燭寺さん、こんにちは。」

「こんにちは。」


「ん?1人でお昼ご飯かい?珍しいね?」

「うん、冴子も、きょんちゃんも今日は彼氏とね...。」


「あ、隣座っても大丈夫?」

「うん!どうぞどうぞ。」


「...北条さんはどうしてる?」

「ふごふご仮...根津川くんと一緒だと思うよ。」


「そうか、良かった。」

「なに、まだ気にしてるの?」


「まあね、でももう心配しなくてよさそうかな?」

「ラブラブだから、いいんじゃない?」


「そうだね。」

「ところで何してたの?」


「クラスの奴でスマフォを無くしたって奴がいてね、探してたんだ。」

「ふはっ、相変わらずだね。...無くした人って女の子?」


「いや?男だけど?」

「へー。」


なんだろう?女の子じゃないとわかっただけで嬉しい気持ちがこみ上げてきた。


「あ、そうだ。御手洗くんは高校卒業したらどうするの?」

「う~~~ん、なんも決めてない。御燭寺さんは?」


「私も~~。」

「あははは。」


「なんかさ、いつまでも学生時代が続くのかって思ってたけどいつかは就職したりしなくちゃいけないんだよね。」

「そうだねー。」


「実感がわかないよ。まあ、切羽詰まってみたら実感するのだろうけど。」

「...うん。そうだ御手洗くん、将来は『人助けマン』になれば?」


「ははは、そんな職業あるのかい?」

「なんか、便利屋さんっていうのは聞いたことがあるけど。」


「...まあ、確かに人助けして感謝された笑顔を見せてくれたらすごく俺は嬉しいから向いてるっていえば向いてるのかな?」

「あはは。天職だと思うよ。あれ?そういえば、御手洗くん昼ご飯は?」


「あ、食堂行こうかと思ったけどもう、時間ないし今日は食べなくてもいいかな。」

「え?そんなの体がもたないよ!...良かったら食べる?」


「え?いいの!?」

「うん、最近、ちょっと食欲ないし多かったら残そうかなと思ってたから。...この辺は口つけてないから大丈夫だよ。」


私はハンバーグとからあげとひじきとキャベツと食べかけの反対側の白飯を弁当箱の裏ブタによそった。


「あ、おはしはこれね。」


予備の割りばしを弁当箱を入れている袋から取り出して御手洗くんに渡した。


「じゃあ、遠慮なく...パクモグ...うまい!」

「ほんと?良かった。あ、そのハンバーグは私が仕込んだんだ!」


「おお!すごいね、御燭寺さん。料理得意なんだね。」

「えへへ。」


キーンコーン...


「あ!やべっ予鈴だ!御燭寺さん、俺、次の授業で使う資料を用意しなくちゃいけないから先に行くね。」

「あ、う、うん。」


「弁当、おいしかった。本当、ありがとう!じゃあ、また!」

「うん!またね!」


私は御手洗くんの走っていく後姿を見えなくなるまで見送った。

最近のイライラした気持ちがスーッと抜けていき穏やかな気持ちになっているのを感じていた。


...そうか私、ずっと御手洗くんに会いたかったんだ。会ってお話ししたかったんだ。


私は御手洗くんが好きだ。

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