異変
「ハァハァ...だめだ。見失った。」
私と御手洗くんはマキナ様たちの後をつけたが途中で気づかれてしまったようで簡単にまかれてしまう。
冴子は部活、きょんちゃんたちはデート、それで私たちにマキナ様の護衛をみんなに託されたわけなのだが。
マキナ様と根津川くんは夜の街へ消えて行った。
「ハァハァ、なんて速さなの、あの人たち。」
マキナ様の身体能力の高さは知っていたが根津川くんもこれほどとは。
「根津川のやつ、今まで本気で体力測定やってないだろ...ハァハァ。」
「うわあ、私、根津川くんに本気で襲われてたらとても太刀打ちできなかったね。」
「...まあ、北条さんも結構、力はあるので自分がイヤだと思えば抵抗できるしもう心配しなくていいんじゃないか?」
「そ、そうよね。同意の上なら仕方がないよね。」
私たちは自分たちに非がない理由をつけて尾行をやめる口実にした。
「さ、もう、帰ろうか?送っていくよ。」
「う、うん、ありがと。」
...会話がない。
「そういえばもう、彼女探しはしてないの?」
「...してないよ。」
「どうして?」
「どうしてって、君がやたらめったら女の子とつきあうのはやめたほうがいいって言ったじゃないか。」
「あはは、そうだったね。」
「...ハハハ、それにもう寄ってくる人もいないしね。」
「...なんか、元気ない感じ?」
「そんなことないよ、今の状況も実は結構、楽しいって感じだよ。」
「あはは、変なの。」
「あはは。」
「あ、もう、ここでいいよ。送ってくれてありがと。」
「うん、じゃあ、また明日、学校で。」
「...うん!また学校でね!バイバイ!」
「おう!バイバイ!」
そうお互いに挨拶を交わすと御手洗くんは走って帰っていった。
他人に対しての親切に一生懸命でそれでいてそれがどこか噛み合わなくて余計な苦労をしょい込んでいる男の子の走っていく後姿を見ていたらなんだか涙がでてきた。
「...御手洗くん、がんばって。」
翌日。
「おーっほっほっほ、おーっほっほっほ。」
いつになくマキナ様は上機嫌だ。
「昨夜はすばらしい体験でしたわ。おーっほっほっほ。」
な ん で で す か ?
「また、体験したいですわーーーw。」
「マキナ様?なにか良いことあったのですか?」
マキナ様は誰かに話を聞いて欲しくてたまらないらしいので私は聞いてみた。
「実はですね....。やっぱり教えませんわーーw。」
くそがっ。
心の中で私はそう思った。
...いけない、これじゃ、冴子だ。
「なんだ、なんだ、北条いいことあったん?」
「おーっほっほっほっほ。実は....教えませんわーーーーw。」
「くそがっ!」
「あはは、おやくそくぅー...だねw。」
きょんちゃんは屈託のない笑顔でそう言った。
「はぁ...根津川様、早くお会いしたいですわ...。」
トロンとした目でマキナ様はそう言った。
「...オイ、まさか根津川とやっちまったのか?」
冴子が恐る恐る聞いた。
私はつい想像をしてしまった。
事情を知りすぎている私にとってそれは過酷なものとなった。
「うっ!」
私が口を押えると
「え!?なんだ、ところ、お前まで、まさか昨日の晩、佐藤と!?」
というか冴子さん、昨日の今日でつわりが来るわけないでしょ。
「え?え?どうなってるの~?」
きょんちゃんは目を回してそう言った。
「ふごふごー。」
私の背後からフゴフゴ仮面は現れた。
「もう!いちいち私の背後から現れないで!」
「根津川様!会いに来てくれたのですね!w」
「やあ、またせたね、マイハニー。」
「いやんもう、根津川様ったら!w」
どおおおん!
ところが根津川くんはびくともしなかった。
「なんだ、あいつ?あんなに体幹強かったっけ?」
「御手洗くん曰く、今まで隠していた...そうだよ。」
「さあ、いこうかマイハニー。今日は幕の内スペシャル弁当を君の為に用意したよ。」
「まあ、素敵!w根津川様、一生ついていきますわ~!w。」
そう言ってマキナ様と根津川君は教室を出て行った。
「...北条も物に釣られる、やっすい女だよな。なんだかがっかりだわ。」
「まあ、いろいろあって今があるんじゃない?」
「お?なんだか、詳しく事情を知ってそうだな、ところさん?」
「え!?っ別に私は...。」
「まあ、いいや、興味なし!」
「...あ、あははは。」
「あ、そういや、そのうちあたし、市ケ瀬に弁当作ってくるから抜ける時もあると思うごめんね。」
「あ、そうなんだ。」
「いいなー、あたしも~カレシ~と食べようかな~。」
「き、きょん様。一人にしないでおくんなまし。」
私はきょんちゃんにしがみついた。
「あははー。とこちゃんも早く、彼氏できるといいね。」
「う、うん、ところ、がんばるよ!w」
くそがっ!
と言いたいところをところは我慢したのだった。




